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さ、さ、さ、さ、さんきゅう/大塚智穂

2017.02.13 13:30

「実家の豆腐が食べたいな…」と思うことが(多々)ある。

そして、絶妙なタイミングで「今日豆腐送っておいたから!」と連絡があったりすると、やっぱり血が繋がっているってスゴイな…と感じる。今日もそんな日だった。届いた箱を開けると、豆腐や湯葉、油揚げ、がんもどきがたくさん。さらに、チーズが好きな私のためにと6Pチーズ、母ちゃんの餅、旦那さんに渡してくれとバレンタインデー用のチョコレートなどが入っていた。

実家から豆腐が送られてくる時はどっさり入っている。これは「お世話になっている人にも食べてもらえ」という意向だ。これは昔からそうで、一人暮らしをしていた時は、あまりの量に配る労力を考えて途方に暮れたこともあったが、今は『有り難い』のひとことに尽きる。最近ではお世話になっている人が多すぎて、自分たちの口に入らないこともままある。

今回も配り散らかした。いつもお世話になっている人、いただきものをした方や最近どうしているかな?という人の所をまわる。そして「おいしいね!」なんて言われたりするので、鼻が高い。

島に来てからというもの、この豆腐たちはさまざまなものに変身することがある。今日は久しぶりにご挨拶に伺った島のお兄さんに「持って行き!!!」と、コンテナいっぱいの大きな八朔と、すでに真空パックで冷凍された鹿や猪のお肉を沢山いただいた。持っていった豆腐よりも多くお土産をいただいてしまうとかえって申しわけない…という気持にもなるのだけれど、「ありがとうございます!!!」と帰り際なんて畑で大根2本も抜いて持たせてくれたのだった。

もう20年近く前の話になるけれど、20代前半で家を出て東京で一人暮らしをスタートした。スーパーの豆腐売り場に行くけれど、なかなか手がのびなかった。豆腐は家に売るほどあったので『豆腐を買う』ことに抵抗を感じていたのだった。そして思いきって買った豆腐はさほど美味しくもなく、当たり前に食べていた実家の豆腐は、本当に美味しい豆腐だったんだな…と改めて感じたこと今でもを鮮明に覚えている。

「豆腐ぐらい送ってやろう」という親心。

今は「誰かにもあげるだろう、多めに送ってやろう」という家族の気持ち。

照れもあるので、お礼のメールはいつもこれ。

さ、さ、さ、さ、さんきゅう。

(本当に感謝しております)

大塚 智穂