大家の爺さんのシイタケづくりを手伝う その1/小坂逸雄
2016.12.09 10:00
大家の爺さんがシイタケの原木を山から切り出したいらしく、手伝って欲しいというので一緒に裏山へ行ってきた。てっきり爺さんが木を切り、それを運んだり枝を払い落とすだけかと思っていたら、「アレとアレを切ってくれ」と大きい木を指さしチェーンソーを手渡された。丸ごと一本ボクに切り倒してもらいたかったらしい。
えーと、どういう手順で刃を入れるんだっけか?チェーンソーのエンジンを点け、木の根元で困惑していると、爺さんが近づいてきて身振り手振りで刃を入れる角度と順番を教えてくれた。ふむふむ。腕を木に見立てて、切ろうとしている木がどちらの方向に倒れるかも説明してくれる。なるほど、あっち側へ倒れるのか。頭のなかでシミュレーションをした後、チェーンソーをブリブリいわせて幹に刃を当てていく。刃の入れ方が甘いと、すかさず爺さんが手振りでチェーンソーの扱いを指示する。それに従って刃の角度を変える。そんなことを繰り返すうちに、木は的確に意図した方向へと柔らかい音を立てて倒れていった。爺さんの無言ながらも的確な指導に関心する。続く二本目もあっけなく切り倒すことができ、現場に着いてから20分もしないでその日の作業は終了となった。
簡単に終わったとはいえ、まあまあ危険な作業ではあった。しかし、シイタケっていう手のひらに乗るようなキノコをつくるために、こんなに大きな木を切り倒すってのが大げさに感じてなんだかおもしろかった。ボクの聞き間違いでなければ、来年の2月ころにこの木に菌を埋めるという作業があるらしいです。
小坂逸雄
東京出身、小豆島在住。
2020年4月現在、高松にて養蜂の修行中。