竹簾越
不遇な県道峠はまだあった
福井市北東部、永平寺町との市境に連なる山塊の峠。
この場所はさして山深いわけでもなく、そして目立つわけでもない。
しかし「車」という移動手段を持たなかった時代には十分難所たり得る場所でした。
ところが時代とともに交通手段が発達し、峠はその険しさを失い名前だけが残りました。
しかしそこに個人が残した苦労の跡。
それを忘れてはいけないと思うのです。
これが今回探索する県道峠の区間。
今回向かう峠の名、それは
竹簾越(たけのすごえ)
なかなか風流な名前です。
それではレポスタート!
どっかで見た交差点!!
気のせいではなくここは前回小畑坂のレポスタートとなった交差点です。
前回は左から来て手前に曲がりましたが、今回は手前から来て右に曲がります。
ややこしいこと言ってますが、実際はこのぶつかった道は単独の県道。
そして今回目的の竹簾越を擁する県道でもあります。
福井県道113号稲津松岡線(いなづまつおかせん)
こいつもいまいち影が薄い道ですね・・・。
どこの高速道路だここ!!
集落抜けたら一気に化けやがった!
これは峠の状況が不安だ!
一気に開削されてないだろうな!!
高速道路のような高規格道路はそれほど長くは続きませんでした。
しかしあそこを片側2車線にして、どこに行ってほしいんだろう??
いまいち導線が読めません。
大きくカーブした県道113号はいよいよ小畑坂と同じ尾根線に取りつき始めます。
このあたりは越前中央山地(えちぜんちゅうおうさんち)と呼ばれる山々の中で最も外側に位置する場所。
同じ越前中央山地に属する魚見峠や稗田峠とは雰囲気が違いますね。
峠の知名度に標高と険しさはやはり必須ですかね・・・。
いよいよ峠らしさの増してきました。
しかし小畑坂編でも話した通り、こちらは山地の奥地側。
片峠の短い方です。
竹簾越、着。
標高62m、小畑坂よりやや低めです。
非常に緩やかな稜線の為、いまいち峠という感じがしない。
個人的にはⅤ字型の峠が好みなので・・・。
いやもちろん美味しくいただきますがね。
それにここ、ちゃんと峠である証拠を残しているのです!
あれはまさしくお地蔵様!!
この辺りの県道峠はお地蔵様が残っていて素晴らしい!!
ただし祠は石板でしっかり塞がれていました。
こういう状態始めてみたんだけど・・・。
それこそ竹簾が下されてるのはよく見ますけどね。
冬籠りかな・・・。
手を合わせて先へ進みます!!
峠から福井側に下る途中には滝があるようです。
ちょっと寄り道してみましょう。
観光地と呼ぶにはいささか力不足な道が階段の先にありました。
これ県道用地のあまり部分に土持っただけなんじゃ・・・。
この小さな小川が滝の水を一手に引き受けています。
この奔流は竹ノ簾川(たけのすがわ)と呼ばれる流れで、荒川(あらかわ)を経由して足羽川(あすわがわ)に合流し日本海に注ぎます。
沢登もいつかやってみたいなぁ。
楽しそう。
蹄の滝(ひづめのたき)
落差7mの分岐瀑です。
手前にはベンチがあり、ちょっとした癒しスポットになっています。
夏は子ども達が水遊びができそうですね。
正面左の直瀑。
これがいわゆる主瀑と思われます。
しかしこれ7mもあるか??
4,5m位にしか見えないんだけど・・・。
そして右隣の副瀑。
雪解けのこの時期にこの水量ってことは雨の翌日でもなければ大体こんなもんてことでしょう。
もっと水量があれば自然のウォータースライダーが楽しめそうです。
ミスると左半身擦り傷だらけになりそうですけど。
滝のそばには名前の由来が掲げられていました。
朝倉義景(あさくらよしかげ)と言えば戦国時代の武将。
越前一乗谷を拠点にして一大勢力を作ったことで知られています。
故事に由来する滝の名前は案外多いです。
というか伝説か故事か地名か、この三択が基本ですよね。
閑話休題。
そろそろ峠の話に戻ろうと思ったら、そこはもう峠道ではありませんでした。
これは忘れられるでしょうね。
馬坂峠にも匹敵する峠らしくない峠です。
そして忘れたころに案内なしの右折。
この道は規格を上げたいのか下げたいんだかよくわからない。
やりたいこと統一しようよ!
そして再びこの道との交差点へ。
福井県道164号大畑松岡線
(おおはたまつおかせん)
そしてこの福井県道164号はこの交差点が終点。
右に行くのが福井県道164号、左側は別の県道に指定されています。
福井県道178号篠尾出作線
(しのおしゅつさくせん)
福井県道178号はこのまま我らが113号と重複し、福井市中心部を目指します。
とはいえ通りに指定されている区間もなく、いまいち目立たない道ではありますが。
しかしさすが100番台前半の道。
他の県道の終点となっているというのが県道としての格がありますね。
さて次回は久しぶりに廃隧道を攻めてみたいと思います。
3月にまさかの雪中探索??
以上、竹簾越編