祖国は誰のものぞ(1961)LE QUATTRO GIORNATE DI NAPOLI
製作: 1961年
監督: ナンニ・ロイ
出演: レジーナ・ビアンキ、レア・マッセリ、ジャン・マリア・ヴォロンテ、ジャン・ソレル、ニーノ・カステルヌオーヴォ
【戦争映画大カタログより】
連合軍に単独降伏し、ドイツ軍が占領軍となったナポリ市で、武装蜂起した市民たちと鎮圧に出たドイツ保安隊の戦いがテーマ。イタリアン・ネオ・リアリズムに影響を受けている作品で、大戦中のイタリア軍火器が多量に登場。
【内容】
原題は『Le quattro giornate di Napoli (ナポリの4日間)』で、1943年にイタリアが連合軍に単独降伏をした後、9月27日から9月30日にかけてナポリで発生した市民による武装蜂起の四日間を描いた作品で、イタリア版『パリは燃えているか』といった趣の作品です。個人的には、オ-ルスターキャストを集めながらも、今ひとつ見所に欠ける『パリは燃えているか』よりも、ドイツ軍の過酷な占領統治によって市民が自然発生的に蜂起していく様を描く、こちらの『祖国は誰れのものぞ』の方が面白いと思います。車輌的には、キューベルワーゲンを始め、ドイツ軍の戦車としてM47が十字マークを付けて登場し、またケッテンクラートも崩れた壁の下敷きになる場面で登場するなど独軍車輌ファンの眼を楽しませてくれます。
本作は、DVDは勿論のことVHSを含めて、国内でソフト化されたことはありません。テレビ放送も1990年代までは民放にて二ヶ国語の放送があったことは確認しておりますが、私の知る限りではBS/CSでの放送も無かったと思います。イタリア本国ではDVDが出ておりますので、国内でのソフトの発売を期待したいところですが、現況ではなかなか厳しそうです…。
【あらすじ】
イタリアの降伏が発表されると、戦争は終わった!と歓喜の輪がナポリ市民をつつみます。そして街中を、とあるイタリアの水兵とドイツ兵が仲良く自転車の二人乗りで走っていたのですが、イタリアの裏切り行為を知ったドイツ兵は一転その水兵を拘束し、そしてナポリ市民の眼の前で、その水兵は見せしめのために銃殺されるのでした。それを皮切りに、ドイツ軍による強制立ち退きや、労働力確保のための強制連行といった過酷な占領統治が行われます。さらに海に脱出しようとする者はドイツ軍の巡視艇の機銃掃射により皆殺しにされ、また火炎放射器による街の破壊も行われるに及んで、市民たちは武装蜂起を開始します。そして殺されたドイツ兵に対する報復として、スタジアムに集められた市民の一部が銃殺されそうになったことから、ドイツ軍対蜂起軍の本格的な戦闘が開始されます。蜂起軍を鎮圧するためにドイツ軍は機甲部隊を投入し蜂起軍は苦戦を強いられますが、幼いジェネーロ少年が手榴弾を持って戦車に立ち向かい射殺されるのを見た大人たちは、奮い立って戦車に火炎瓶を投擲し、ドイツ軍を退却させます。そして蜂起軍とドイツ軍との話し合いにより、ドイツ軍はナポリから退却していくのでした。
見せしめのために銃殺される伊水兵
ドイツ軍の鉄兜を被ったジェネーロ少年。戦車に手榴弾を投げようとして射殺されます…