農村歌舞伎と割子弁当/大塚智穂
毎年5月3日に行われる肥土山の「農村歌舞伎」は300年以上の歴史があります。
以前「HOMEMAKERS」というタイトルでも紹介したHOMEMAKERSの主、拓ちゃんと娘のいろはちゃんも出演するというので、小腹が空いた時用にポケットにおせんべいを忍ばせて肥土山へ向った。去年、一昨年は雨の中、傘をさしながらの観劇となりましたが、今年はとても良いお天気に恵まれての開催となり、会場にはとても多くのお客様が集まり舞台に注目していました。
昔から続く伝統の農村歌舞伎は地元である肥土山の方達の手でずっと受け継がれ続けていて、舞台には家族や親戚が立って演じていたりするので、舞台との距離が近いその感じが何とも言えず微笑ましく見えます。とはいえ、演者は3ヶ月も前から本番のために日々稽古に励み、さらに、多くの人が準備にかかっているのも知っているので、完成した舞台を見ると数百年前も今と変わらず行われている行事だと思うと、心底凄いなあと感じることができるのです。
今回はちょうどGWで小豆島に遊びに来てくれた友人のタカオちゃんも一緒で、どこに座ろうか、どうせ座るなら知った人がいるところがいいねとキョロキョロしていると、会場の至る所で「お~タカオ!帰ってきとったんか~!」とおじさま方に声をかけられ始める。タカオちゃんは、かつて小豆島島内で疫学調査を5年しており各エリアの自治会長さんらと面識があるので、最後はいろいろな席への挨拶回りになってしまった。すると、桟敷に敷物を敷いてお食事やお酒を楽しみながら観劇しているお席に「ここへ!ここへ!」と私も一緒に来るようにいわれて席につくことになった。
農村歌舞伎に欠かせないものに「割子弁当」がある。「割子弁当」とは木で作った台形の弁当箱に入ったお弁当で、一人用の割子弁当が大きなオカモチの様な外箱に20~30個収まっている。煮物などのおかずが入り、「突き飯」と呼ばれる四角い型に入れて固めたごはんが入る。それはそれはしっかりとごはんが突かれていて、コンパクトに見える割子弁当だが、食べるとかなりのボリュームだったりする。そんな「割子弁当」の存在はしっていたが、実は実際に食べるのは今回初めてで、タカオちゃんのお陰で観劇しながら「割子弁当」をいただき、お茶やおかしまでご馳走になり、一足早く柏餅までいただき、今年は思いがけず農村歌舞伎舞台を完璧な状態で楽しむことができて大満足したのだった。
大塚 智穂