映画『ダゲール街の人々』にみた、自分の芝生を手入れする魅力
2020年元旦。
忙しさからようやく抜け出して
映画館へ。
たまたま観た映画がこんなにも
心を捉えるなんて、なかなかないので
一体何に心を掴まれたのか
深掘りしてみました。
映画の見え方は人それぞれで、
その意見を交わすことが面白い。
そのうちの一つとして捉えていただけたらと思います。
1975年に公開された映画
アニエス・ヴァルダ(Agnès VARDA)監督の『ダゲール街の人々』
(原題 Daguerréotypes)を観賞。
パリ14区の下町 'ダゲール通り' の
ささやかな日常風景が切り取られた
ドキュメンタリーは、当時のフイルムの色や質感と相まって、ホッと肩の力が抜けた。
70年代パリの暮らし。徐々にそのゆったりとしたペースに、心身ともに居心地が良くなっていった。
こんなにも落ち着くのは
いつ振りだろう?
ダゲール通りに連なる商店で展開されるそれぞれの人生。
地方の小さな村出身の方々が多く、様々な出会いと経緯で辿り着いた
パリ。彼らの生活は決して華やかではなく、とても素朴。
だけれども、各々がささやかな幸せを大切に感じ、身近な人を想いあって生きている様がとても幸せそう。
彼らの心からの笑顔が
映画を見終わった今でも
心に鮮烈な印象を残している。
自分自身の選んだ道を歩むこと、
お役目を全うする姿からは
充実感さえ感じる。
ひっそりとした暮らしだけれども
生活に埋もれた小さな宝物を見つけて楽しんでいる、その力みのない軽やかさにも魅力を感じる。
そんなささやかな生活をそっと包み込むことができる社会。その余白の部分にもグッと引き込まれる。
多くの情報を取り入れ過ぎてしまうためからか、人と比べて自分は…と落ち込んでみたり。
更には効率・スピード重視とされ、
自分を見失いがちな私たち現代人からは、彼らの人間らしい地に足のついた生き方が輝いてみえるのだろう。