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「第二の家」ブログ|藤沢市の個別指導塾のお話

偏差値70の中学生の私が異世界へ飛ばされて勉強をした話

2020.01.02 14:06


気付いたときには、見知らぬ世界にいた。


空の色や陽が昇るのは一緒。だけど、風の匂いも道端に咲いている花も全然違う。まさに異世界だった。


突然到着したポイントから辺りを見回すと、立て看板があって、村はこちらと書いてある方にとりあえず進んでみた。そこには看板通りに小さな村があって、数十人ほどの人が暮らしていた。言葉は通じなかったが、なぜか私が着くと彼らには大変に喜ばれた。


村の中に一人、私と同じようにどこかから飛ばされてきたおじさんがいて、その方が英語を話せたので、通訳になってもらって村人の方々となんとかコミュニケーションが取れた。どうやら私のことを伝説の勇者だと思っているらしい。


ありがちな展開だ。勉強の合間に異世界モノの小説は山程読んだからこういうのには慣れている。


この世界の現状を簡単に説明しよう。大体想像もつくだろうが、「魔王」という存在が魔物たちを使って人々の生活を苦しめているらしい。数多くの冒険者達が魔王討伐に向かったが、誰一人帰ってこれた者はいないという。


そんな折、北の祠にほど近いアイザックの村の占いばばあが「勇者は不思議な格好をした女」という予言をかましたらしい。それで制服姿の私を見て村人たちは「勇者が来た!」と興奮していたわけだ。それにしても占いばばあって名前酷いですよね。


ただ、もちろん私に勉強以外の取り柄はない。剣なんて振れないし、盾も鎧も重すぎる。私に残された魔王討伐の手段は、勉強でなんとかなりそうな「魔法」しかなかった。


幸いこの地域の城の図書館に「初心者魔法指南書」という古文書があるそうだ。早速村唯一の魔法使いの方と通訳のおじさんとパーティーを組んで、魔物たちの習性的に動きが鈍る早朝に移動を開始した。


途中魔物たちに何匹か遭遇したけど、彼らも朝は何かと忙しいようで私達のことはスルーだった。正直言えば、彼らのそのグロテスクな見た目に多少引いたけれど、臭いは前を行くおじさんの方がひどかった。


道中、魔法使いの方にいくつか魔法を見せてもらった。炎が出たり水が出たりしたが、目的はそれを見ることではなかった。英語同様、言語を覚えるときはまず音からが私の持論だ。魔法は彼らが普段使っている言語とは違う独特の詠唱があるようだったので、それを知っておきたかったのだ。


おかげで、古文書の解読は捗った。まず英語で使う「フォニックス」のように、文字と音の確認。一文字ずつのルールを把握する。そのルールに則って読んでいって、例外に出会ったらメモ。そこからは「サイトワーズ」という「単語をそのまま覚える」手法でメモに書いた単語の塊をそのまま覚えていく。これを繰り返していけば、知らない言語でもほぼほぼ読んでいける。


あ、ちなみに英語を0から学びたい場合はこちらを読んでね。


しかも、どうやら古文書の著者の賢者はけっこう良い人っぽくて、なるべく同じ単語を使って文章を書いてくれていた。そのせいもあって、私はすぐに村の魔法使いよりも多くの魔法が使えるようになった。


やってみたら面白くなっちゃって、一日後には、城の魔道士たちよりも多くの魔法が使えるようになった。「さすが勇者」と言われたけど、「いやどう見ても魔道士だろ」と心の中で突っ込んだのは内緒にしておいた。


途中間違って召喚してしまったドラゴンが城を滅ぼしかけた時は焦ったけど、その次のページに載っていた極大消滅呪文で城の隣の巨木ごと吹き飛ばしてやった。割と爽快だった。王様が超ビビってた。


そんなこんなで古文書の全魔法を覚えた私は、地図から縮尺を計算して割り出した座標を使って、転移呪文で魔王城の前まで行き、極大消滅呪文で城ごと吹き飛ばして魔王を倒した。もうちょっと冒険を楽しんでも良かったのだけれど、早く帰って次のテスト勉強をしないといけなかったから、さっさと終わらせた。


城に帰って、異世界移動の禁呪の魔法陣を自分で書いて、いつもの世界に帰ってきた。まぁ、普通の日常よりは刺激的な、良い夏休みだった。


実は私は中2のときにも向こうの世界に飛ぶのだけれど、その時の敵になるカルト教団よりも遺跡の謎(数学の幾何パズルみたいだった)を早く解いてしまい、魔神復活を未然に防いでしまった。何の盛り上がりもない。


魔神のアイテムまで手に入れて、強大な力を持ちすぎた私が、城に帰ったら「勇者」ではなく「大魔王」と呼ばれるようになっていたのは、ここだけの話。


中3のときの冒険については、また今度の機会に語ろうと思う。


おしまい



本日もHOMEにお越しいただきありがとうございます。

いや、ちょっと書きたくなっちゃって。