12/14(土)「私はおぼえている」イベントレポート
「私は覚えている」上映会お越しいただきありがとうございました。
あなたのおぼえていることの中で一番最初だとおもう記憶から話してくださいと問いかけることで、本人しか語ることのできない内容がぽろぽろと出てくるのが面白く、映像をみている私たちが想像しえない風景や出来事もあれば、自分が同じ状況だったらどうしていただろうと考えさせられる、普遍的な行為(恋愛、子育てなど)に関する語りもありました。場内からは笑いがこぼれたり、驚きの声が聞こえたり。今回の上映は、映像を通じて、日常の暮らしや経験の中に戦争や災害の痕が垣間見え、とてつもない振れ幅がひとりの人間に同居しているのをじっくりと目に焼き付けるという体験だったのではないでしょうか。今、目の前にいる人が、そのときどう思っていたか、生きていたか。決して便利な情報でも、誰かが価値づけした情報でもありませんが、80代~90代の人々のそれぞれの生の中にある知恵や気概、後悔や迷いに耳をかたむけることで、今現在置かれた状況の違和感やずれをもう一度広い視野で捉え直すことができるのかもしれません。親や祖父母の世代で明治時代、江戸時代と接続している人々に話を聞ける時間はリミットがせまっていて、今しかないという切実さもありました。
また、上映後のトークでは生活圏や生業と密接にある地域間のつながりなど、現在の区域分けでは見えない場所の関係性をそれぞれの生きた場所から辿っていくことで、点と点をつなぐように地図ができていったり、本人同士の語るシーンがリンクしていくような部分がでてきたり、地道に数を積み重ねていくことで、新たな見方も表れてくるのではないかという話もありました。映像はいまのところ、現時点の語りを残すというコンセプトとのことですが、最近は映像だけでなく、聞き書き班もあるそうです。関係性を深めながら、文章によってどのように語りを残すことができるのかということにも取り組んでいます。
参加者の方の中には、福祉に携わる人や、聞き書きに取り組んでいる人もいらっしゃいました。分野やメディアの違いをこえて、それぞれの活動を振り返る機会にもなっていたように思います。
現時点プロジェクトでは、現在8名の語りを集録しており、Youtubeに全8話がアップされています。ひとりでみてもいいし、何人かで集まってみてもよいかと思います。ぜひこちらのリンクをご覧ください。