長期失業の発生メカニズム_その2
今日も昨日に続いて「長期失業」についてみていきたいと思います。
三谷(2014)の文献研究では、①スクリーニング仮説や②ランキング・ルールの他にも挙げております。
③失業期間中に失業者の技能が低下し、就業意欲が低下するために、仮に費用をかけて失業期間中に能力を維持する失業者がいたとしても企業は長期失業者を差別するという理論。
④失業期間中の失業者の技能が低下すると、閑散市場(求人が少なく、求人・求職のマッチングも少ない市場)の外部性によって、短期の経済ショックがあると持続的な長期失業が発生するという理論。
③と④は失業者の技能について論じている。当然ながら失業期間中には何もしていないことから技能が低下すること簡単に推察できる。
③には、「仮に費用をかけて期間中に能力を維持する失業者がいたとしても・・・」とスキルアップをしている方にもそれほど評価がないようです。しかしながらこれは1992年の研究であることから、少しこの視点は変わってきているように思います。
失業期間中のスキルアップといえば「職業訓練(離職者訓練)」になります。2009年頃からスタートした基金訓練も職業訓練の一つでありますが、このあたりから職業訓練という制度があることはニュース等でも話題になってきておりますので、その存在を知る人や企業がが増えてきております。
そういった意味では、私は失業期間中にスキルアップをしていることは企業側にはプラスの効果があると思います。訓練生にはこの点をPRするように伝えております。
ただ、3か月間訓練を受講するわけだから、その間にも就職活動はできるはずです。職業訓練は「早期再就職」のため、公的なお金を使い実施しており、特に訓練については、雇用保険二事業(全額雇用主負担)を財源としていることから、企業側からも有効活用しているかは問われると思います。
昨日の①と②もありますが、訓練を受講することにより、一旦はブランクが埋まるものと思います。ただ、訓練修了後1ヶ月程度で就職が決まらない方は、長期化する傾向があります。(これって、新しい仮説になるかな?)
つまり、訓練修了後1ヶ月を超えてくると①~④まで全て該当するということにもなりかねません。この点を訓練生には意識させ、行動させるようにする必要があるのではないかと思います。
【参考文献】三谷直紀(2014)「長期失業の発生メカニズムと問題の整理---理論的な推察」『日本労働研究雑誌』No.651