Marine snow delay pedal
しばらくの間オリジナルペダルの製作に専念しておりました。
「delayのtimeをエンベロープで制御する」というざっくりしたコンセプトだけ決め製作をはじめましたが思った以上に難航しました。
多くの試行錯誤を繰り返し、ようやく完成したエフェクターがこちらです。
塗装のイメージは”深海”です。このペダルの名前の由来になっているMarine snowは海の深いところに積もる雪のようなものだそうです。海の奥底でしか見れない光景ですね。
このディレイペダルのエフェクト効果のイメージも深海に近いかもしれません。通常のヴィブラートよりも深くうねります。未知の海の底のようにこのエフェクターから出る音は予測できません。LFOを搭載しておらず、エフェクトのコントロールが弾き手のピッキングニュアンスに依存しているのがそうさせているのかもしれません。とてもユニークなペダルだと思います。
当初製作を予定していたエフェクターが3つありました。1つはディスクリートで構成されたフィルターをLFOで揺らすモジュレーテッドフィルター。2つ目は同じくLFOでdelayのtimeを揺らすヴィブラート。3つ目に今回のタッチディレイみたいなものです。
3つとも回路は完成しており、実際に組んで音出しも終えていました。そのなかで特に冴えなかったのが今回のdelayになります。
ただ、他のより塗装が早く終わってしまったので先にこちらの製作に取り掛かりました。当初全く期待していなかったのと、種々の問題を克服するために予定していた回路が倍になってしまうなどいつもより気が重い製作作業でした。
そしてできたエフェクターは想像以上に興味深いものでした。
回路は以下の通りです。
inから来た電気信号が矢印の流れに従い青い部分を通りoutへ流れます。赤い部分は使用者がコントロールできる部分です。それに加えgateの切替スイッチや、この図では記載を省いていますがエンベロープの反応を切り替えるスイッチがあります。大体の信号の流れはこのような感じです。
まず初段でエンベロープ部分の感度を良くするために音圧を増幅しています。シングルコイルピックアップなどの出力が低めのピックアップでも反応を良くするために必要でした。
増幅率はmixノブを最大にした際に程良くエフェクト音が強調されるよう高めにとってあります。gainではなくlevelを調整できるようにしたのは、コーラスなどのエフェクターで原音より音が大きくなるのが使いにくいと感じる方がいるためです。実際に他のエフェクターとの兼ね合いも考えて音量が調整できるとこのエフェクターがより活きると感じます。
次に信号は2手に分かれます。delayのmixとfeedbackとtimeを最小にしてlevelを上げるとブースターとして使えます。その状態でfeedbackを上げると、ディチューンサウンドのような音の壁のようなブースト効果が得られます。
mixやtimeを上げるとヴィブラート効果が激しくなります。
程良くセッティングし弱くピッキングすれば、ディレイ、コーラス、リバーブ、ディチューン風のサウンドを得られます。その状態で強くピッキングすればピッチが変調します。
クリーントーンの指引きでアルペジオを弾いている時にある音だけヴィブラートさせる奏法などがとてもやりやすいです。味付けにちょうど良いと思いました。
delayシグナルだけにgateをかけるスイッチがあります。
基本的にmix音を際立たせるのに役立つとおもいます。設定次第では変調するゲートファズのような音も出ます。
gateオンの状態でmixを最大近く、feedback最大、time最小付近にすると高周波発振したりしなかったりします。その場合feedbackを12時にすれば発振しません。timeを上げても発振が収まると思います。発振を抑えると出なくなってしまうおもしろい音があるのでそのままにしてみました。
ピッキングに対する反応を切り替えるスイッチもあります。ピッチの変調の仕方が変わります。
ブースターやコーラス風の音など実用的なエフェクトや、激しいピッチシフトといった変則的な効果まで多彩な音色を得られるエフェクターになりました。それぞれ当初は全く意図しなかった効果ですが結果的に良いペダルができました。弾き手の使い方次第で全く違ったペダルになるエフェクターだと思います。言葉で表現できない音や効果が多いユニークなエフェクターです。