スイバかギシギシ/小坂逸雄
前に雑草を刈ったとき馬鹿でかいほうれん草のような雑草に苦戦したので、そいつを剣先スコップを使って根こそぎ除去することにした。そいつは根っこがやたら太い大根みたいなヤツで、調べてみるとスイバかギシギシという類らしい。葉っぱが刈り取られ、切り株みたいになっているその周りをお堀のようにしてグルリと掘る。30cm、40cm、、、どんどん掘り進めていくと岩盤にぶつかった。この畑はそんなに深くないということを聞いていたので掘るのはそこで止め、根元が露わになってきたスイバ(か、ギシギシ)を引っこ抜く。が、抜けない。根はまだ深く刺さっている様子。岩盤が無いところはないかなーと周囲にスコップをさくさく刺していくと、いい具合のところを発見。スコップを踏み込むとスイバの下にうまいことスコップが刺さった。テコの要領で根を持ち上げて引っこ抜き土を払う。異様にたくましい、筋肉みたいな根っこが悪者然としていて気味が悪い。調べたところによるとどうやらこのスイバ(か、ギシギシ)は、根の一部が地中に残っていたらそこからまた発芽して成長を続けるらしい。植物は摘心すると脇芽が二本、三本と出てくることがあるので、もしこの根っこにもそういう機能があればひとつのスイバを除去したとしても、残った十数本の根っこの切れ端から二〜三十本生えてくることになるのか。これはあくまで妄想だけど、そんなこと考えるだけで恐ろしい。念のためにちぎってしまった根っこを取り除くべく、掘り起こした土を手でほぐし残した根っこを探す。細いニンジンのようなものがポロポロ出てくる。地中に残ったものは見失わないように片手で掴み、片手でスコップを操り掘り出す。地中に這い巡らされていた根がズルズルと取れた。根に根が絡まり、いろんな雑草の根や地下茎もついでにとれた。たった1m四方でこんな状況か、、、と畑を見回すと、スイバと覚しき芽が他にもたくさん生えていることに気が付いた。なんとまぁ。。。その数 × 今の労力 = 途方もない。そんな計算が頭を過ぎる。草刈りが終わったと思ったら、次は根っこの除去か。。。ぶっとい根っこを抜いた爽快感は一瞬で消え失せ、またもや自然相手の果てしなさに打ちのめされてしまったのだった。
小坂逸雄
東京出身、小豆島在住。
2020年4月現在、高松にて養蜂の修行中。