RightBrain-Explosion

観劇記録『MASH UP Ⅱ』

2019.12.21 08:31

『MASH UP Ⅱ』

林檎の君へ。×More Goofy's


今回、右脳爆発に客演いただいております、銭山伊織さんの出演舞台。

少し前の話になりますが、12/8の最終ステージを観劇してまいりました。


それぞれ30分と70分の短編2本立て。


林檎の君へ。『キツネアザミ』

ある1組の男女の不思議な会話で紡がれる、切なくもやさしい物語。


More Goofy's『グーフィースタンス』

殺人犯となった刑事に面会する弁護士が、事件の真相に迫っていくバリバリのサスペンス。



以下、小学生並の感想文になってしまうことをご了承ください。


面白かった!です。

そして、失礼を承知でいえば、正直驚きました。

チェンジアップを待っていたら、ど真ん中に火の玉ストレートが来て全く手が出なかった。

そんな感じでした。


相対的に言えば「狭い」といって差し支えないだろう空間。その中、ほぼ役者2人の会話のみでストーリーが進んでいく。


このような、ある意味では制限の多い条件下。

これは完全な私見になり恐縮ですが、そこでの勝負ポイントとして目を向けがちなのは、技法の切れ味や、切り口の特殊性である場合が多いような気がします。

球種の多さだったり、回転数だったり、独自のリード理論だったり。


そこに主眼がおかれると、「予告ストレートで豪快な三振を奪いに行く」というようなエンターテイメント性は、最初から諦めているということも起こり得る。

ゆえに事前には、特殊な変化球が来た場合のイメージをしていたのも事実です。


わけのわからない事を言ってしまいました。

が、つまり早い話が、面白かったのです単純に。

一言目を発した時点から一気に惹きこまれる、素晴らしい演技。

あくまでもその力が中心となって、分かりやすくも先の読めないストーリーと世界観が流れるように構築されていく。


ど真ん中ストレート、真っ向勝負の、「演劇」。

まぎれもない上質なエンターテイメントで、とても爽やかな気分で会場を出ることができました。


こういうとき、作り手の意図を考察したり、ましてや論評したり、そういうのが凄く野暮と思ってしまうのです。

「面白かった!」のひとこと、良い意味で、それで済んでしまうような。

改めて演劇の力と可能性を感じさせられた、貴重な体験でした。


そして「お前はいつから直球で三振を取ることを諦めたんだ?」と言われているような、謎の被害妄想が…。

うわあ、頑張ろう。と、思いますね…。



杉並 祐二