Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

「宇田川源流」 中東騒乱イラク空港での空爆でイランの革命防衛隊特殊部隊のソレイマニ司令官死亡という「混乱」

2020.01.08 22:00

「宇田川源流」 中東騒乱イラク空港での空爆でイランの革命防衛隊特殊部隊のソレイマニ司令官死亡という「混乱」

 日本では、カルロス・ゴーンの逃亡ばかりをニュースで行っていた。ほとんどのニュース番組のトップが、ゴーン被告の逃亡であり、私からすれば、外圧と批判に負けて監視の手を緩めた日本の裁判所と、そして弘中淳一郎氏をはじめとした、消極的ではあっても保釈条件を守ることができなかった弁護団の弁護士の無責任な対応には、日本の国民として腹が立つものである。このゴーン被告の逃亡の話の内容は、私の有料メルマガ「宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話」(https://www.mag2.com/m/0001647155.html)の今月の話題としても取り上げている。

しかし、この問題よりも大きな問題があった。私自身もFacebookに書いたが、大晦日にイラクのアメリカ大使館襲撃事件が発生したのである。この時の報道では「アメリカ軍のイラク空爆に対する報復でデモ隊がアメリカ大使館を襲撃した」ということになっていたが、何か裏があるに決まっているのである。

実際にイラク戦争後、今までアメリカ大使館が大規模に襲撃されたことはない。もちろん石を投げ込まれるなどのことはあったと思うが、ニュースになるほどの話はないのである。

アメリカは、大使館襲撃事件に関してはかなり敏感である。ケニアのアメリカ大使館襲撃事件が発端となって9・11事件が発生し、未だに泥沼化しているアフガニスタン戦争や、あるいはイラク戦争に発展することになる。

また2012年のリビアにおける在外公館襲撃事件(いわゆるベンガジ事件)はそのままその後のアメリカ大統領選挙に影響しヒラリー・クリントン候補の落選につながっている。

このように考えるとアメリカの戦争や政変はすべて在外公館襲撃事件がはじめに起きているのであり、アメリカの在外公館襲撃事件はかなり大きな問題に発展する。

残念ながら日本の報道機関はそのような「歴史から学ぶ」ということが苦手なようで、イラクの大使館襲撃事件に関して全く反応が鈍い。

しかし、その注目していなかったことの問題は、すぐに結果として現れる。ソレイマニ司令官の死である。このトップニュースをしっかりと解説できているマスコミはなかった。また海外の報道機関にすべて先を越されたのである。ちなみに「新年」というのは世界中同じであるから、日本だけが取り残されたということになる。


イラク首都空港に攻撃、イラン革命防衛隊の司令官ら8人死亡

【AFP=時事】(写真追加、更新)イラクの首都バグダッドの国際空港に3日未明、複数のロケット弾が撃ち込まれ、治安筋によると少なくとも8人が死亡した。

 イラクのイスラム教シーア派武装勢力の連合体「人民動員隊」は、この攻撃でアブ・マフディ・ムハンディス副司令官とイラン革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊」のガセム・ソレイマニ司令官が死亡したと発表。米国の攻撃だと非難している。

 ムハンディス副司令官は、イランの支援を受ける人民動員隊の事実上の指導者と広くみなされていた人物で、米国がテロリストに指定していた。人民動員隊によれば、ロケット弾攻撃は深夜過ぎにあったという。

 治安情報筋は、人民動員隊の車列を狙った攻撃だったとしている。イラク軍はこれに先立ち、バグダッド空港にロケット弾3発が着弾し、車2台が爆発したと発表していた。

 バグダッドでは、米軍による親イラン派の強硬派組織「神の党旅団(カタイブ・ヒズボラ)」への空爆で戦闘員25人が死亡したことを受けて、人民動員隊の構成員と支持者らが米大使館を包囲する事件が起きたばかり。 【翻訳編集】AFPBB News

AFPBB News2020年01月03日10時37分

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/afpbb/world/afpbb-3261960


親イラン派デモ隊、米大使館を襲撃 イラク空爆に抗議

【1月1日 AFP】イラクの首都バグダッドで12月31日、米国による親イラン派勢力空爆に抗議する人々が米大使館を襲撃する事件が発生した。デモ隊は外壁を突破し、「米国に死を!」と叫び声を上げた。

 米大使館は警備の厳重な「グリーンゾーン(Green Zone)」にあり、何重もの検問に守られているため、抗議行動の参加者が到達する事態は長年起こっていなかった。

 戦闘服を着た男性や少数の女性からなるデモ隊は各所の検問を通過し、大使館の壁に到達。イラク治安部隊は目立った対応を見せなかった。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領はツイッター(Twitter)への投稿で、襲撃はイランが「画策した」と非難し、同国は「全面的な責任を負うことになる」と警告。一方で、米大使館を守るためイラクが「武力を行使する」ことを期待していると表明した。

 米国防総省の発表によると、大使館職員らは無事で、同館からの退避は計画されていない。マーク・エスパー(Mark Esper)米国防長官は事件を受け、大使館保安のためバグダッドに追加の治安要員を派遣する意向を表明した。

 デモ隊は、主にイスラム教シーア派(Shiite)の武装組織からなる連合体「人民動員隊(Hashed al-Shaabi)」の旗を振り、同組織への支持を表明した。人民動員隊は、隣国イランから訓練や武器の提供を受けている。

 デモ隊は、大使館の敷地を出るようにとの呼び掛けを無視し、石を投げたり、監視カメラを壁からもぎ取ったりした。一方、米海兵隊はデモ隊を退散させるため、まず一斉に銃弾を発射した後に催涙ガスと閃光(せんこう)弾を使用。人民動員隊によれば、少なくとも62人が負傷した。

 米国は12月29日、人民動員隊参加の強硬派組織「神の党旅団(カタイブ・ヒズボラ、Hezbollah Brigades)」を空爆し、戦闘員少なくとも25人を殺害。今回のデモはこれに抗議するため行われた。

 イラクでは米軍が駐留する地域での襲撃が相次いでおり、先週には軍事基地に対するロケット弾36発による攻撃があり、米国人の請負業者1人が死亡。29日の空爆はこの攻撃への報復だった。(c)AFP

2020年1月1日 AFP

https://www.afpbb.com/articles/-/3261793


 さて、ソレイマニ司令官の話は様々ある。実際に「宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話」(https://www.mag2.com/m/0001647155.html)の「第28話 昨日の敵は今日の友といわれる中東の民族と宗教のモザイク模様」で書いている。

昨年令和元年の3月と4月の内容であるので、少し古くあまり覚えている人もいないのかもしれないが、しかし、このゴドス(日本のマスコミによってはゴッスと表記している)軍の工作がかなりさまざまなことを行っており、その工作によって、中東の治安は、少なくともアメリカの目線から見れば、乱されている元凶であるということになる。

アメリカは、このゴドス軍のソレイマニ司令官などを「テロリスト」とし、資産の凍結や外国への渡航の停止などをしていた。

さて、今回の事件、またさまざまなことが明らかになってから詳しく解説するが、少なくとも「イランの秘密工作を行っているゴドス軍の司令長官」が「イラクの首都国際空港で」「アメリカの大使館がイラクのデモ隊によって襲撃された直後」に「アメリカ軍の砲撃と空爆」によって殺されたのである。

あえてこのような書き方をしたが、そもそも「ソレイマニ司令官は、ゴドスの幹部を率いて、なぜイラクにいたのか」ということが最も大きな問題になる。

一通り日本のマスコミを見ているがそのことに言及しているマスコミはほとんどない。基本的には、イラクで襲撃されたということは言っているが、その意味が分かっていないのである。

秘密工作員が、複数で「外国」にいるとき、当然にそれは工作、それも「大規模な扇動や破壊工作などの作戦」を行っているということになる。

当然に、司令官は、本来ならば本部にいればよく、その報告を受ければよいのであるが、しかし、お互いの監視も含めた情報員の行動は、トップの者しかすべてを把握していないということになり、そのことから、それをすり合わせて「合同作戦」を行う場合には、司令官やそれに資料をもらっている人々が直接出向かなければならない。単に情報を集めているものとは全く異なることが行われていたことを示唆するものである。

当然に、そのことが「情報部」を持っている国であればよくわかるわけであり、それが確証はないものの「アメリカ大使館襲撃事件」につながっていることは容易に想像がつくものであろう。

そのように考えた場合、アメリカが何らかの形で「アメリカ大使館襲撃事件の主犯」を突き止め、そしてアメリカ大使館員を守るために、その攻撃を行ったとしても不思議はないのである。

なぜアメリカを批判している人々や国は「イランの司令官がイラクにいたのか?」という単純なことを指摘しないのであろうか。それも「情報軍、工作員のトップがそこにいる」ということ自体が大きな問題なのである。もちろん事件がなければ何の問題もないのであるが、そのようなことを全く考えないことが大きな問題だ。

日本は、そもそもの大使館襲撃事件を全く報道していないので、「原因のない襲撃」のような話になっている。

しかし、本来はそのようなことにはなっていない。また日本の報道しか見ていないと、判断を誤ることになる。しっかりと情報を見なければならない。

この事件は今年大きく世界を変える可能性がある事件ではないかと考えられるのである。