源泉所得税の注意点 その①
「世の中で最も理解に苦しむものは、所得税である。」
アインシュタイン
今回は誰でも接することのある身近な税金“所得税”の中でも、天引きと呼ばれほとんどの方が経験されたことのある「源泉所得税」について、日々の手続きや実務上の注意点についてご紹介いたします。
Q1.源泉所得税とはどのような税金ですか?
A1.株式会社の所得に法人税が課されるように、個人の所得に対しても所得税がかかります。所得税は本来「申告納税制度」なので、個人自ら納税すべき税金です。しかし、ひとりひとりが一斉に申告するとなると、税務署は膨大な事務量により処理しきれなくなってしまいます。そこで個人の所得については、会社がいったん所得税を預かり、個人に代わって支払ってあげる仕組みを“源泉徴収”といいます。源泉徴収された所得税を“源泉所得税”と呼びます。
Q2.源泉徴収の対象となる支払いにはどんなものがあるのでしょうか?
A2.主に支払い先が個人の場合、以下のようなものがあります。
①従業員等に対して支払う給与・賞与
②退職金
③会社が利益の配当を行う場合の配当金
④個人事業者に支払う報酬料金等
原稿料や講演料、弁護士、税理士、外交員やホステス、コンパニオン等が
上記に含まれます。
Q3.源泉徴収した所得税はいつまでに、どこで納付すればいいのですか?
A3.原則として給与などを実際に支払った月の翌月10日までに納めなければなりません。ただし、納期の特例の承認を受けている場合は、給与・賞与・退職金や弁護士、税理士等への報酬に限り、年2回にまとめて納付することができて便利です。この場合は、それぞれ以下の期限までに納付することになります。
1月~6月支払分 …7月10日までに納付
7月~12月支払分 …翌年1月20日までに納付
ただし、給与などを支払う人員が常時10人超となる場合はこの特例は受けられませんのでご注意ください。
納付のためには、必ずしも税務署へ行く必要はなく、 記載した納付書と現金を持参すれば、郵便局や銀行などの窓口でも納付をすることが可能です。なお、これらの納付が日曜日、祝日などの休日や土曜日に当たる場合には、その休日明けの日が納付期限となります。
Q4.源泉徴収金額の納付をうっかり忘れてしまい、納付期限が過ぎてしまったのですがどうすればよいでしょうか?
A4.速やかに納付して下さい。期限に遅れた場合、あるいは納付額が少なかった場合には「延滞税」や「不納付加算税」が課されます。ただし、直前1年間に遅延実績がない場合は課税が免除されることがありますので、気付いた際は早めに対応するようにしましょう。