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影の立役者?"Operation Experience"なしでCXを考えることはできないという話

2019.12.26 04:39

※本記事はnoteの転載です。


こんにちは、ポテンシャライトの土屋です!


先日「OX 採用」でGoogle検索したところ、1ページ目まるまる小田急OXのアルバイト募集ページへのリンクだったんですよ。でも、EXという言葉が今は人事に知れ渡ったのと同じように、選考におけるOXという概念も、近いうちに一般化すると想像しています。


提唱させてください。Operation Experienceとは、“神は細部に宿る”を体現するCandidate Experienceの黒子なんです!


👨‍💻「そんなこと急に言われても、ハイハイ。横文字ばかりのいつものやつね。なんちゃらエクスペリエンス。またそういうやつね。」

という声が聞こえてきます。


話を続けさせて頂きます。

先日当社山根がCX(Candidate Experience)についてnoteを書きました


すでにアメリカでは採用におけるCXのトレンドが進んでいます。Googleは"CX Manager"を任命し、Airbnbは"Candidate Journey MAP"を運用しているそうです。Slackでは"リクルーティングコーディネーター"が求職者対応のプロとして、従来一般のいわゆるリクルーターとは異なる役割として配置されています。TalentLyftにより、CXを実業務に取り込んだATSも生まれています。


IBM Smarter Workforce Instituteの調査結果
によると、「選考プロセスに満足した候補者の54%が採用オファーを承諾している」・「満足していない候補者が採用オファーを承諾したのは39%」とのことです。


本日のテーマであるOX(Operation Experience)とは、求職者の選考体験一連を指すCX(Candidate Experience)の一部であり、手段の一つです。

簡単にいうと、選考結果連絡や日程調整などの、求職者接点のことです。

IX(Interview Experience)と勝手ながら呼ぶことにした、"カジュアル面談や面接における求職者体験"、また、OX(Offer Experience)※注 と呼ぶことにした"オファー提示における求職者体験"などと比べると、OX(Operation Experience)は地味かもしれません。

というか、だいぶ地味だと思います。


この地味にみえるOXを一言でいうと、「“神は細部に宿る”を体現するCXの黒子」だと思っています。

急にカッコよく見えてきませんか…🤔


そんなわかる気がするしわからない気もするOXを、紐解きます。

※以降、OX=Operation Experience

※注:OXが二つもあって紛らわしくて心苦しいです。山根に言ってください。


目次

(1)OXとは?
(2)OXには4象限ある
(3)OXの4次元って?
(4)少し実例を


(1)OXとは?

下記のようなことがOXのスコープに入ります。

採用実務をしている方や人材業の方はイメージがわきやすいかと思います。

👉どんな時に

・求職者へのエントリーのお礼
・日程調整のご連絡
・選考結果のご連絡
・適性試験の対応依頼
・ご入社承諾のお礼  etc


👉どんなことによって

・レスポンススピード
・メッセージ文章の工夫
・相手の心情や意図を汲んだ対応
・相手の事情や自社の事情を踏まえた建設的な対応 etc


👉何をもたらすのか

・相手や自社にとって建設的に物ごとを前進させること
・自社への選考意欲を高めること/自社のファンになること
(逆に対応が良くないと…)
・双方にとって物ごとが前進せず機会損失となること
・自社への選考意欲を低下させる/選考離脱すること


OXって実はすごく重要なんだよな…😵

という気持ちを表現したくて図にしたのがこちらです。


CX(求職者の選考体験全体)は、直接的なコミュニケーションと間接的なコミュニケーションに分かれます。
この直接的コミュニケーションにおける選考の場以外”全て”がOXといえます。


直接的なコミュニケーション、つまり求職者と企業が直接接点をもつことにおいて、力をいれやすい”カジュアル面談”や”面接”、”オファー面談”に比べ、それ以外であるOXにあたる部分はあまり重視されていないのではないでしょうか。


就職/転職活動経験をおもちの方はおわかりいただけるかと思いますが、求職者視点でいえば、企業と対面する選考の場"以外"の方が時間が長く、心理的な影響が大きい場合も多いです。

(採用HPや面接官は素敵だったけれど、選考結果連絡や日程調整連絡で不信感を抱いた経験はありませんか?)


※本noteでは詳細記載しませんが、CXの間接的コミュニケーションにおいて、SNSやCGM(転職口コミサイトなど)の影響は非常に大きいです。
OXでネガティブな体験を提供した場合、SNSやCGMで不特定多数に影響する可能性を認識しましょう。


(2)OXには4象限ある

「じゃあOXって、心情に配慮した文章をかいたりレスポンスを早くしようということ?」

という単純な話ではありません。


テクニックだけでは説明できない領域があるんだよな…🤔

と考えて思いついたのがこの4象限です。


※センス…
センスという言葉を使うか悩みましたが、”機微を捉えるなどの情理の感覚”や、”様々なステークホルダーの意図を汲んで建設的に物ごとを前進させる推進力”も含めて表現しています。


(3)OXの4次元って?

先の4象限でプロットされている4つの丸を、それぞれ説明していきます。

一次元から四次元まで段階をおうごとに、提供する体験の質が上がっていきます。

一次元:高さ(配慮)

他者視点はなく、マニュアルの範囲で対応できる

二次元:広さ(レパートリー)

まだ他者視点は乏しいものの、引き出しが増えて対応範囲が広がっている

三次元:奥行き(他者視点)

他者視点をもち、多少先を想像した対応ができる

四次元:時間(CXの提供)

他者視点を俯瞰しながら、選考体験(CX)全体視点で対応できる



具体的には…(各次元の中にもlevel別で記載しています)

◇一次元:高さ(配慮)

最低限の謝罪や感謝、配慮を文章で示せるかどうかが、一次元です。


😥信じられないかもしれませんが、実際にこんなことありませんか…

・企業事情で連絡が遅延したのに、そのお詫びの一文がない
・求職者が本来調整が難しい日にちを提示してくれたのに、感謝の一文がなく、事務的に確定詳細だけを送る
・求職者から家族の病気を理由に面接リスケのお詫びを頂いているのに(真実はさておき)、「大変な中ご連絡ありがとうございます」の労わりの一言がない


◇二次元:広さ(レパートリー)

二次元の一次元との違いは、配慮の引き出し(レパートリー)がどれほどあるか、です。


😲例えばどんな引き出しがあるでしょうか?

・「せっかくお時間確保を頂いたのに、心苦しいのですが…」
・「ご多忙の中、このようにお時間確保を尽力いただきましたこと、誠にありがとうございます…」
・「ご就業中でいらっしゃりながら、今回の調整ではご負担をかけてしまい…」
・「お気遣い頂きまして、本当にありがとうございます!」
・「再度お手間をおかけしてしまいますが、例えば以下の日時を検討いただくことはできますでしょうか…」
・「実は、基本的には夜の時間帯はご調整致しかねるのですが、例えば…」などなど

言い回し一つで与える印象は変わりますよね!


◇三次元:奥行き(他者視点)

二次元までは、自分の引き出しの範囲での「配慮」です。

三次元からは、「他者視点」という相手軸が入ってきます。

あとの実例にて、例文をご紹介します。


◇四次元:時間(CXの提供)

三次元と違い四次元の条件は、CX視点と前進性があることです。


🤔四次元のOXは、特に、2次面接以降や内定前後で重要となります。

・求職者の意向が高いが、自社はまだ相対比較段階の場合…
・求職者の意向が低めだが、役員はとても採用したい場合…
・求職者の希望の提示年収はどうしても出せないが、ぜひ入社してほしい場合…
・求職者の自社への優先度は低いが、オファー面談にどうしてもきてほしい場合…
などなど

どんな風にメッセージを作りますか?どうやら、OXは、単に配慮した一文を入れられるかどうか、レスポンスが早いかどうか、といった単純な話ではなさそうですね…


(4)少し実例を

最後に、少しだけ実例を紹介します。


◇例① 求職者に、平日日中は調整が難しいと仰せだったが日程調整をしていただいた時

「ご調整誠にありがとうございます。」

「本来ご調整が難しいとおっしゃっていた日中の時間帯でご調整、誠にありがとうございます。」

「本来ご調整が難しいとおっしゃっていた日中の時間帯でご調整いただき、現職調整大変だったことと想像します。
お仕事を抜けてご来社いただけるとのこと、誠に恐れ入ります。」

「本来ご調整が難しいとおっしゃっていた日中の時間帯でご調整いただき、現職調整大変だったことと想像します。
お仕事を抜けてご来社いただけるとのこと弊社事情で恐縮ですが、実施確定しておりますので、当日は何卒よろしくお願い致します!
(今回、弊社CTO田中が多忙によりピンポイントなご相談になり、申し訳ございませんでした…)」


※四次元の補足…調整確定後とはいえ、求職者が多忙によりリスケする可能性がある。選考官の確定も大変だったというニュアンスを出し、確実にご実施頂けるような布石を打っている。


◇例② (小さなお子さんがいらっしゃるなど)夜の時間の設定は避けたいという求職者の方に、それでも夜の日程提示をお願いしたい時

「恐れ入りますが、再度ご検討をお願いいたします。」

「夜のお時間は避けたいとのことでしたので恐れ入りますが、再度ご検討頂きますようお願い致します。」

「お仕事などご事情がおありかと想像いたします。夜のお時間は避けたいとのことでしたので大変恐縮なご相談ですが、ご検討頂きますようお願い致します。」

「お仕事などご事情がおありかと想像いたします。夜のお時間は避けたいとのことでしたので大変恐縮なご相談ですが、ご検討頂きますようお願い致します。
どうしても日程提示が難しい場合や、調整しやすい曜日などあれば仰ってください。
また、すぐのご提示が難しい場合、目処をご教示いただければ幸いです!」


※四次元の補足

三次元までは、求職者にこのまま返信頂けず離脱する可能性がある。ご事情やご希望に歩み寄る姿勢をみせ、また、自社の要望に応えられない場合でも返信をしやすい安心感を与えている。


こういう文章が書けると、音信不通による離脱はしにくくなりますよ!特に最終面接段階やとても採用したい求職者へは、三次元や四次元の対応ができれば、CX全体の質があがり、採用の結果に影響しそうですよね。


すべてにおいてここまで丁寧にする必要があるかはさておき、求職者や選考状況によってどんなOXを提供するか、という選択肢は広いにこしたことはないですね!


スライド全体はこちらをご参照ください。

ここまでお読み頂き、誠にありがとうございました!


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