ブラックホールを覗いてみたら
こんにちは。
無事に卒業してM1になりました!
またしばらくブログに登場します笑
いよいよ研究活動も本格化してきました。
僕は以前まではフラクタルやメタマテリアルについて研究していました。
少し前に紹介しましたが、みなさん覚えていらっしゃいますか?
よかったら、過去の記事も読んでくださるとうれしいです!
ただ、院に進むに当たって、研究テーマも変わりました。
現在は超弦理論と呼ばれる分野を勉強中です。
これについては、おいおいお話しするとして、今日はブラックホールのお話をします。
実は、学部時代にブラックホールについても調べていた時期がありました・・・笑
おいおい、おまえは結局なんのテーマを研究しているんだよ、と思われそうですね〜
僕にも、よくわかりません。笑
面白そうなことをいろいろみてたらそうなってしまったんだから、仕方ない😀
閑話休題。
さて、一口にブラックホールの話といっても、さまざまなトピックがあります。
その中から今回は、
ブラックホールをみる
ということについてお話しします。
「でも、宇宙って真っ暗だよね?『暗い』ブラックホールをどうやってみれるの?」
そんな疑問をもったあなた、正解です。
ブラックホール自体は、光を発しません。
だから、真っ暗な宇宙に存在しているブラックホールは当然見ることができないはずです。
では、どうすれば見えるのでしょうか?
ブラックホールはあらゆるものを吸い込み、ホライゾンと呼ばれる境界を持ちます。
そのホライゾンからは光さえも脱出できないので、ブラックホール自体は真っ暗です。
以前小池さんがブラックホールについてお話しした時に、
「ブラックホールの『周り』は、思ったよりも明るい」
というお話をしたと思います。
そのお話の通り、ブラックホールの「周り」には多くの光が回っています。
この光を観測することで、ブラックホールの「形」をみることができるのです。
そのお話をするために必要な、フォトンスフィアというものについてお話しします。
ブラックホールの周囲を回っている光は「遠心力」のようなものをもちます。
そのため、ブラックホールによる重力に逆らって、ブラックホールに落ちずに周回することができます。この時、遠心力の方が強ければ、光はブラックホールから「逃げる」ことができ、その一部を観測することができます。ここで、「逃げる」とはブラックホールから無限に離れた場所に到達できるということです。
しかし、ある程度ブラックホールに近づくと、「遠心力」に比べて重力が非常に大きくなります。
すると、周囲の光はブラックホールから「逃げる」ことができなくなります。
光がブラックホールから「逃げる」ことができるギリギリの境界のことをフォトンスフィアと呼びます。
このフォトンスフィアは、先ほどお話ししたホライゾンとは異なることに注意してください。
フォトンスフィアより内側に入った光は、無限に離れた場所には行けませんが、外側に進むことは可能です。しかし、ホライゾンより内側に入った光は、いかなる光も外向きに進むことができなくなります。
BHのホライゾンとフォトンスフィアの違い。フォトンスフィアの内側の領域では、外側に進むことはできます。一方、ホライゾンより内側の領域では外向きに進むことすらできません。
よって、私たちが望遠鏡でみることができるのは、どんなにがんばってもフォトンスフィアより外側を周回している光に限られます。
(ただし、フォトンスフィアとホライゾンの間の領域に粒子が仮に発生したとしたら、粒子は無限に離れた場所に到達させることができます。しかし、現実的にはフォトンスフィアの外側から内側に落下するガスしかないため、フォトンスフィアの内側に入った光は無限に離れた場所で観測することができません!)
なので、ブラックホールを見たときにフォトンスフィアの形が影のようにくっきりとみえるはずです!
このようなブラックホールの影を「ブラックホールシャドウ」と呼びます。
ブラックホールの種類によって、その形状が異なることも知られています。
ブラックホールの周りを周回する光が地球に到達するイメージ 。
つい先日、EVENT HORIZON TELESCOPEというプロジェクトチームがこのブラックホールシャドウの観測に成功しましたね!
当日のプレスリリースをご覧になった方も多かったのではないでしょうか。
Credit: Event Horizon Telescope Collaboration
https://eventhorizontelescope.org
重力波に続き、ブラックホールを観測する手段がどんどん発展してきています。
いつか、ブラックホールのホライゾンをこじ開けて、全ての謎を解き明かしたいですね。
以上、太田でした!