MG ガンダムバルバトス レビュー
2020.01.08 05:16
今回のレビューは、1/100スケール マスターグレードモデル より、
“MG ガンダムバルバトス” です。
“機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ” 前半の主役機、
厄祭戦(このレビュー書くまで厄 “災” 戦だと思ってた・・)で人類側の切り札となったガンダムフレーム機の1つで、鉄華団のエース、三日月・オーガスの乗機となった
“ASW-G-08 ガンダムバルバトス” が
マスターグレードモデルで登場しました。
これまでのシリーズとはまた違った独特の雰囲気が印象的だった “鉄血のオルフェンズ” 。
なんというか、変な方向でもいろいろと話題になりました。物語の本筋はシリアスなはずなのに、ツッコミどころが多過ぎてネタ作品になってしまった感もあります。
個人的には、厄祭戦とかMAとか、世界観の根底に関わる設定は丸々要らなかったとさえ思います(笑)。
ガンプラキットの話になると、放送当時に発売された低価格帯のHGシリーズは近年稀に見る充実振りで満足できました。
同じく1/100シリーズの出来もなかなかだったよう(僕は当時HGしか買っていませんでした)なので、MGの発売はもう少し先・・とりあえずダブルオーが一巡してからかと思っていたんですが、とくになんの脈絡もなく発売されましたね。
まぁ、ガンダムフレームの流用を考えると、ここらでまず1つくらい出しておかないと後々のスケジュールが大変、ということもあるのかもしれません。
それでは、レビューしていきます。
キットは素組みに最低限の墨入れ、一部塗装と付属シールでの仕上げです。
ガンダムフレーム
オルフェンズに登場したMSはすべて系列ごとに共通のフレーム構造(一部、フレーム自体に手を加えた機体もありましたが)を有していました。
第1期では、ガンダムフレームのほかにグレイズフレーム、ロディフレームなどが登場しましたね。
MSは基本このフレームで区別されるため、外見がまったくガンダムじゃないグシオン(劇中での初登場時)も、フレームがガンダムフレームなのでガンダムということになります。
さて、今回のMG化にあたっては、やはりこのフレーム構造をどこまで再現できるかが重要なポイントだったはず。
果たして結果は・・
ある程度のアレンジはあれど、設定画の雰囲気がかなり忠実に再現されているのではないでしょうか。
頭部から爪先に至るまで、すべての内部フレーム構造を再現したキットはMGでも久しぶりです。
最近だとアレックスのVer.2.0がいいところまでいっていましたが、あちらがあくまでキット構成における内部フレームの域を出なかったのに対し、こちらはガンダムフレームが1つの完成形である以上、ディティールもしっかりしており、外見上外装を取り付けるためのダボやスリットなども極力目立たないようになっています。
基本的にはダークグレー1色ですが、コクピットハッチや脚部の一部にゴールドのパーツ、そして各部のシリンダーはシルバーメッキのパーツが使われ、いいアクセントになっています。
ただ、シリンダーパーツはこれメッキとされていますが、塗装ですよね? こういうのもメッキっていうのかなぁ?
メッキというと、昔のBB戦士みたいなピカピカのイメージがあるんですが・・あぁいうの、最近は滅多に見ないですね。
ツインアイはクリアグリーンのパーツで再現。ブラックライトを当てると光るらしいですが、僕はそんなもの持ってないのでシールを貼りました(笑)。
シリンダーギミック
全身14箇所のシリンダーが各部の可動に応じて伸縮します。
ほかにも、首の後ろの動力パイプや肘、膝の一部フレームなど、関節の動きに連動するパーツが多数。
最近はMGでも足首のシリンダーすらディティールのみでお茶を濁しているものが多いなか、さすがに再重要ポイントということで気合いが入っています。
ただ繊細な部分も多く、実際に動かすときにはけっこう気を遣います。
そして、そんなふうに気を遣って動かすわけですが、これが実のところ思ったほど動かない・・まぁ、そりゃそうですよね。シリンダー自体が可動域を制限しちゃってるんですから。
肩間接を見てもらえばがわかりやすいですが、鎖骨と後背筋で2方向から引っぱられているようなもので、前方向への引き出しはある程度できるものの、後方にはほぼ引けませんし、上方への跳ね上げも同様です。
外装を着けた状態だと、肩アーマーが干渉するためさらに窮屈になってしまいます。
胸部も左右のエイハブリアクターが下から引っぱられている状態で、捻り動作はほどほど。
ていうか、腰細っ!(笑)
腰部自体は軸接続なので、ぐるっと360度回すことができるのですが、腰の細さに加えて接続がけっこうキツめなので、捩切れないか不安です・・
背中では、首や胸部の動きに連動して脊椎部分のシリンダーが伸縮。
肘や膝、踵もそれぞれ関節の動きに応じてシリンダーが伸縮します。
この辺りはとくに問題なし。
強いて言うなら、足首が軸接続で横向きに回転するのみ、脚部分(爪先から踵)が縦回転するという構造はガンダムフレーム独特のもので、若干クセがあります。
コクピット
コクピットは上部と正面、2箇所のハッチが可動します。
中には着座姿勢の三日月が。もちろん上半身は裸です。あまり見えませんが(笑)。
また、左右のエイハブリアクターの内部パーツは回転します。
ガンダムバルバトス
外装を装着してガンダムバルバトス完成。
今回は第1期でもっとも露出の多かった第4形態でのリリースとなっています。
無印1//100と較べて全体にエッジ強めの修正が加えられており、プロポーションもよりメリハリのあるものになっているかと思います。それに伴い、若干全高が高くなっているもよう。
バルバトスのキットでは、やはり1/100スケールのハイレゾリューションモデルというものもありました(未購入)が、あちらのような尖ったアレンジはなく、むしろ無印1/100よりもアニメデザインに近くなった気がします。
各部の外装パーツはフレーム可動への追随の都合もあってかなり細かく分割されており、合わせめもほぼありません。
もちろん色分けも完璧に近く、頬のダクトのイエローなどはとても小さいパーツになっているので紛失には十分注意を。
肩や膝、コクピットハッチのエンブレム(?)はクリアピンクのパーツを裏打ちする構造になってます。今回唯一の塗装箇所として、それらのクリアパーツの裏面をシルバーで塗りました。まぁ、気持ち程度の効果ですが。
MGオリジナルのマーキングシールは上部コクピットハッチの鉄華団マークのほか、漢字の鉄華団、三日月 王我主(オーガス)、型式番号などを貼りました。
ふくらはぎのスラスターは下向きにスライドし、膝の可動域を確保。その左右のスラスターも可動します。
しかし、第5~最終形態のぶんはともかく、第1~第3形態に換装可能なボーナスパーツくらいは付けてくれてもいいのに・・と思わないでもないです。
なお、無印1/100のグレイズに付属した第1および第2形態再現用の左腕外装パーツ、そしてグレイズの肩アーマーの流用はできませんでした。
武装・ギミック
メイス
バルバトスの代名詞ともいえる打撃武器。
主人公機のメイン武器が棍棒て・・まぁ、これまで例がなかったわけではありませんが。
棍棒とはいえ、4方向に鋭利な刃が生えた外観は凶悪ではありますが、わりとスタイリッシュな気もします。
保持には汎用の武器持ち手を使用。
柄に3箇所あるリング状の部分を指側のスリットにはめ込むかたちで固定するのですが、あまりかっちりとは固定できません。
なお、ハンドパーツは親指以外の4指を交換するいつもの仕様で、持ち手以外に平手と握り手が左右分付属します。
先端中央の杭部分が突出するパイルバンカーギミックも再現されています。まぁ、スライドするだけですが。
さらにMGオリジナルギミックとして、4枚の刃のうち2枚が取り外せ、ナイフのように持つことが可能(これもあまり上手く固定できず)になっています。
しかしこれ、なぜか説明書では一切言及されていません。公式の動画では紹介されていたようですが。そんなとこ、トランスフォーマーの真似しなくていいのに・・(笑)
太刀
メイスよりは主人公の扱う武器としては相応しい気はしますが、鞘などはなく、常に抜き身。実に漢らしい(笑)。
柄を含めた刀身と柄(つか)の2パーツ構成で、刃の切っ先はおそらくは安全基準ギリギリでなかなか鋭くなっていますが、刀身全体はけっこうは厚みがあります。
これも斬るというよりは叩くための武器なんだろうなぁ。
柄の部分の多数刻まれているスリットに指側の突起をはめ込んで保持しますが、こちらはメイスと違ってしっかり固定でき、持つ位置の自由度も高いです。
300㎜滑空砲(60㎜マシンガン)
大型・長射程の射撃武装。
グリップ前方の細い棒状のものはセンサーではなく60㎜マシンガンだそう。
上部センサーのレンズ部分はクリアパーツは使用されず、シールでの再現になっています。
基本的に背部のラッチにマウントしたまま、脇に抱えるような状態で使用されます。
グリップは左右に可動。さらにマシンガン含めて前後にスライドします。
ラッチはカバー部分が展開し、内部のアームとシリンダーが可動。
アームは根元で回転。滑空砲側のジョイントも可動しますが、あまりフレキシブルに動くものではないため、取り回しはあまりよろしくありません。
シリンダーには軽いストッパーはありますが、わりと簡単に抜けます。でもそれは滑空砲の装着や破損防止のためにあえてそうしているようです。
各武装のマウント状態。
滑空砲は、砲身をスライドさせたのち折りたたむことで差し換えなしの収納状態への変形を再現。
背部マウントラッチは側面のグレーのパーツを両側引き出し、その間にジョイントを差し込む仕様になっています。滑空砲は直接、メイスと太刀は共用のジョイントパーツ(2個付属しますが、なぜか1個は予備扱い)を介して取り付けます。
画像では右に太刀、左に滑空砲をマウントしていますが、もちろん組み合わせは自由。右側に滑空砲をマウントすることも可能です。
立ち姿の三日月のフィギュアも付属。
こっちはちゃんとジャケットを着てます。
画像で伝わりにくいですが、かなり精密に作られています。
左手を掲げたガッツポーズですが、たぶん無表情(笑)。
なお、例によってオーバースケール気味です。
比較画像
先にも言ったように鉄血の無印1/100シリーズは未購入だったのですが、今回のMG バルバトスと絡ませたいがためにグレイズのみ購入。並行して組み立てました。
グレイズのほうも素組みに最低限の墨入れ、メインカメラと胸部イエロー成型の部分のみ、シールは貼らずに塗装しています。
まずはフレーム状態で。
何度も言いますが、鉄血のMSはすべてフレーム構造を有しているため、キットにおいてもその再現が1つのウリでもありました。
HGでもある程度できていたので、無印1/100では当然それ以上の再現度になっているのですが、さすがにMGと較べるのは酷というものです。
まぁ、ガンダムフレームとグレイズフレームではまったく別ものなので単純に較べることはできないんですが、それでもディティールの細かさや可動部の仕様など、完成度の差は一目瞭然かと。
それにしても、グレイズ腕短いなぁ・・(笑)
外装、武装を身に着けて。
設定ではバルバトスの全高は18m、グレイズは17.8mなので、MGはプロポーションの調整とともにかなり長身になってしまったことがわかります。
とはいえ、並べてもとくに違和感はないんじゃないですかね。
そもそもデザインが大きく違う両者ですし、無印グレイズのほうも造形は高水準で、ディティールも程よく入っているので立ち姿のみで見劣りするということはないです。
以下、画像
まずはガンダムフレームで。
思ったほど動かない・・とは言いましたが、ここ数年のMGの水準は十分満たしています。手首のスナップや、首の稼動など、独自の要素もいくつか見られます。
ただ、やはり劇中のイメージからすれば少々もの足りない。とくに肩周りが窮屈なのは痛かったなぁ・・
まぁ、今回はともかくもガンダムフレームの再現に重点が置かれたのだと思います。これがPGとかだったら、シリンダー基部にさらに可動部を設けて肩の撥ね上げまで実現していたのかもしれませんが、MGではこれが限界なのか・・
しかし、設定としてはおそらく人体に匹敵する可動性能を持っているはずのガンダムフレームの再現を目指すうえで肝心の可動が犠牲になるとか、なんとも皮肉な話ですね。
外装を着けて。
メイスや太刀は両手持ちが可能ですが、やはり肩周りの可動に難があるためになかなか頭にある格好いい両手持ちのイメージが再現できず、歯痒い気持ちになります。
加えて指パーツがけっこう外れやすい(これはメイスの固定が緩いというのも原因かと思いますが)ため、地味にストレスを感じます。
アクションベースなどへの取り付けは、いつも通り股下に専用ジョイントを挟む方式です。シンプルな機体ということもあり、簡単にジョイントがすっぽ抜けるということはありませんでした。
肩アーマーの接続も、なぜかあまり可動のことを考えていません。
例えばMGザクシリーズなどで定番になっているアーム型のジョイントにして、腕の動きの応じて逃がすようにすれば、もう少し肩周りの自由度も上がった気がするんですが・・
画像のように腕を水平近くまで上げると、けっこうな頻度で肩アーマーが外れます。
立て膝も微妙・・
まぁ、これは太腿よりも脛が長いガンダム体型ではけっこうどうしようもないことなんですが、それをこれまでのキットでは股関節のスライド機構などでどうにかできないかと藻掻いていたわけです。
それが今回のMG バルバトス・・というかガンダムフレームでは、股関節の前方へのスライド機構は搭載されず、接続軸が上下にスイングするのみとなっています。下はともかく、上に向かせる意味はほぼない気がするんですが・・
滑空砲がなかなか格好良く持たせられない・・
武器全部盛りで。
MGオリジナルのナイフは逆手に持たせるのがいい感じ。
あと言い忘れてましたが、バックパック中央のスラスターも可動します。
VSグレイズ。
VSグレイズなら、なにはともあれ第1話のラストシーンを再現したい! という方が大半でしょうが、あのシーンのバルバトスは第1形態なので、今回のMGでは再現できないという・・
パッケージイラストもそのイメージのはずなんでしょうが、第4形態だしね。
以上、“MG ガンダムバルバトス” でした。
キットそのものの出来は申し分ないと思います。
造形、プロポーション、色分け、そしてシリンダーギミック等を豊富に盛り込んだガンダムフレームの再現度と、ここ最近のMGでもトップクラスの完成度だと思います。
ただ、結果として劇中イメージほどのアクションができなくなってしまったのは残念でした。
肩だね。肩。肩がもう少し動けばまったく文句はなかったです。
作品同様、若干可動にクセがあり、最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、アナザー系にありがちな不安定さはありませんし、なにより普通に格好いいです。
こちらが勝手に高望みをし過ぎたのかもしれません・・
そういう意味では、ちょっと可哀想な気もします。
さて、今後は当然、今回の第4形態以外のバージョン、そしてほかのガンダムフレーム機への流用という展開が待っています
まずはバルバトスの他バージョンですが、これはもう確実にプレバンでしょうね。
最終形態が単体で発売、その後しばらくしてフレーム1つに第1~最終形態すべてを再現可能な外装、武装、全部入りのコンプリートセット発売と予想してみます。まぁ、予想というか希望に近いですね。
HGのコンプリートセットは本体が2つ入っていましたが、MGならフレーム1つで事足りるはずです。
MG グレイズは当分ないとは思いますが、バルバトスの各形態にパーツが流用されていることを考えると、なくはないのかもしれない・・
ルプスとルプスレクスは、どちらからが一般でどちらかはプレバンでしょう。
バルバトス以外のガンダムフレーム機となると、単純に出しやすいのはバエルかなぁ。グシオンは最初のカエルの扱いが難しいですが、出すとなるとそれも含めて3パターン、キマリスもヴィダール含めて4パターンあります。フラウロスも来れば、それでもう9個。
これはザクVer.2.0以上に金型が酷使される可能性もありますが、はてさてどうなることやら・・
といったところで、今回は終了。
またのご訪問を。