木材の選択
上の写真は府中家具工業共同組合の木材図鑑より 一番下にリンクをはっておきました。
無垢材について、その選定をどうするのか。これにはいくつかの要素が関係し ます。
その要素とは、好みといった主観、木の性質や目的といった客観、値段という経済です。
主観でいえば、私は「さくら」を好みます。この木はきめが細かく、手触りも 滑らかで、香りもかぐわしく、工作も容易だからです。「杉が好き」という人もいます。
だから、家具を作る場合、それが DIY なら畢竟、自分の楽しみや喜びのために作るのですから、この木を使わなければならないということはありません。さくらで家具を作 ることもできますし、杉で作ることもできます。
客観でいえば、適材適所は木材でも変わらず、テーブルの椅子の脚など強度が必要な部分には、丈夫な木材を使用しなければなりません。ここでは主観は引っ込みます。
シェーカー家具は、タンスや引出しは、ほとんどパインを使っていますが、椅子やテーブルの脚、引出しのノブなどは、メープルを使っています。これは多分客観と経済を分けて選択した結果だと思います。
広葉樹、針葉樹の区別なく、大抵は家具作りに使えることは、「木材工芸用語辞典」(理工学,1988 年,p171)の『家具の適材』の表を見ても明らかでです。
そこには、24 種類の材種が載せられています。たとえば、表の一行目は「なら(楢)」で、このように書 かれています。
難しい言葉が使用されていますが、言わんとしていることは、家具に使う木材の選定条件が示されていると考えられます。その条件は大きく「性状」と「工作性」に分けら れて、工作性の中の「梢難」は少し難がある、また「枘差」(ほぞさし)は、ほぞ組みした場合の強度、「膠着」は接着剤による接着の強度を示しています。
24 種の名前は次の通りです。古い表でタモやクルミがありませんが、家具に使われ る木材は、ほぼこの 24 種類に収まるのではないでしょうか。
なら(楢)、しおじ(塩地)、ぶな(椈)、さくら(桜)、かえで(楓)、とち(栃)、 せん(栓)、けやき(欅)、けんぽなし(枳梖=きぐ)、くるみ(胡桃)、ほう(朴)、か つら(桂)、きはだ(黄肌)、くす(楠)、くわ(桑)、きり(桐)、かし(樫)、くろがき (黒柿)、しな(榀)、すぎ(杉)、まつ(松)、ひのき(檜)、さわら(椹)、もみ(樅)。