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砕け散ったプライドを拾い集めて

we are the world

2019.12.31 05:03


ラーメン屋で学生時代によく注文していた「レバニラ定食」を懐かしくて食べている時に、いきなり“We are the world”が流れて、しばらくはこの酷い取り合わせに面食らって、箸が止まった。

https://www.youtube.com/watch?v=XblpaAyj234

1985年の1月にアメリカのアーティストがアフリカの飢餓と貧困を解消する目的で『USA for Africa』というプロジェクトを立ち上げ、作られたキャンペーンソングだ。作詞・作曲はマイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーが共同で行い、プロデュースはクインシー・ジョーンズが担当。

1984年にイギリスのボブ・ゲルドフによるエチオピアの飢餓救済プロジェクト『バンド・エイド』を発足させ、発表したチャリティー曲「Do They Know It’s Christmas?」の成功に刺激を受けて、翌年にアメリカで立ち上がったプロジェクト。ゲドルフもここに駆けつけ、キーノート・スピーチを行い、コーラスの一員としても参加しています。

その当時世界のトップクラスのアーチストを46人も集めて、さらに演奏家、参画する技術スタッフ、録画のクルー、フォトグラファーなどなど全てが完全な手弁当というボランタリーで制作しています。

これを聴いたとき、「僕らの世界とはひとつ、僕らはその世界の子供たち」という歌詞に、肌の色や文化や宗教そして国境を越えて隣人愛が音楽に翻訳されて人類を幸福にさせていくのだなと思わせ、そのことがわれわれの心の底をとても暖かくしたものです。

クインシーが各アーティストにデモテープを送る際に、「スタジオの入り口でエゴを置いてきてください。今日はタキシードもイブニングドレスもないパーティーです」と一言を書き添えたといいます。当然のことに、それぞれがエゴの結晶のような人たちへ、敢えて……。
このプロジェクトに招待を受けたアーチストたちが「アメリカン・ミュージック・アワード」がはねてから、三々五々スタジオに駆けつけ、普段着もしくはロゴ入りのTシャツやトレーナーに着替え、次のパーティの始まり。

リハーサルが始まったのが夜中の3時、4時から録音、朝の8時にやっと終了。かれらには矜恃はあってもエゴはどこにも見当たらない。最近流行のブランディング用語のPurpose(「存在意義」)という大義のために全員が奮い立ったのだろうと思う。
そして、レコード、ビデオ、ポスター、Tシャツ、トレーナーなどの売上82億円余をアフリカに贈ることとなった。

だが、世界の他のいろんなところで依然として飢餓も迫害も戦争も絶えることはない。アフリカはもちろんシリア、ミャンマー(ロヒンギャ)、ウイグル、ベネズエラなどなど枚挙に暇はない程に……。現在の世界の難民の数は7000万人という酷さは人類に絶望さえ感じる。

嬉しいことに、『USA for Africa』は依然として活動を続けていて、エボラ出血熱や気候変動問題、医薬品提供などで、依然として“We are the world“で得られた印税が原資で、従前ほどではないにしろ、いまだに印税が得られているとのこと。主要な国々はアジアの国で、とりわけ日本だと事務局は感謝していた。

 (メイキング)↓

https://www.youtube.com/watch?v=YYKzS08k1cE