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Just a blue

DITA Dream XLS

2020.01.02 14:00


DITA Dream XLSを購入した理由は「Dreamが買えなかったから」です(笑)。

2017年発売のDITA Dreamは部品供給の都合(チタン筐体の切削の歩留まりの悪さ)で、発売からわずか4ヶ月ぐらいで終売となってしまいました。当時の高級・高音質イヤホンは多ドラやハイブリッドが中心で、「シングル・ダイナミックイヤホンに20万?!」と懐疑的でしたが、その高い評判を聞きつけて購入したいと思った時にはすでに終売で中古にも出てこない、買いたくても買えない状況でした。

翌年に出たFealtyを購入してDITAのイヤホンを初めて所有しましたが、高解像度、タイトな低音、見通しの良さなど「多ドラ、ハイブリッドいらないじゃん」と、その音質に驚いたのと同時に「やはりDreamが…」と悶々とした気持ちにもなりました。2年間のDreamが入手できなかった悔しさから、Dream XLSに飛びついてしまった訳です。

といっても、DreamとDream XLS、音は別物ですけど…


エイジングとイヤピースに悩んで200時間

初めにエイジングですが「最低200時間は掛かります」。

箱から出した直後ではイヤピースが合っていなかったのもあり、シンバルがうるさすぎて私には「かなり高音寄り」に感じました。正直「失敗したかも」と購入を後悔しかけました(笑)。エイジング100時間程度では全く印象は変わらず高音キンキンで心配しましたが、エイジングが200時間を超えたあたりから、やっとハイハット・シンバルなどの高音も落ち着きました。とはいえ、エイジング完了ではなく「聴けるようになった」感じです。エイジング完了まではもう少しかかる気がしますので根気よくエイジングしてください。

エイジング中はイヤピース選びにかなり悩みました。DITA標準、同梱品のFinalイヤピースEタイプ、RHAデュアル・デンシティ、SpinFitなど手持ちの社外品のイヤピースも含めいろいろ試しました。エイジング途中の高音キンキンの時は「FinalイヤピースEタイプ」をメインに曲によって「DITA標準」に付け直すくらい悩んでいましたが、エイジングが完了する頃には「DITA標準」に落ち着きました。私にはDITA標準が解像度が高く、低音もタイトでDream XLSの音をスポイルしないように感じます。イヤピースは密閉度を上げたほうが低音が減らずバランスが良いと思いますが、DITA標準イヤピースは作りが小さめで、一番大きいものでも他社のLサイズより少し小さい感じですね。もう1サイズ大きいのがあってもいいと思います。


リファレンスと楽しさの両立した音質

HIFIMAN R2R2000(Red)の4.4mmポートとDITA標準イヤピースで聴いた音質の印象です。

チタン筐体のDream XLSからは「剛性の高い、緩みや濁りやブレのないビシッとした音」が出ます。「硬質というよりも、しっかり締まった音」といった感じです。Dream XLSの後にアルミ筐体のFealtyを聞くと音が緩く・甘く感じられます。決してFealtyの音が悪いわけではありませんし、Fealtyもタイトでいい音です。それ以上にDream XLSがすごいだけです。

音に艶やドライブ感もあり、リファレンスと楽しさが高次元で両立している感じです。よく聴くと結構しっかりした低音が出ていますが、中音域を邪魔することはなく、ボーカルは気持ち良い距離と量です。音のバランスは「微弱かまぼこ」で中音域がメインで低音は気持ち控えめです。Dream XLSを聴いた直後に他のイヤホンを聴くと、低音が多くボーカルが引っ込んでるように感じます。しかし、この「微弱かまぼこ」に慣れると極めて自然でいいバランスだと思えます。音楽が滞ること無くサラサラと鼓膜を通過して頭の中に届き、聴き疲れすること無くいつまでも聴いていられます。

XLSの名の通り、音場は「ホールコンサートを聴いている感覚を思い出すくらい」広いです。音が「響く・伸びる」のではなく、「スケール感のある澄んでタイトな音が染み渡るように広がる」感じです。


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各社フラッグシップモデルは素材・加工・技術に妥協しませんので、音が良いのは当たり前です。感想も「すごい!」で済んでしまいあまり書く事がありません(笑)。音質の印象は部分的に突出したところがある方が個性的で高性能と感じてしまいがちですが、Dream XLSにはそれがありません。とにかく全てが高いレベルで絶妙な塩梅なのです。初めて聴いた時は「無個性で普通なのかな?」と一瞬錯覚してしまうかもしれません。でも3〜4曲と聴くにつれて一音一音のレベルの高さに気づいて「すごいな、これっ」と驚いて、気づくとアルバム1枚聴き終わってしまいます(笑)。

ここまで来ると良し悪しではなく、好き嫌いでしか判断できません。もちろん私は大好きです。