でんでんむしのかなしみ Malĝojo de Heliko / 新見南吉 ; tradukita de Kenĉjo
一ぴきの でんでんむしが ありました。
Estis unu heliko.
ある ひ、その でんでんむしは、たいへんな ことに きが つきました。
Iun tagon, la heliko rimarkis seriozan aferon.
「わたしは いままで、うっかりして いたけれど、わたしの せなかの からの なかには、かなしみが いっぱい つまって いるではないか。」
"Mi ĝis nun senatentas la fakton, ke mia konko sub la dorso pleniĝas de malĝojo"
この かなしみは、どう したら よいでしょう。
Kiel mi povas trakti tiun malĝojon?
でんでんむしは、おともだちの でんでんむしの ところに やっていきました。
La heliko vizitis sian amikan helikon.
「わたしは もう、いきて いられません。」
"Mi ne plue povas vivi."
と、その でんでんむしは、おともだちに いいました。
La heliko diris al la amika.
「なんですか。」
"Kio okazis al vi?"
と、おともだちの でんでんむしは ききました。
La amika demandis rin.
「わたしは、なんと いう、ふしあわせな ものでしょう。わたしの せなかの からの なかには、かなしみが、いっぱい つまって いるのです。」
"Kia malfeliĉulo mi estas. Mia konko sub la dorso pleniĝas de malĝojo"
と、はじめの でんでんむしが、はなしました。
parolis la heliko.
すると、おともだちの でんでんむしは いいました。
Tiam, la amika diris,
「あなたばかりでは ありません。わたしの せなかにも、かなしみは いっぱいです。」
"Ne nur vi. Ankaŭ mi havas plendorson da malĝojo"
それじゃ しかたないと おもって、はじめの でんでんむしは、べつの おともだちの ところへ いきました。
La heliko pensis, ke ri nenion povas fari, kaj vizitis alian amikan.
すると、その おともだちも いいました。
Do, ankaŭ la dua amika diris,
「あなたばかりじゃ ありません。わたしの せなかにも、かなしみはいっぱいです。」
"Ne nur vi. Ankaŭ mi havas plendorson da malĝojo"
そこで、はじめの でんでんむしは、また べつの、おともだちの ところへ いきました。
Tiam, la heliko vizitis eĉ alian amikon.
こうして、おともだちを じゅんじゅんに たずねて いきましたが、どの ともだちも、おなじ ことを いうので ありました。
Tiamaniere, ri vizitis unu amikon post la alia, sed ĉiuj amikoj diras same.
とうとう、はじめの でんでんむしは、きが つきました。
Finfine, la heliko rimarkis.
「かなしみは、だれでも もって いるのだ。わたしばかりではないのだ。わたしは、わたしの かなしみを、こらえて いかなきゃ ならない。」
Ĉiu ajn havas malĝojon. Ne nur mi. Mi devas travivi mian malĝojon.
そして、この でんでんむしは、もう、なげくのを やめたので あります。
Tial, la heliko ne plu ĝemis.