ヒトラーSS/アドルフの肖像(1984)
HITLER'S SS : PORTRAIT IN EVIL
製作 : 1984年
監督 : ジム・ゴダード
出演 : ジョン・シーア、ビル・ナイ、デヴィッド・ワーナー、キャロル・ベイカー、ホセ・ファーラー
<ビデオパッケージ解説より>
1931年、ベルリン。第一次大戦の敗戦の混乱の中で、巧みにドイツ民族を操る恐怖の帝王アドルフ・ヒトラー。
血気盛んなカールとヘルムートのホフマン兄弟は、互いにイデオロギーの上で対立しながらも、母国への忠誠と家名の尊厳との狭間で、ある選択を強いられる。ヒトラーの独裁がますます勢力を増し、その恐るべき総統の親衛隊”SS”の台頭と共に、2人の兄弟は運命に翻弄され、傷ついていく…
戦争という狂気を通して、人間の運命と愛を描いた感動の戦争スペクタクル巨編!「戦争のはらわた」のD・ワーナーや「デューン 砂の惑星」のF・フェラー等の名優が顔を揃える話題作。
物語は、ヒトラーが権力を握ってから第二次大戦が終結するまでを、当初はナチスに懐疑的ながらも親衛隊に入る兄ヘルムートと、当初はナチスを支持して突撃隊に入るも、やがてナチスに反目する弟カールの眼を通して描くもので、レーム襲撃事件やハイドリヒ暗殺などのエピソードも挿入され、ちょっとした第三帝国興亡史といった趣となっております。
本作品はTVムービーながらも軍装面がしっかりしており、題名に『SS』を謳っていることもあってか、親衛隊の時代考証に力が入っております。往年のハリウッド映画の場合、親衛隊といえば『黒服』ですが、実際は第二次大戦が始まる前からフィールド・グレイの制服に切り替えられており、大戦中はごく一部しか黒服の着用者はいなかったようです。本映画は、その親衛隊の軍服の変遷も楽しむことが出来ます(笑)。でも映画的には、ビジュアル的にも『黒服』の方が良いですね。『荒鷲の要塞』のフォン・ハッペン少佐にしても、黒服だからこそ、あそこまでの存在感があったと思いますから(笑)。
本作は、その昔、『HRSフナイ』よりVHSでリリースされ、長らくDVDでの発売が待たれておりました。さて、今回発売のDVDですが、ジャケットの左上に「アナログ・リマスター」という聞きなれない言葉が書かれています…。収録時間はVHSと同じ145分ですし、おそらく過去のVHSでリリースした時のマスターをそのままDVDに焼いただけ、という匂いがプンプンします…。海外では「コンプリート・エディション」とか「ディレクターズ・カット」と称されるDVDが発売されているのですが…。
オープニングの制帽。鷲章と髑髏の帽章が『初期型』です。
ハイドリヒ(左)に連絡にくる親衛隊員。ナチスが政権をとる前なので黒服以前の褐色の制服を着用。突撃隊と異なり、黒のケピ帽に黒のネクタイを着用。ハイドリヒは似ていないながらも、デヴィッド・ワーナーが『ホロコースト』に続いて演じています。
弟のカール(中央)は突撃隊員。
突撃隊長レーム(左)
兄のヘルムートは親衛隊に入隊し、中尉として登場。
レームを粛清する時のヒトラー。この角度で見ると結構似ております。
ヒムラー長官もいい雰囲気です。
第二次大戦直前のポーランド国境でのヘルムート(左)とハイドリヒ(右)。ここから、フィールド・グレイの制服に衣替えです。当然、鷲章や髑髏の帽章も後期のものに変わっております。
ダッハウ収容所の兵士は、ちゃんと右襟章が髑髏のものを着用。
ヘルムートは第二次大戦勃発時は少佐。
ハイドリヒも…
ヒムラーも衣替えです。
本作で一番?なハイドリヒ暗殺の場面。なぜか街中ではなくて、郊外で襲撃されています。
ハイドリヒが暗殺された頃は、ヘルムートは大佐になっていました。前線には行っていないと思うのですが、鉄十字章や戦傷章らしきものを付けております(笑)
父親は国鉄職員
ポーランド出征時、兵士だった弟カールは、東部戦線に従軍する頃は中尉に。この後、反抗的な言動で懲罰部隊送りになる途中で、トラックが砲撃を受け負傷。その後、病院から脱走します。
故郷、シュツットガルトにて両親が亡くなったことを知らされる「自由な旅人」カール。
末の弟のハンスは、左腕に国民突撃隊の腕章を着用。
大戦末期、ヘルムートは准将にまで昇進
ベルリン防衛戦でパンツァー・ファウストを撃つハンス。後に戦死。
ヘルムートは脱走を図るが、親衛隊員であることがバレて憲兵に射殺されます。
最後まで生き残ったのは、脱走してずっと逃げ回っていたカールと恋人のミッチー。