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鬼まんじゅう/大塚智穂

2017.10.16 03:55

愛犬ナミちゃんの夕方のお散歩は大体30分程度。途中よく見かけるお散歩中のワンコや自由なニャンコ達、陽がくれて紅く染まる空や山、畑や田んぼを眺めながらゆっくりゆっくり歩く。日課になっているナミ散歩では、「季節や旬」を感じる事ができる。

春は遠くの海や山が霞んで見える。夏は青々とした田んぼから稲の匂いがむわんと立ち込め、オタマジャクシやカブトエビがわんさと泳ぐ。19時でも明るくお散歩が遅くなりがちだが、お盆を過ぎたあたりから日暮れが早くなる。お散歩の時間を30分単位で早めていかないとあっという間に暗くなり、1日が短く感じてなんだか寂しい気持ちになる秋。畑にはさつまいもの蔓がこれでもか!と伸び散らかし、それも片づけられ芋蔓(いもづる)が干され始め、収穫の時に熟して落ちたオリーブの実がシワシワになったのを片っ端から食べるナミちゃんを横目に、木々の葉が色付き、落ち、山の色が変わり、冷たい風が吹く冬がやってくる。巡る季節を感じながらのナミ散歩で、2回目の秋を迎えている。

秋といえば、芋、栗、南瓜。

お芋を育てている人も多く、さつまいもをいただくことも多い。今は色んな種類があって、皮の色が綺麗な紅あずま、甘くしっとりしている安納芋など色々だ。いただいたお芋は焼き菓子などにしてお返しすることが多いのだが、今年は「そうだ…鬼まんじゅうにしよう」となった。鬼まんじゅうは、私が子供の頃から慣れ親しんだ素朴な蒸し菓子で、材料は(さつまいも、さとう、小麦粉)といたってシンプル。

この時期友人宅に遊びに行くと「ちほどん、鬼まんじゅう作ったから食べて」と、温かいお茶と一緒にいただいたり、お土産に持たせてくださったり、私の母ちゃんに至っては、取り憑かれたように毎日「鬼まんじゅう」を蒸していたりした。しかも大きな大きなさつまいもを使うので、とんでもない量の「鬼まんじゅう」をため息をつきながら眺めていた記憶がある。そのせいか、いや、間違いなくそのせいなんだけど、私もなんでも多め多めに作ってしまうよう擦り込まれた。そんな懐かしの「鬼まんじゅう」を作って、さつまいもを下さった方に片っ端からお返しすることにした。すでに今季5~6回は作っているのだが、全てレシピを変えている。きび砂糖の量を変えたり、生地に蒸したお芋も練り込んだりなどなど。そうこうしていると自分好みの「鬼まんじゅう」が見えてきた。

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【材料】

・さつまいも(皮を剥いて1センチ角にカットする)400g

・きび砂糖30~50g

・小麦粉120g

・水(25g~50g)

※プラスα…蒸してマッシュしたさつまいも100g(生地に練り込むとやわらかくて美味しくなるので、用意できるなら入れたほうが好み)

【作り方】

1)ボウルにきび砂糖を入れておき、皮を剥いて角切りにしたさつまいもを入れよく和えて15~20分ほど置いておく。※お砂糖と和えることでお芋から水分がでてきます。お芋も甘くほっこりします。

2)1)のボウルにお水を入れ混ぜ、小麦粉を入れよく混ぜる。※あればここでプラスαのマッシュしたさつまいもも練り込むとイモイモしていて美味しくなる。

3)クッキングペーパーやアルミカップに2~3口で食べられそうな量をこんもり盛り付け、強火で12~15分蒸し上げる。楊枝でお芋がスッと通ればできあがり。

※…2)のところで、ココナツファインや甘栗を混ぜ込んだりしても良い。

※…このレシピだと砂糖が控えめなので、甘いのが好きな方はお砂糖の量を増やして下さい。また、白いお砂糖を使うと甘さが強くなるのでお好みの量を自分で探してください。

※…蒸し菓子なので日持ちしません。涼しいところで保管して~2日くらいで食べきって下さい。

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作った「鬼まんじゅう」をもって、イベントの差入れにしたり、お芋を下さった方や、ご近所さんに配って回った。すると「鬼まんじゅう」に対して、私の思っていた反応と違っていて驚いた。

まず、旦那さんに「鬼まんじゅう作ったからここに置いておくよ」というと、かなり反応が鈍い。もう一度「鬼まんじゅう置いておくからおやつに食べて」と言い直しても、よくわからない顔をしていたので「…ひょっとして鬼まんじゅう知らないの?」と聞くと、「初めて見た」という。同僚のいつおさんも「初めて見た」という。2人とも東京出身。まさか、関東には無いのか?と思っていたら、山形出身のシェフも「鬼まんじゅう?何それ」というではないか。。。山形はいろんなお饅頭があると勝手に思い込んでいたので、驚愕だった。ご近所さんにお渡ししても、みなさん「へぇ~」という感じで、ご存じなかった。

わたしは「鬼まんじゅう」は、全国で知られていて、普通に食べられているおやつだと思い込んでいたので、こんな簡単にできて素朴で美味しいおやつが知られていないとは…。ということは、逆に、そんなおやつが他県でもあるんだろうな…知りたいし食べたい…と思ったのだった。さ、明日も「鬼まんじゅう」作ろ~。

大塚 智穂