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 シルバーバーチの霊訓

🕊ムーア夫妻とテスター夫妻への賛辞

2019.12.26 01:10

シルバーバーチ最後の啓示

一章 ムーア夫妻とテスター夫妻への賛辞


まえがき

シルバーバーチの霊言も本書が最後かと思うと、ちょっぴり寂しい気持と、よくぞここまで倦まずに訳してきたものだと、自分で自分に感心する気持とが交錯する。

私がシルバーバーチと出会ったのは大学二年生の時で、「心霊と人生」という月刊誌を出していた心霊科学研究会の事務所(世田谷)を訪ねた時に、私が英文科生であることを知っていた主筆の脇長生氏が英文のサイキック・ニューズ紙を私に手渡して、何でもいいからこの中から適当なものを選んで訳してくれないかとおっしゃった。

それを大事に持ち帰って下宿で開いた時にまっ先に私の目に飛び込んできたのが、有名なインディアンの肖像画だった。

聡明さと威厳を兼ねそなえたその顔を見た時に何かしら親しみのようなものを覚えたのを思い出す。が、その肖像画を取り囲むように印刷された霊言は、当時の私の英語力では読むことすら覚束なくて、魅力を感じながらも訳すのはあきらめた。 

そして、ヒマラヤの奥地で見かけたという白い巨人、いわゆる雪男の話を訳し、それが翌月の「心霊と人生」に掲載されて、天にも昇るうれしさを覚えたものだった。

その記事を、恩師の間部詮敦氏が三重県の自宅でお読みになって私の翻訳力に目を付け、「心霊時報」という、英米の翻訳記事ばかりで構成した、ガリ版刷りの月刊誌を出す話を私に持ちかけられた。これを私は若者の特権の〝怖いもの知らず〟で、二つ返事で引き受けてしまった。

間部先生は慶応大学のご出身で英語を読む力をお持ちで、当時、米国最大の心霊週刊紙サイキック・オブザーバーを購読しておられた。(当時は日本の全国版の朝刊よりもページが多かったが、現在は凋落して思想的にもスピリチュアリズムから離れ、かつての面影はない)

私はさっそく新たにサイキック・ニューズとスピリチュアル・ヒーラー(月刊誌・ハリー・エドワーズが主筆)を購読する手続きをしたり、翻訳・転載の許可を得る手紙を書いたりといった、私にとって初体験の仕事が重なり、他方では翻訳もしなければならず、過労と睡眠不足のために目を傷め、失明寸前にまで行きながら、かろうじて助かった。が、この仕事のお陰で私の翻訳力は飛躍的に伸びたように思う。

その「心霊時報」の巻頭言や余白にシルバーバーチの霊言を断片的に使用した。

それが私がシルバーバーチを訳すようになった最初である。(「心霊時報」は四〇冊まで出した時点で先生の健康上の理由で中止となった。その四〇冊の現物は日本心霊科学協会に寄贈してある)

以上は一九六〇年前後の話で、それから二〇年ばかり経った一九八〇年に日本心霊科学協会から月刊誌「心霊研究」への連載記事を要請され、その瞬間に脳裏に浮かんだのがシルバーバーチだった。それは「シルバーバーチは語る」と題して連載され、その後潮文社から「古代霊は語る」と改題して出版された。

これは、その時点までに英国で出版された霊言集のエキスを私が一冊にまとめたものであるが、その後読者からの要望にお応えして、全十一冊の全訳(総集編を入れて全十二巻) が出版された。

「心霊研究」に連載されたのは一九八〇年の秋からであるが、そのころから私は無性にバーバネルに会いたくなり、その年の暮に出発して新年早々(四日)にロンドンの社長室で面会した。

そして帰国する前にもう一度挨拶に訪れたが、それがバーバネルとの今生での最後の面会となった。その年の七月にバーバネルが心臓発作で他界したのである。

年末から年始にかけてはどちら側にとっても都合が悪いので、翌年の夏休みにしようかと考えた。が、ただただ気持ちが急くので、冬休みを選んだのであるが、それが正解だった。夏休みにしていたら今生では会えなかったわけである。あの世では会えることは間違いないが・・・・・・。

今から思うと、それから始まるシルバーバーチ霊言集の全訳という大仕事は、もともと霊界側で計画されていて、霊媒のバーバネルに直接面会することが、互いの霊団にとって何らかの意味があったのであろう。

サイキック・ニューズのスタッフの一人が「あなたの背後霊団にこんどの英国訪問を急かせた霊がいますね」と言っていたのが、今となっては印象的である。 

バーバネルの死期が迫っていることを察知したからという見方もできるが、それだけでなくて、直接会うことによって互いの霊団の間での打ち合わせを緊密にするためだったのではないかと考えたりしている。その後の私の出版事情を振り返ってみると、そのことを強く感じるのである。 

まず潮文社からの全十二巻が完結すると間もなくコスモ・テン・パブリケーション(太陽出版)という、当時設立したばかりの出版社から、ぜひシルバーバーチをという要請があり、トニー・オーツセン編集の〝愛〟の三部作(「愛の摂理」「愛の力」「愛の絆」)が出され(注1)、それが終ると、 

こんどはハート出版から要請があって、やはりトニー・オーツセンのその後の二冊(日本語版では三冊)の翻訳を約束した。 

一冊目は「シルバーバーチ不滅の真理」、二冊目は 「シルバーバーチ新たなる啓示」、 そして本書となる(注2)。たぶんこれが最後の一冊となるであろう。 

その後原書は出ていないし、これから出るという話も聞かない。カセットを出すという話をサイキック・プレスの社長カール・ダンカンから直接電話で聞いているが、一年以上たってもまだ実現していない。財政的によほど苦しいのであろう(注3)。 

そんな中で、最近日本で、出版とは別の形での新しい動きが出ている 。

一つは、シルバーバーチの愛読者が、目の不自由な方たちのために、ご自分の朗読をカセットテープに吹き込んでおられることである。 

妙なもので、「勝手に吹き込んだことをお許しください」という手紙とともにカセットが送られてきたその日に、目の不自由な女性から電話があり「シルバーバーチの霊言というのがあるそうですが、テープに吹き込んだものは出ていないのでしょうか」という問い合わせがあった。 

もちろんさっそく送ってあげた。そして三、四日後に涙ながらの感謝の電話をいただいた。しかもその方は、それから二、三か月後に目が見えるようになっているのである! 

その後も二、三の有志の方から、霊言をカセットに吹き込んでいる旨の連絡をいただいている。こうしたことが端的に教えているように、シルバーバーチ霊団は間違いなく今も活動を続けているのである。

なお本書は、後半になるにつれて、オーツセンが、最後の一冊ということで〝少しでも多く〟と考えた結果であろうか、無雑作に詰め込みすぎた嫌いがあり、そのまま訳すには躊躇せざるを得ない箇所が多くなっている。そこで私は、全体を私なりに編集し直して、章数も五から八に増やして、焦点を細かくしぼった。 

最近、私の訳を参考にしながら原書で読んでおられる方が増えている様子なので、念のためにお断りしておく次第である。

注1 現在は「心の道場」より『シルバーバーチの霊訓』シリーズとして自費出版にて復刻。

注2 それぞれ、現在は『シルバーバーチのスピリチュアル・メッセージ』、『シルバーバーチの新たなる啓示』として新装版がハート出版より刊行されている。

注3 その後カセットは発売された。現在はCD版となり『CDブック・シルバーバーチは語る』としてハート出版から発売されている。




一章 ムーア夫妻とテスター夫妻への賛辞


ムーア夫妻と言う名前を見て、ああ、あの二人かと思われた方は、よほどのシルバーバーチフアンであろう 。

夫のバーノン・ムーア氏はかつてメソジスト派の牧師として教会で司牧していたが、シルバーバーチの霊言との出会いで魂の目を覚まされ、いさぎよく牧師の職を辞して、スピリチュアリズムの普及に尽くすようになった。 

妻のフランシス・ムーア女史はハンネン・スワッファーが司会者となって本格的なホーム・サークルを結成し、霊言が記録に残されるようになった当初からの速記者で、その仕事はバーバネルが他界する一九八一年まで続いた。 

そのムーア夫妻がドーセット州に移転した時、バーバネルが訪れてそこで交霊会を催し、シルバーバーチが出現して献納(*)の言葉を述べた。それは同時に、夫妻への賛辞でもあった。

※開所式などで行われる儀式で、神聖な場所として神に捧げる───これを〝聖別する〟という───ことを目的とする。除幕式もこの部類に入るとみてよいであろう。


「本日は、こうしてお二人の新居をお訪ねして、霊界からの私の愛と挨拶の言葉をお届けすることになって、本当にうれしく思います。私の使命の遂行の上で私と身近かな関係のある方々と話を交わし、これまでに積み重ねてきた知識と叡知と愛と情を分かち合うことができたのは、私にとって大きな喜びです。 

お二人の新居でお二人と身近かな関係にある方々に祝福の言葉を述べるようにとの要請を受けた時、私はそれを大変名誉なことと受け止め、こころよく承諾しました。

〝家〟というのは、それを構築している物質のみで出来あがっているのではないことを、まず銘記していただきたいと思います。本当の意味の〝家〟とは、一定の位置を持つ〝場所〟であると同時に、そこに住まう者の精神が調和して、より高い生命の界層からの影響力を受けられる状態でないといけません。 

そういう状態であってはじめて、その家に〝霊の宮〟ができたことになります。顕と幽の二つの世界を隔てる障壁が取り除かれ、邪魔物が排除され、両者が一体となります。

もとより、あなた方の目には見えず耳にも聞こえませんが、そこには、全ての束縛(物的カルマ)から解放された、光り輝く存在が常に存在して、地上からの要請に応じております。

お二人のお家もまさにその一つです。この家でこの私に献納の言葉を述べることを要請なさったということは、ここに集われる方にとって、この家が聖別された神聖な場所であることを心に掛けていただきたいということでしょう。 

たしかに、ここは霊と物質とが接する場であり、私どもの世界から派遣された者が訪れて、あなた方を通して、闇の中にいる人々に光を見出させてあげるための仕事をする場所です。 

一般の家とは異なるということです。もちろんお二人にも人間としての日常生活があります。が、それだけではなく、霊力が顕現する場でもあるということです。霊の灯台として、道に迷い疲れ果てた旅人に光を照らしてあげ、憩いの場、休らいの場を与えてあげることです。 

彼らは霊的に生き返り、自分がこの世で為すべきことを鮮明に理解して、再び人生の荒波へと乗り出して行きます。これを本当の意味での献身というのです。 

お二人が今後とも霊による援助を実感され、この家においてお二人が使命を完了するように常に背後から守護し導いていることを知っていただきたいと思います。

お二人に対する私からの感謝の気持はお分かりいただけるものと信じます。これまで忠実に果たしてこられた使命への献身ぶりに、私はいつも感謝しております。お二人の存在が私たち霊団の使命の達成に掛けがえのない力となっております。 

何度も申し上げてきたことですが、お二人の努力がどれほどの貢献をしているか、あなた方ご自身にはお分かりにならないと思います。 

私たちの使命は、こうしてお届けする霊界からの真理の言葉によって地上の人々が本当の自我の存在に気づき、霊的に目覚めるように導くことです。その結果として、地上人生の本来の生き方に立ち戻ります。これはとても大切なことです。 

時には冗談も言い、笑いころげることはあっても、そうした中にあってもなお、私たちが霊的な使命を帯びた大霊の使者であり、達成すべき理想へ向かって刻苦しなければならない立場にあることを忘れてはなりません。 

地上の同志と私たち霊団の者との協調のおかげで、ずいぶん多くの人々に光明をもたらすことができました。これからさらに多くの人々の力になってあげることができることを思うと、やり甲斐を覚えます。 

お二人も快活な心と曇りのない精神をもって前進してください。恐れることはありません。盤石不動の真理の上に築き上げた霊的知識をお持ちなのですから。 


これまでにあなた方に啓示され、あなた方の行動と思考の堅固な基盤となっているものを書き改めないといけなくなるような事態は、絶対に生じません。 

そういう絶対的な知識を手にされているお二人は、本当に恵まれた方です。その知識を縁あってあなた方のもとに来られる人々に分けてあげてください。 

こうした知識は、弁証法的論理や激論によって受け入れを迫るような性質のものではありません。タネを蒔くということだけを心掛けておればよろしい。幸いにしてそのタネが芽を出せば、その成功を喜ぶのです。私たちも協力しています。これからも協力し続けます。堂々と胸を張って生きてください。 

霊力に対抗して人間がいかなる論法を用いても、そんなもので霊力の存在が否定できるものではありません。 

私のことを目に見えざる家族の一員と思って下さい。できるだけ多く、あなた方の日常生活を共にさせていただきたいと思っております。私から提供するのは愛と霊力です。それこそ最高の贈りものです。宇宙の大霊の永遠不滅の恩寵の一部だからです」



シルバーバーチの交霊会の生みの親ともいうべき、ハンネン・スワッファーが一九六二年に他界してからは、交霊会は再びバーバネルの家の応接間で行われるようになった。

ある日の交霊界にテスター夫妻が招かれた。M・H・テスターといえば、心霊治療家としてスピリチュアリズム関係の人の間ではその名を知らぬ人はいないほどよく知られているが、それまでの道のりは大変だった。 

長く苦しい闘病生活のあと、テッド・フリッカーという治療家に奇跡的に救われ、そのフリッカーから「あなたも治療ができますよ」と言われ、モーリス・バーバネルを紹介された。 

さっそくバーバネルを訪ねてスピリチュアリズムを知り、さらにシルバーバーチの交霊会にも招かれて教えを受けた。 

その最初の交霊会はテスター夫妻のために用意されたようなもので、テスター氏も思いのたけを披瀝して、教えを請うた。シルバーバーチはその一つ一つにていねいに答えてから、それまでのテスター氏の人生は治療家になるために用意されたもので「あなたは人の病気を治すために生まれてきたのですよ」と言った。 

それから何年になるだろうか。久し振りで訪れた夫妻にシルバーバーチはこう述べて歓迎の意を表した。 


「思い出しますよ、あなたが初めてこの会へ来られた時のこと、そしてその後も何度か出席されて、いろいろと質問されたことを。 

難問や苦悶を抱えておられることがよく分かりましたが、私はそのつど〝いずれ解決します〟と申し上げましたが、霊の力は決して見捨てないことが、今こうして振り返ってみるとお分かりと思います。 

無限なる英知をそなえた大霊が授けてくださった才能を正しく使っているかぎり、霊力はこれからもあなた方を援助しつづけます。 

私たちはパートナーシップ(連携)を大切にします。私の霊団には居眠りをしているパートナーは一人もいません。みんな活気にあふれ、一体となって働いております。あなた方がたどってこられた道を振り返ってごらんなさい。あの逆境の体験の中で光明を見出されたのです(※)。霊的な虹をごらんになったのです。 

あの虹は、あの絶望的な苦境をも霊力はあっさりと切り開いてあげたのだから、これからもいかなる困難も必ずや解決してみせるとの霊団側からの約束のしるしと思って下さい。あなたは立派に使命を果たしておられます。これは、そう簡単にできることではありません」

※───その体験をまとめたのが 『私は霊力の証を見た』で、潮文社から拙訳が出ている。〝三大霊訓〟に次いで訳者がぜひ読んでもらいたい一冊である)


テスター 「私が今かかえている問題は、コミュニケーション(語り合い)とは違った意味でのコミュニオン(触れ合い)のことです。治療家としてこのコミュニオンが大切だと思うのですが、私にはそれが実感として感じとれなくて、暗中模索の状態です。 

私の治療の仕方は今まで通りでよろしいでしょうか。もし他に試みるべき手段またはテクニックがあれば、教えていただきたいのですが・・・・・・」


「これはとても大切な問題です。霊が物質と関わり合うには無限といってよい段階があります。その中で、コミュニオンはコミュニケーションに優ります。 

コミュニオンというのは意識の高まり、ないしは深まりがもたらす魂の触れ合いのことで、霊視とか霊聴といった伝達手段によるコミュニケーションよりも実感があります。

あなたの治療体験を振り返ってごらんになれば、何もしなくても自然に分かるようになってきたことにお気づきのはずです。その証拠に、患者にいちいちどこがお悪いのですかなどと尋ねる必要を感じないまま治療に入っているケースが多いはずです。 

さらには、病気そのものの状態だけでなく、その原因まで直観的に分かってしまうことがあるはずです。それだけ進歩なさったわけです。私の意見としては、霊視や霊聴よりはコミュニオンの能力を発達させるほうが大切だと思います」 


テスター 「よく分かります」


「これはスピリチュアルな手段の最たるもので、そうなることが望ましいのです。といって、私は他の能力がだめだと言っているのではありません。霊的な触れ合いが得られるようになった時は、霊界の相当高い界層にまで入り込んでおります。 

いずれにしても、これまでなかなか立派におやりになってますよ。何も問題はないと思いますが・・・・・・」


テスター 「時には、まったく良くならない人がいて・・・・・・」


「もちろんいますよ。霊的にまだ良くなる段階まで来ていない人なのです」


テスター 「私は私なりの観点から、これでいいのだと勝手に考えて治療に当たっています。ただ、患者の人間性に問題がある場合に・・・・・・・・・・」


と言いかけたところ、シルバーバーチが遮って、 

「言いにくいことですが、あえて言わせていただくと、それはあなたの人間性に問題があることの証明でもあるのですよ(※)。あなたが初めてこの交霊会にお出でになった時、私が、あなたは人の病気を治すために生まれてきたのですよ、と申し上げたら、あなたは、患者に来てもらうにはどうすればよいのでしょうか、とお尋ねになりました。

私は、心配いりません、患者はそのうちやってまいります。多くて困るほどになるでしょう、とお答えしました。今も、競馬でいうと、いい位置につけていらっしゃるんじゃないでしょうか」

※──患者の人間性は治療家の人間性の証であるという考えもシルバーバーチ一流の高度な哲学で、私の師の間部詮敦氏も、どんなに不快な思いをさせられる患者でも、自分の心の鏡として、絶対に拒絶なさらなかった。 

間部先生はシルバーバーチのことは何もご存知なかったが、私が師事した期間に見聞きした先生の言動には、不思議にシルバーバーチの思想と相通じるものがあった。とても地味なご性格だったが、スピリチュアリズムの潮流にのって生まれた大霊格者のお一人であったと、今しみじみとその偉大さに敬意を抱いているところである。 



続いてシルバーバーチは夫妻に向かって、 

「私はお二人のお家によくお邪魔しておりますが、お二人ともどうぞこの交霊会にいつでもいらしてください。私は今後もお二人の家をお邪魔して、生活ぶりを体験させていただき、私にできる範囲で援助し、お仕事に邪魔が入らないように配慮いたしましょう。声がしないからといって私がいないと思わないでください。 

あなた(テスター氏)にはまだまだやっていただかねばならない仕事が山ほどあります。それに比べれば、これまでになさったことは微々たるものです。ということは、これからも新たな悟りへの窓が開かれていく可能性があるということです。 

そのことを喜ばないといけません。もちろんあなたにとっては辛い試練を意味するものであることは、私もよく承知しております。が、そうした中にあってあなたの魂の安らぎが次第に深まっていくのを見て、私はうれしく思っております。霊的真理にしがみつくことです。強大な霊力は決して見捨てません」 


テスター「こうして時折この交霊会で信念を再確認できることは有り難いことです」 


「その通りです。神の意志を機能させるためには道具がいります。チャンネルになってくれる人間です。そういう人の協力を得なくてはなりません。命令はしません。あくまでも協調です。協調によって神の意志を成就していくのです。

 難しい問題があり、悩みがあり、時にはうっとうしい気分になることがあっても、あなたは神の豊かな恩寵を受けられた方です。予定された道を歩んでおられます。使命を立派に果たしておられます。人のために役立っておられるということです。それさえ心掛けておられれば、あとは時が至ればすべて落着くべきところに落着きます。

一かけらたりとも心配の念を宿してはなりません。まったく無用のことです。心配の念は敵です。魂をむしばむ敵です。絶対に侵入を許してはなりません。

これまでに啓示された真理に全幅の信頼を置き、それを基盤とした信念に燃えることです。あなたにはスピリチュアリズムという知識があります。それを基盤とするのです。つまり理性に裏づけされた確信、信じるに足る根拠を持った信念に燃えることです。あとのことは万事うまく行きます。真一文字に進んでください。あなたはあなたなりにベストを尽くしておればよろしい」


テスター 「遠隔治療のことですが、私はこれまで私なりのやり方でやってきて、時たま良くなったとの手紙を貰う程度で、果たしてどこまで効いているのか実感がなかったのですが、今までどおりでいいのでしょうか。改善するとすればどういう点でしょうか」 


「今までどおりで結構です。遠隔とはいえ、直接手を触れて治療するのと同じ効果があります。理由は簡単です。あなたに治療を申し込むことによって患者との間にリンク(つながり)ができ、それが霊力の通う通路となります。その通路として霊に使われる以外に、あなたには何もできません。

つまりあなたは、通信機のような役割を果たすだけです。霊の触媒となるといってもよいでしょう。霊医が合成する治癒エネルギーがあなたという人格を通して患者に届けられるわけです。

効果を上げるためには、あなたの受容力を高めるしかありません。受容力が高まれば、霊団との一体化が深まります。これには時間と努力を要します。

これまでの経過を振り返ってごらんなさい。霊団との一体化が今までになく深まってきていることにお気づきになるはずです。いかがですか」 


テスター 「かつては想像もできなかったほど深まっております」


「それとともに〝悟り〟も深まります。すると今度は〝明察力〟が芽生えてきます。治療家の仕事は手で触れてみることのできないもの、計量器で計ることのできないエネルギーを扱う仕事です。

ですから、察知する能力がいります。そのエネルギーの潜在力は無限ですから、その中から患者に適合した最高のものを調合する必要が生じます。

霊側から治療家に要求するのは、最善を尽くすということだけです。霊側も最善を尽くし、お互いの協調の中で、医学に見放された人々を救ってあげるのです。

もしもそれで何の反応もないとしても、それは治療家の責任ではありません。患者の責任です。霊的にまだ治るべき段階に至っていなかったということです。こうしたことはみな霊的法則の働きによって自動的に決まることなのです」


テスター 「そのことは理解しております」

「治療を依頼してきた人を片っ端から治すということは、不可能であると同時に、望ましいことでもありません。患者は受けるべき量の援助しか受けません。

その計算は一分一厘の狂いもありません。霊的に計算されるからです。迷わず突き進んでください。あなたの歩んでおられる道は間違っておりません」


テスター 「私のもとを訪れる患者の方も私の自己実現に貢献しているとのだという考えは正しいでしょうか」


「その通りです。一方通行ではないということです。あなたは患者を救い、患者はあなたを援助しているのです。それはちょうど、私がこの交霊会に来て地上の皆さんの一助として働きながら、私は皆さんからの援助を受けているのと同じです。これは協調の法則の一環でして、宇宙はこの協調によって進化しているのです。調和・協調・善意を通して働くのです。

病気が首尾よく治った時は、それはそれとして素直に喜ぶがよろしい。が、奇跡的な治癒の体験を通して患者の霊的意識が目覚めることになれば、さらに大きな喜びの源泉となります。そのほうが肉体の病気が治るということ以上に大切なことだからです」 


テスター 「そういうケースが多くなっています」


「それだけ大霊と協調した仕事をなさっているということですよ。神の力がその目的成就のために、あなたを通路としているのです。伝統的とか正統派をもって任じている教会が行なっていることより、あなたの方がはるかに大切なことをなさっておられます。教会には霊力の顕現の場がないからです。

これからも神の道具として、いつでもご自分を役立てて下さい。最善を尽くしてください。あなたには奇跡的な体験がおありです。霊団が、サービスにはサービスをもって返すことをよくご存知です。何一つ迷うことはありません」


シルバーバーチ