姉との手紙
私が回想録を三番目の姉に送ったところ、姉から次のような手紙が私に届いたのでした。
お寒い日が続きます。 皆さんお元気ですか。
お手紙有難うございました。
皆な、それぞれの人生、いい事も悪いこともありますよね。 でも、苦労した人はそれなりにいつか報われるというか、自分の幸せを自分の手で掴んだ時の感動は忘れられないものです。
上の姉が言ってたけど、あなたは人の苦労を背負って手前向きに生きていける人だって。
あなたの宿命。生まれて来た時から決まっていたかも知れませんね。
私も同じような運命です。でも、自分なりにストレス解消しています。
いつも、ニコニコしていられるの。
お母さんも大変な苦労をしたけど、二人の親孝行息子を育てて、最期は幸せ
一杯の幕を閉じたのですから本望だと思いますよ。
これから、無理をしないで自分の健康管理に気をつけ家族と共に幸せな生活を送って下さい。
私ももうすぐ、孫が生まれます。
可愛い孫に囲まれ、元気で明るく長生きしたいと思っています。
ではお元気で
私はこれに対し、次のような近況の手紙を送ったのでした。
拝啓
厳冬の候、ついに東京にも雪が降りました。
朝、部屋のカーテンを開けると外は白い銀世界でした。
私のマンションの2階から公園が見えるのですが、そこで小さい子供が朝早くから雪のかまくらを早速造っていました。 最初に造った雪のかたまりの中を手でかき分けて、自分がその中に入れるようにしているのでした。
子供にとってはとても楽しい雪遊びのようでした。
さて、近況をお知らせしたいと思います。
私は最近、美智子皇后のインドでのスピーチ文を読んでとても、感動しました。
美智子皇后はそのスピーチで子供時代の読書の大切さを教えていました。
しかし、私はそのスピーチをされる美智子皇后の心情を察して、感動したのでした。
美智子皇后はスピーチの中で小さい時に聞かされた(新美 南吉の)『でんでん虫の悲しみ』という童話を紹介されました。
そのでんでん虫は、ある日突然、自分の背中の殻に悲しみが一杯つまっていることに気づき、友達を訪ね、もう生きていけないのではないか、と自分の背負っている不幸を話します。 友達のでんでん虫は、それはあなただけではない、私の背中の殻にも、悲しみは一杯詰まっていると、と答えます。 小さなでんでん虫は、別の友達、又別の友達と訪ねて行き、同じことを話すのですが、どの友達からも返ってくる答えは同じでした。 そして、でんでん虫はやっと、悲しみは誰でも持っているのだ、ということに気づきます。 自分だけでないのだ。 私は悲しみをこらえていかなければならない。 この話は、でんでん虫が、もうなげくのをやめたところで終わっています。
美智子皇后はその童話を知って、少女時代にはそういうこともあるのかなと思っていたそうです。
そして、その頃、まだ大きな悲しみというものを知らなかったのだそうです。
美智子皇后は『私たちは複雑さに耐えて生きていかなくてはならない』と語りかけているようです。
美智子皇后のその笑顔の陰にはさまざまな苦難があったことが思われます。
(近江 誠著 『挑戦する英語』から引用)
私はこのスピーチによって、後年、皇室に入り、心ない批判を受け、失語症にもなられた美智子皇后の心情を察したのでした。
背負いきれないほどの悲しみとは美智子皇后のことでした。
今度は雅子妃殿下が背負いきれないほどの悲しみを持っているように思えます。
実は人はそれぞれ、程度の違いこそあれ、誰でも悲しみを背負っているように思えます。
善人だけでなく、悪人と思われている人にも同様にあると思います。
人は皆、心の中に悲しみを持って、生きているという事実です。
そして、大切なことはその悲しみを悲しみとして認めつつも、それを乗り越えて絶望せずに、いつまでも夢を持ち、明るく、生き抜くことだと思います。
その意味でお姉さまはとても素晴らしいと思います。
話は転じますが、弟には離婚後、最近になって新しい彼女ができました。
今年の1月にその彼女を紹介してもらいました。
私の近くのレストランで弟、彼女、私と妻とで会いました。
会ってみると彼女はとても明るく、人情味のある人のように見えました。
二人とも、離婚した身ですが、当面は再婚しないそうです。
ですが、私は弟には良い伴侶が出来て良かったと思っています。
実は最近、弟は眼の検査で(視野狭窄という現象を伴う)『網膜色素変性症』という難病になっていることが分かりました。
現代医学では治療が不可能で、症状の悪化を遅らせるのがせいぜいだそうです。
年々、眼の視野が狭くなり、人ごみの中では両サイドの人が見えず、人にぶつかってしまうそうです。
やがては10年も経つと失明の恐れさえ、ありうるとのことです。
症状を遅らせるための錠剤を1日2錠飲んでいるそうです。
彼女が弟の杖にも支えにもなってくれればと望みます。
私は普段は勿論のこと、まさかの時には特段のサポートをさせてもらう覚悟です。
先日、弟と彼女は世田谷のボロ市に行ってきました。
その帰りにあんこの付いたお餅を買ってきてくれました。
家族でそれをおいしくいただきました。
最後のなりましたが、お菓子を同封させていただきました。
皆様でご賞味いただければ、幸いです。
寒さ厳しき折柄、御身お大切に。
では又。
敬具