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story48.何もない地に家を建てた先見の目

2020.01.01 08:17

年が明け2020年になりました。干支が一周して再び子年、2020年代という新しい10年の始まりの年でもあります。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

何もないところから、新しいものを生み出すことは、本当に尊いことだと思います。私の祖父がこの家を建てた時、家の周りにはほとんど何もなかったそうです。近くに鉄道は通っていたものの最寄りの千里丘駅はまだなく、電車での交通の便はあまり良くなかったと思います。30分ほど歩いた場所には当時も山田村の集落がありましたが、家の周りはほとんど里山と田んぼだけだったと聞いています。そんな何もない新しい土地に、何故家を建てようとしたのか。とても気になります。竹やぶが多くとても水が綺麗だったからとか、必ず近くに駅ができて今後栄える場所になると見越していたからとか、いくつか聞いたことはありますが、はっきり断定できる訳ではありません。ひょっとしたら、聴竹居から三川合流が見えるように、小高く上った我が家からは今では見えない景色が見えていたのかもしれません。例えば淀川が見下ろせたとか、遠くに梅田や船場の町が見渡せたとか、しかし、これも想像にしか過ぎません。当時は何もない不便だった場所が、今は梅田から電車で15分、名神高速道路のICや新幹線の停車駅からも近くて非常に交通の便が良く、かつ万博記念公園が近くにあるなど緑も残った住宅地という、非常に良好な立地場所になっています。最近、家そのものの建築様式が評価されてきていますが、何もなかったこの地を新しく家を建てる場所として選んだおじいさんの先見の目も、同じくらいすごいなと思っています。

2代目の父母はこの家にほぼそのまま住んでいましたが、3代目である我々夫婦は生かすところは生かし、変えるところは変える、状況に合わせて柔軟に適応していくことが役割と思って活動しています。0から1を生み出した初代の思いを感じながら、1から2や10といった価値を生み出していけるよう、今年も来年以降も頑張っていけたらと思います。

元々何もなかった千里丘。私が子供の頃にも残っていた里山や田畑は開発されてほとんどなくなってしまいましたが、小さい山田川や大正川、由緒ある須佐之男命神社や伊射奈岐神社は今も残っています。お正月には、初日の出や初詣など、当時の景色も想像しながら、訪れています。

Katsuji