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M's tail

迷路の森

2016.04.25 19:25

方位磁石が狂っている事に気付かずに

いや、気付かないフリをし続けて、

引き返す場所さえ見失った。


どうやら薄暗く陰気な森の奥の様だ。

立ち竦むと走馬灯が駆け巡り出した。


すぐに飛び込み、

すぐに信じ、

すぐに委ね、

すぐに許した。


酷く渇く、息が苦しさを増す。

何故ここまで歩いてきたのか思い出す事は出来るのに、

ここから何処に行くつもりだったのか、何もかもが霞んだ。


迷っているのは肉体か精神か。

飲み込まれたこの森は一体誰が創り出したのか。


悴む指先は完璧に感覚を失っていた。

寒くて寒くて寒くて。

微笑みながら迎えに来てくれるのなら

悪魔でも良いとさえ思う。


そうだ、ここに迷い込んだのは己の意志なのだ。紛れもなく。

逃げ出すしかないと思ったのだから。

光は射すのに、孤独極まりない場所に辿り着いた事を責めていたから…。


後の祭り、笑うしかなかろうよ。

抜け出したくなったら抜け出せるさ。


この迷路の森を創ったのは自分自身だととっくに知っていた。