「家督相続」
研修に出てきたこの言葉について。
昨今では、聞きなれないこの「家督相続」。まるで江戸時代にでもタイムスリップしたようにも思えるのですが、読んで字の如く、一家の家長(戸主)の地位権限をそのまま引き継ぐ制度です。 嗣子(しし=後継ぎ)・長子(ちょうじ=第一番目の子ども)・長男がこの一連にいつもあげられるので、いかに第一子に男の子が望まれたかは、徳川幕府を筆頭に侍・商家において御家後継ぎ問題としては、御家断絶につながるものでした。
旧民法下においては、ほとんど直系卑属の家族が相続していくのです。
旧法下では、「家督相続」と言うのは、亡くなってからだけの相続開始ではなく、生きている間の継承=隠居、病気中、交代など含めています。(現在は、被相続人が亡くなってからを相続開始と見るだけ)
こうして従前の慣習などが旧民法に取り入れられて行きますが、この「家督相続」制度は、新民法(昭和22年)により廃止されます。
「家の制度の廃止」=旧法では、戸主以外の人を「家族」と言っていたのですが、新法では、「家族」という概念も、「家督制度」も共に無くなります。相続法からも、「家の財産」と言う概念が無くなる、(「個人の財産」というものがなかったが、後に社会が「個人」の概念そのものを認識していく)。「相続」と言うのは、「遺産相続」だけになっていきます。
旧民法下にある思想の根底には、「封建制社会」と言うのもあるからにほかなりませんが、新法下に民主主義の発想が伺えます。(ただ、法律を除いて、個人主義と利己主義の違いの様に、ある部分においては、家(系)の承継における必要な原則も失われているのも事実です。ー倫理面ー)
しかし、今回の研修においても、この家督相続と言うものが、旧民法以前からの戸籍調査上に知っておくべきで有ると言う事です。
ちなみに・・・
➀「明治5年式」
②「明治19年式」
➂「明治31年式」
④「大正4年式」
⑤「現在」
と、戸籍の様式の変遷が見えますが、古くは、奈良時代ごろにはその種のものがあったと言われます。
とは言え、歴史や古代調査ではないので遠すぎては不要でしょうが、調査できるのも、現在の不動産所有者の調査には、②の明治19年式からが、戸籍取得が出来る範疇と言われます。
今は、戸籍の電子化がなされていますが、除籍簿については長寿化もあり、80年から150年をめどに廃棄される決まりに変わったといわれます。
現在の所有者が特定されていない物については、用地買収できないとか固定資産税者不明などの問題があり、早急が問われるのも今に始まったことではないですね。