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「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか

2019.10.01 16:12

イノベーション関連の話題などで何かと騒がれている中国ですが、彼らがどのような世界を見据えているのかを理解したく、本書を読んでみました。実際に深センにも行ってきましたが、まだまだ中国というものが大きすぎて全く捉えきれておりません。

■中国製造2025

中国製造2025自体は、2013年末に最初の答申が提出されたとの事ですが、そもそも、あくまで最初の10年間の行動綱領であって、3段階あるうちの最初のステップに過ぎないのだとか。

第1段階 2025

第2段階 2035

第3段階 2045

ハイテクのコア技術に関しては、USを抜くのに向こう30年掛かるだろう、と考えている。


■4つの基礎

産業の基礎能力強化の項目で、以下4点は低いとみなされている。

核心となる基礎部品

先進的な基礎工程

カギとなる基礎材料

産業技術の基礎

中でも、具体的な数値として、核心基礎部品とカギとなる基礎材料の70%を2025年までに自給自足出来るようにする、とある。


■千人計画と万人計画

出国した中国人留学生が帰国している人数に関して、以下の数値がある

1978~2017 出国516万人 帰国313万人

2012~2017 出国???万人 帰国231万人

約40年の累計のうち、習近平主席になってからの僅か6年で、全体の74%が帰国している(≒それだけ政権に寄せる期待が大きい事を表している。らしい。)

千人計画に関しては、元はノーベル賞受賞の元中国人(楊振寧)をUSから引き戻し、多大な貢献があった事が由来と言われている。海外人材だろうが外国籍だろうが国家の発展のためには容赦なく引き抜いてくる、といった具合。

2011 完全な「外国人」も受け入れる

2012 2263名

2018 7000名~


■大学ランキング

調査機関としては以下が有名

Quacquarelli Symonds(QS)

Times Higher Education(THE)

1.Massachusetts Institute of Technology (万人計画で招聘)

2.Stanford University (万人計画で招聘)

3.Harvard University (万人計画で招聘)

4.California Institute of Technology(特にパイプが太い)

11.National University of Singapore (万人計画で招聘)

12.Nanyang Technological University (万人計画で招聘)

17.Tsinghua University (清華大学)

23.University of Tokyo (東京大学)


■顧問委員会

清華大学の経済管理学院の顧問委員にPrivateSectorのCEOが名を連ねている。

Henry Paulson(former CEO of Goldman Sachs)、Jamie Dimon(CEO of JPMorgan Chase)、Elon Musk(CEO of SpaceX)、Mark Zuckerberg(CEO of Facebook)、Tim Cook(CEO of Apple)、Jack Ma(Chairperson of Alibaba)、Ma Huateng(CEO of Tencent)、Satya Nadella(CEO of Microsoft)、Masayoshi Son(CEO of softbank)…etc


■研究開発費の推移

UNESCOの各国研究開発費の推移について以下のような図が引用されている。直近のデータは挙がっていないようで予測でしか無いものの、この図では既に中国がUSを抜いている、とされている。


■衛星測位システム

本書では、中国が宇宙に対する投資を非常に強めているという論調が多いように見受けられる。その中でも、2016中国宇宙白書では以下のような表記がある。

「2018年に一帯一路沿線国およびその周辺国に対して、基本的なサービスを提供する事を計画している。2020年前後には、35機の衛星発射ネットワークで、世界中のユーザーにサービスを提供する。」

USがメインでカバーしているGPSを中国が今度は独自に作り出す、という意思の現れである、とのこと。


■国連との関係性

一帯一路の中でも、アフリカへの注力度合いは大きい。私が現場(モザンビーク)などでプロジェクトに携わる中でも感じたが、インフラ設備への投資や華人の進出などは軍を抜いている。

本書では、2018年開催の中国アフリカ協力フォーラムを取り上げており、約3000人の53ヶ国首脳陣が集まったという。その中でも、国連の事務総長であるグテーレスさんの中国への傾倒度合いは「異形」とも取り上げられている。国連事務総長への選任にあたっては、「中国に支援してもらったことを感謝している」と、ほのめかすような表現もしているほどだとのこと。