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M's tail

Bird in a cage

2016.04.26 13:06

沢山の人を幸せにしながらも

彼は幸せそうではなかった事。

人より百倍いつも笑顔なのに

瞳の奥は笑えていなかった事。


夢など見ていられなかっただろう。

使命を全うし続ける責任で手一杯。


上手くこなす程、本来の自分の

抱える闇に病みと影は深くなり、

水面下での分裂は進行していた。


「雨降っても、傘ささないポリシー」

何を言ってるの、風邪ひいちゃうよ?

笑う私の差し出す傘を嫌々受け取る。


どんな状況に追い詰められても

弱音も愚痴の欠片もこぼさずに

自分の定めを受け止めていたね。


風を切って、颯爽と歩く姿。

人に夢を与える才能と魅力。


でも捨て猫みたいに丸まって眠る。

呻き声と痙攣でその額にいつも汗。


*****


海は優しく私を包んでくれる。

全て洗い流してくれなくとも。

ただひたすらに繰り返す波音。


あの都会と彼から逃げる様に、

物理的に会えない場所に行く。

それ位しか思いつかなかった。

引き裂かれ千切れる様な感覚。


エゴを伝え、ぶつかり、追い掛け

どこまでも感情表現し尽くす事が

愛だと思って貫いてきた過去の恋。


そんな私が相手の為に変わりたいと、

無意識に思えたのは、初めてだった。


絶対に彼を壊したくない。

その未来を壊したくない。


私は貴方を守る術を知らなかった。


誰よりも大空で羽ばたく夢を見て

籠の中でしか生きられない運命と

葛藤を抱いた虹色に輝く美しい鳥。


いつの日か気高く誇らしく自由に

貴方らしく空を飛んでいて欲しい。

その姿を遠く見る事が出来たなら。


籠の中の鳥を愛してしまった、

儚くて、愚かで大切な夢物語。


そっとこの胸の中に閉じ込め

ずっと独りで宝物と呼ぶから。


(2014.March)