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年の瀬を背にして

2019.12.30 15:00

年の瀬の「瀬」とは、「川の流れが早いところ」という意味だそうです。

年末は忙しく、時の流れが早いことからそう呼ぶようになったとか、なってないとか。


年の瀬を背にして2020の陽を見つめています。

2019から連れてきた哀しみや愛しみの手を取って、年の瀬に背を向けています。


背中合わせの年の瀬。

そこから2019のせせらぎが聴こえてきます。

(仲保作品達)


色々あったでは済まされないくらい色々ありました。2作上演し、3作目を稽古中。仲保作品以外も二本。演劇以外の事でも色々ありました。


2019のせせらぎがおよそ「せせらぎ」と呼べないほど急速に音を立ててきました。

いよいよ「年の瀬」に流れゆくのでしょう。


「ありがとう」を色々な人に言わなきゃいけない年になりました。今まで以上にそんな一年でした。

ハタチの皆んな、コドレムの皆んな、アルスゼロの皆んな、それ以外でご一緒した皆様、別にご一緒はしてない皆様。


ありがとうございました。


年の瀬を背にして。

一歩踏み出せば2020の陽が待っています。

2020の陽はアルスの火。燃えても焼けないセントエルモの火。

2020は、2/22-23の舞台で私の物語を終わらせないことを目標にやっていきます。


面白い作品にします。

心の底から信頼できる作品にします。

心の底から言葉を吐き出して作品にします。

どうか見に来てください。


それでは良いお年を。 仲保樹でした。

(仲保樹)

——「アルスの果てまで、一緒に行きませんか?」

光る見えない楽器の行進はそう言って、不可視の旋律を奏でました。男は、身体じゅうが不思議な感覚に襲われました。

あたたかいようでつめたいような、力がみなぎるようで力が抜けるような、嬉しいようで悲しいような。

「なにを、一体なにをしたんです」

「フィリアルス……その力をキミにあげたんだ。フィリアとは愛。アルスとは芸術」

男は途端に黙りこくってしまいました。自分にはその言葉が似つかわしくないと思ったからです。やがて尋ねます。

「だからどうして僕なんかに!」

すると、男は、楽団の楽器達がこう歌うのを聴きました。

「だって、キミはそれが好きみたいだから」

光る見えない楽器を打ち鳴らすその行進は、年の瀬を背にして、新しい方向へ流れていきました。

男は、その後を追うことはせず、ただ、先程の感覚を忘れないようにしました。

「今年も終わるなぁ」なんて言いながら。

(フィリアルスの物語.3)