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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

地球は動く2-コペルニクス地動説発表

2020.01.08 01:53

1543年、ついに世界観の大転換と言われる書が世に出た、コペルニクス著「天体の回転について」である。すでに彼は1491年18歳のとき、ポーランドのクラクフ大学で、天動説に懐疑的だったブルゼフスキ教授の天文学の講義を聞き、自分で研究も行っている。

もっとも1440年には枢機卿ニコラウス・クザーヌスがキリスト教の立場から地動説を唱えており、学者たちに大きな影響を与えていた。ルネサンスの人文主義は、かなり先進的な思想をつくっていたのである。それがヴァチカンに危険視され、宗教改革で、新旧教とも思想的統制を強化させて悲劇を生んでゆく。

その後イタリアのボローニャ大学から戻って来たコペルニクスは、当時ドイツ騎士団領だったフロムボルクで、聖職者としても、行政職としても仕事をした。そしてここで1510年「コメンタリオルス」を書き、地動説を初めて公にするのである。この書はその後ずいぶん有名になり、カール5世まで知っていた。

1536年、枢機卿シェーンベルクが、自分の説を出版するよう促した、そして当地ギーゼ司教にも励まされ、ルターのヴィッテンベルク教授のレティクスが弟子となって出版を勧め、コペルニクスは死期の迫ったことを悟り、出版に踏み切った。そして出版されるとルターはなんとコペルニクスを聖書と違うことを言う「馬鹿者」と呼んだ。

下左は「天球の回転について」右はコペルニクスの肖像画