祖母の嘘(山野莉緒)
こういうことは言うべきではないのですが、この記事よりはSUPER BAVERの「らしさ」の方がおすすめです。
高校2年生の時に気づいたのですが、私なんかがよく考えてようやく思い至るようなことは、大体すでにSUPER BEAVERが歌ってくれています。だから私は本当はもう何も言わなくてもいいんですけど、未だに脚本を書いたり小説を書いたりブログを書いたりしています。
それが何故なのかをこれから書きますが、長くなりますので、お忙しい方は下記のリンクからYouTubeへ飛んでください。本当におすすめです。
私の話は、お時間に余裕があるときにお付き合いいただけたらうれしいです。
でもSUPER BEAVERもあとでぜひ聞いてください。
「嫌いな食べ物を嫌いな理由」を聞くのが好きです。
私としゃべっていて嫌いな食べ物とその理由を聞かれても、気を遣わないでください。話題に困った末にパーソナルなことを聞き始めたわけではないです。
私はきのこが嫌いです。
ホルモンも嫌いです。
大きい貝も嫌いです。
ぐにゅっとしてるからだと思ってました。小さい貝はきゅっとしてるけど、大きい貝はぐにゅっとしてるからだと思ってました。具体的にいうと、ムール貝より大きい貝はぐにゅっとしていると私は感じます。
でもたぶん、何を食べさせられてるんだろうって思うからだと気がつきました。ぐにゅっとしてたら大抵、得体が知れないもんですもんね。
あと、私はサザエも大きい貝に分類されると思っているんですが、あれは別にぐにゅっとはしていないけど、何を食べさせられてるんだろう感は尋常じゃないですもんね。
こんにゃくと煮こごりと柿の真ん中のところも、同じ理由から嫌いです。
ミルクレープも嫌いです。口の中でクレープが一枚ずつばらばらになるとき、ぞっとするからです。
かき氷とパフェとクリームソーダも嫌いです。悲しくなるからです。きれいでおいしいのは一口目だけだからです。ケーキの莓は最後に食べる方だからです。女を脱がしてヒートテックが出てきたら萎える方だからです。
でももうぜんぶ食べられます!
大人になったからって言うとえらい気がするけど、一人暮らしをするようになって、きのこの安さと栄養価を知ったらあっさり食べられるようになったってそれだけの話です。惰性で歳を重ねただけです。
買えないから欲しくない、会えないから会いたくない、伝わらないから言いたくない、そういうものでしょ。
パチンコやって、勝つことよりも負けないことのほうが大事だって知りました。傷つかないことのほうが大事。死なないことのほうが大事。絶対にそう。そのためには諦めが肝心。そうそう。え?
本当ですか?納得できないのはまだ若いからですか?どうして大人になると大事なものを大事にできなくなるんですか?
大事は大事でいい。ほしいはほしいでいい。
私は未だにぽぽちゃんとシルバニアファミリーがほしいです。トイザらスがあったら必ず見に行ってしまいます。全然買える額です。でもそうじゃない気がするからいつも買わずに帰ります。
うちはメルちゃんでした。寝かせたら目閉じる、ほっぺがぷにぷにのぽぽちゃんが、私はずっとほしかったんです。いつか子どもにぽぽちゃんを買ったら、その子はいつまでもメルちゃんを欲しがるような人生を歩んでしまうでしょうか。何が幸せなんでしょうか。
インドの大富豪の家に生まれたかったと、親に話したことがあります。悪い子です。車の中でした。助手席の母が、インドじゃアニメは見られないんだよと言いました。偏見だと思います。
後部座席の私は、「最初から知らなければ見たいとも思わないからいいの」と答えました。本当に悪い子です。
小さい頃、アスパラガスといんげんが嫌いだった私に、祖母が「アスパラガスといんげんは食べると美人になるのよ」って言いました。一生懸命食べました。ずっとそういうものだと思ってきました。去年、よく考えて、祖母の嘘だったって気がつきました。
アスパラはどちらかというともう好物です。きのこも貝もこんにゃくも、ぜんぶ、そういうやり方がよかった。
いつかの彼氏に辛いものが好きだと打ち明けたとき、嬉しそうにおれもだよと言ってくれました。上野のデリーにカモミールを食べに行きました。彼はヒーヒー言ってました。オチがわかりにくくてすみません。私は蒙古の冷やし味噌ラーメンを完食できます。
好きなものが一緒だと嬉しいとか、嫌いなものが一緒のほうが嬉しいとか、違うって知ることも嬉しいとか、結局得体がわかればなんだっていいんだと思います。
きっかけにはなっても理由にはならない。でもきっかけがたくさんあったらいつか理由になってしまうかもしれない。その時こそ諦めが肝心なのかもしれません。
今の彼は辛いものが嫌いです。かぼちゃも焼き魚も嫌いです。ふたりでその日食べたいものを食べればいいと思う。同じもの頼まなくったっていいし、コンビニで好きなもの買ってホテル行ってもいい。
生のトマトが嫌いなのってあなただっけ?と聞いてしまったことがあります。最悪な女です。彼は寛大です。年上だからかもしれません。でも好き嫌いは私より多いです。
本当はがんばりたいなら、今はまだがんばってもいいんじゃないですか。
諦める理由をわざわざ作ってあげる気はありません。
がんばれ。がんばれ。
明日、第2回本公演のお知らせが公開となります。
SUPER BEAVERの4分40秒に負けない、素敵な90分をお過ごしいただけるように、一生懸命がんばりますので、お時間のご都合がよろしければ、ぜひご来場ください。