ZIPANG-4 TOKIO 2020 古今折衷 ~ 伝統は進化する ~ 『美しい食文化』の極致とは・・・
はじめに 記事をお届けするに当たり、昨夏、関東・東北地域を直撃した、強烈な台風19号と、続く21号の記録的な豪雨で、千葉や栃木、福島など5県の34河川で浸水被害や土砂災害により亡くなられた方々を始め、多岐に亘って被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。また、このたび我が国の世界遺産である沖縄のシンボル首里城の正殿等主要部分の全焼被害が発生。やりきれぬ国民的ショックも癒えぬ中、重ねて2019年12月4日、アフガニスタン東部で長年医療と共に当地に用水路を完成させた国民的英雄、中村哲医師の暗殺事件が続きました。余りにも大き過ぎる一連の悲報に暮れた昨今です。今私達は世界平和の為に何が出来るか…?貴方が遺した後姿から一人ひとりが何かを学び取り、その実践こそが御恩返しに繋がるものと思います。謹んで哀悼の意を捧げつつ。合掌
石川県「第35回記念 旨し、美し。金沢・加賀・能登展」
寛永2年の創業以来390年の歴史を誇る「森八」若女将の制作
創業宝暦2年、金沢で最も歴史のある料亭「つば甚」
九谷焼
石川県
地域の概要
石川県は、北陸地方の中部に位置し、東は富山県及び岐阜県に、
南は福井県に接し、北は能登半島となって日本海に突出しています。
南は白山国立公園を源に発する手取川による肥よくな加賀平野、北は日本海に突き出た能登半島、県都金沢は日本でも有数の城下町で、歴史の面影を残す一方、近代的な街づくりも進んでいます。
加賀百万石前田家を代表する建造物
成巽閣
成巽閣は、文久3年(1863)12代奥方、真龍院の御隠居所として兼六園に造営されました。
風格ある大名の書院造りと雅趣に富む数奇屋風書院造りの二つの様式を併せ持つ事が特色。
花鳥の意匠や豊かな色彩にあふれた優美な佇まいで、庭園と共に国の重要文化財です。
海鼠塀が続く正門前の一帯は美術館や博物館が立ち並ぶ緑豊かな文化ゾーンになっています。
前田利家公 名古屋市中川区「荒子観音寺」所蔵
加賀百万石「石川県の食文化」
1.能登と加賀(金沢-白山麓)
南北にのびる石川県は、大きく二つの地域に区分されます。県北部に位置する能登地方は、
三方を海に囲まれており、一方、県南部の加賀地方は、南東部に両白山地を抱え、日本海側
に向けて平野(加賀平野)が広がる地勢条件を有しています。この二地域の風土の違いは社会・
歴史的条件も含めそれぞれの食文化を形成しています。
輪島 白米千枚田
世界農業遺産に登録された「能登の里山里海」を代表する景観。
日本の棚田百選に認定され、国の名勝にも指定されています。
急斜面に、幾重にも段になり海へと広がる田んぼ。その数は全部で1,004枚。一つ一つは小さく、耕運機も入らない狭さのため、栽培は昔ながらの手作業で行います。
水面に太陽の光がきらめく田植えの季節、日本海に沈む茜色の夕日が棚田を感動的な色に染めていきます。夏には風にそよぐ緑の稲が青い空や海と見事なコントラストを生み出し、収穫期には黄金色の稲穂がしなやかに揺れ棚田を美しく彩ります。
10月中旬から3月中旬にかけてはイルミネーションイベント「あぜのきらめき」を楽しむことができます。
点灯するLEDは環境に配慮した太陽光発電。優しい光のイルミネーションは30分毎に色を変え、穏やかな雰囲気がその場を包み込みます。
潮風と波の音を感じながら棚田を眺め、急な斜面を切り開いた先人たちやこの景色を守ろうとする人々の努力に思いをはせると、より一層感動が深まるかもしれません。
道の駅 千枚田ポケットパークに駐車し、そこから雄大な棚田風景を眺めてみてはいかがでしょうか。
2. 能登地方
能登地方の食文化は、内陸部と沿岸部においてそれぞれ異なっています。
能登内陸部においては、 冬の積雪が多く、季節風は厳しい。半島西側では、麦、小豆が栽培されており、麦飯が日常食で、秋には里芋飯や大根飯が食されてきました。山の畑で栽培される小麦はうどんや、そうめ んに加工されています。
輪島朝市
一方、能登沿岸部では、海の幸を中心とした古い食文化の歴史があり、
食卓に上る近海魚、貝、海藻の種類は豊富にあります。丘陵地域から採れる山菜と、発酵食品のいしり(魚醤)等が食卓を彩ってきました。内浦では定置網漁業により「ぶり」、「たら」などが採れ、湾内では「かき」と「のり」の養殖等も行われています。
大本山總持寺祖院(石川県輪島市) 精進料理
禅寺の修行生活では、食事にも重点が置かれます。作り手、食べ手それぞれが真剣に向き合います。この心がこもった精進料理を是非ご賞味ください。
①飯椀
②汁椀
③青皿:精進しぐれ
④花小鉢:季節物、なす又はしめじ
⑤葛切タレ
⑥中猪口 酢の物:くろも、しょうが
⑦平:焼き豆腐又は揚げにんじん、しいたけ、 よしな又はふき筍又は蓮根
⑧香皿:漬物
⑨たかつき:葛切(赤、黄、白)きゅうり、わかめ
二の膳が付くと
⑩無地小鉢:てんつゆ
⑪黒蓋椀:ごま豆腐
⑫天麩羅皿:にんじん、さつまいも、ししとう
⑬菓子椀:そば又はゆば(にんじん、飾り葉)
⑭フルーツ白皿(季節物):メロン、りんご、かき、グレープフルーツなどが加わります。
3.加賀地方(金沢-白山麓)
○金沢市内 石川県の中心地である金沢では、江戸時代から代表的城下町であり、「加賀百万石」の四季おりおりの行事とともに豊かな食文化が残されています。商人の町、職人の町、軍人の町として発展してきた歴史的背景から、華やかさ、食材の種類の面で他地域とは異なる金沢独特の食文化を形づくってきたのでした。
年間を通して、魚が絶えず入手可能であり、「ぶり大根」、「ごり料理」、
「かぶらずし」、「巻きぶり」、「いなだ」、「治部煮」などが金沢の郷土料理として残されています。また浄土真宗が盛んであることから、信仰の町としても知られ、行事食として精進料理
も継承されています。
霊峰 白山
○白山麓-加賀平野
白山を背にした山岳地帯と加賀平野の中間に位置する丘陵地帯は白山麓と呼ばれ、焼畑農業が盛んでありました。山の幸が豊富で、さまざまな加工がされて保存食となっています。
白山 報恩講料理
浄土真宗の信仰が厚い地域であり、日常食は雑穀が基本食でしたが、11 月の報恩講の食事は、朱塗りの
高御膳で豪華なものとなっています。「報恩講料理」は、現在では、正月、盆、祭りなどの「もてなし料理」として継承されています。
沿岸部の加賀平野は、米単作地帯であり、恵まれた水と整理された水田により米を基本食とし、晴れの日には「もち」が食されてきたのでした。代表的な郷土料理として、「からしなの鼻はじき」、「おくもじ」、「にしんずし」等があります。
4.主な食材・料理(金沢)
かぶら寿司
ぶり大根
ごり料理
鯛の唐蒸し
巻きぶり
いなだ
おしずし
てんばおくもじ
にしんずし
からしなの鼻はじき
5.器と石川の食(漆塗、九谷焼等)
○食文化と伝統工芸
石川県の食に欠かせない食器は主として「焼きもの」と「木器」が使用され、特に主とし て「焼きもの」は日常生活に、「木器」は仏事や慶事に使用されてきました。こうした食器は、家庭用と客用、仏事と慶事など使用する対象によって区別されています。
輪島塗
山中漆器「碗」
山中漆器 茶道具「棗(なつめ)
こうした食と器の歴史をさかのぼると、一つは、輪島塗や山中漆器のように庶民の生活道具として、生活から自然発生的に生じたものと、もう一つは、九谷焼のように、江戸時代に大名道具として加賀藩の文化振興施策の中で発生したものに分けられます。
特に藩制時代にとられた文治政策は、九谷焼、大樋焼、漆器等の伝統工芸品を生み出し、現在でも受け継がれています。代表的な晴れの食器として、九谷焼や、輪島塗・金沢漆器があ
り、特に漆塗りの食器は、「朱塗り」を仏事に、「黒塗り」を慶事に使用されています。
○食と器の深いつながり
つば甚:治部煮(じぶ に)
石川の代表的な郷土料理の一つである治部煮(じぶ に)※には専用の盛り付けるための器(治部椀)がつくられていることに象徴されるように、石川県における 食文化は器とは切り離せない関係にあるのです。
※治部煮(じぶ に)
由来は諸説あります。
①兵糧武業岡部治部衛門が考案した説。
②キリシタン大名 高山右近が高麗から持ち込んだ説。
③古い文献に宮中の婚礼に「鴨のじぶじぶ煮」と記されていることから煮たときの「じぶじぶ」という音から来たのでは、という説。
いずれにしましても治部椀という治部を盛り付ける為だけの平たいお椀があるくらい石川の伝統工芸と料理が一つになった、お祝い時に欠かせない一品です。
阪急うめだ本店にて開催!
「第35回記念 旨し、美し。金沢・加賀・能登展」
創業から85年、梅田の地で、多くの人々とともに歩んできた阪神梅田本店。2021年秋のグランドオープンを前に、2018年6月1日(金)に第一期棟が先行オープンいたしました。
いくつものウイングが重なり合うような個性的な外観、窓から自然光がたっぷりと入る空間を生かしたテラス環境、時代性を感じさせる新価値創造売場の構築です。
1月15日(水)~20日(月)阪急うめだ本店 9階催場
加賀藩・前田家の時代に栄え、今なお、その伝統と文化の中に新しさがある石川県の魅力を発信する金沢・加賀・能登展。今回は、加賀藩に裏千家が普及し、5代藩主綱紀の代には幅広い層にまで広がった茶道により発達した、今なお進化する和菓子を特集。祝祭広場では、約400年前に生れた加賀藩の御細工所から続く、伝統の技を今の感覚でアップデートした工芸品を集めてご紹介いたします。
阪急百貨店うめだ本店 〒530-8350 大阪府大阪市北区角田町8−7電話: 06-6361-1381
■日本三大菓子処のひとつ“金沢”を中心に、加賀百万石の進化する和菓子を特集
○「森八」加賀藩御用菓子司を勤める老舗の若女将が実演
寛永2年の創業以来390年の歴史を誇る「森八」の若女将でもあり、全国和菓子協会の「選・和菓子職」優秀和菓子職部門にて女性で石川県初の認定者となった中宮千里が来場。日本三名菓のひとつである長生殿の他、プレミアムラインの工芸上生菓子の実演をいたします。
工芸上生菓子「加賀乃華」 (1個)2,484円【各日限定30個】※1月19日までの販売
○“令和”記念した菓子、お正月菓子“福梅”など豊富に。
「落雁 諸江屋」 令和の梅(9個入り)1,188円 【各日限定30】
「柴舟小出」 福梅6個入り (袋入り)908円 【各日限定30】
・白山山麓にある大判焼の人気店。生地が薄く、あんがたっぷり。
「山法師」大判焼 つぶあん (1個)184円、 加賀棒茶あん (1個)270円
■老舗料亭の梅鉢御膳や能登牛を会場で
・創業宝暦2年、金沢で最も歴史のある料亭「つば甚」。旬の食材を使った加賀料理を楽しめる。食後の甘味(白いコーヒープリン)もおすすめ。
「つば甚」梅鉢御膳 (1人前)3,000円【各日限定100】
・創業明治37年。能登牛の飼育から卸し、加工、販売までを手がける人気レストラン。能登牛の希少部位や、ロース、カルビなど3種を贅沢に。
「てらおか風舎」能登牛三昧丼(1人前)2,970円[各日限定100]
■祝祭広場では、100の工房や作家のかわいい御細工が大集合!
「金沢百工 あたらしい金沢の工芸100」
加賀藩の御細工所に始まり、今に続く伝統工芸。新しい感覚をプラスした九谷焼、漆の器、ガラス細工など、金沢好きな大人女子が心ときめく日常使いが出来る作品をご紹介。九谷焼のシール絵付けなどのワークショップも開催します。
今井美智作
ウガミスミコ作
※一部、県外で生産、または他県産の原材料を使用した商品がございます。
お問い合わせ
阪急百貨店うめだ本店 〒530-8350 大阪府大阪市北区角田町8−7電話: 06-6361-1381
参考
「つば甚」について詳しくお知りになりたい方は下記リンクをご覧下さい
上質なる時間と空間を楽しむ
つば甚の趣のあるしつらいの中で時間と空間をゆっくりと楽しんでいただけるよう、盛りつけなどのあしらいにも技巧を凝らしています。
ZIPANG TOKIO 2020
「加賀百万石の城下町金沢のおもてなしの心『つば甚』料理編」
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/3889313
「つば甚最古の部屋」 つば甚としてつくられた部屋のなかで一番歴史があり、江戸末期の頃につくられたとされる部屋です。 床柱としては非常にめずらしい石榴(ざくろ)を使うなど、当時の工匠のこだわりを見ることができます。 また部屋にかけてある書は、近代日本画壇を代表する画家・横山大観が泊まられた際に揮毫された書。
金沢ゆかりの茶人として知られ江戸末期から明治初期にかけて薬種商を営んだ亀田是庵。
その亀田是庵が表千家の茶室「不審菴」を模してつくった茶室を移築した茶室です。 二畳台目出炉の茶室で、亀田是庵と親交のあった裏千家十一代家元・玄々斎が度々茶を楽しんだと言われています。
ZIPANG TOKIO 2020
「伝統を伝承して新しきをつくる『つば甚』館内編」
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/3897019
お問い合わせ
阪急百貨店うめだ本店 〒530-8350 大阪府大阪市北区角田町8−7電話: 06-6361-1381
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使
協力(順不同・敬称略)
公益社団法人石川県観光連盟
〒920-8580 石川県金沢市鞍月1丁目1番地 TEL:076-201-8110
一般社団法人 加賀市観光交流機構
〒922-8622 石川県加賀市大聖寺南町二41 加賀市役所別館4階 TEL 0761-72-0600
輪島市観光協会 〒928-0001 石川県輪島市河井町20-1-131
Tel 0768-22-6588
一般社団法人 白山市観光連盟
〒920-2192石川県白山市鶴来本町四丁目ヌ85番地 TEL:076-259-5893
石川県 〒920-8580石川県金沢市鞍月1丁目1番地電話(代表)076-225-1111
名古屋市役所
〒460-8508 愛知県名古屋市中区三の丸三丁目1番1号 電話番号:052-961-1111(代表)
名古屋市中川区役所
〒454-8501 名古屋市中川区高畑一丁目223番地 電話番号:052-362-1111(代表)
大本山總持寺祖院 〒927-2156 石川県輪島市門前町門前1-18-1 Tel 0768-42-0005
国土交通省 〒100−8918 東京都千代田区霞が関2-1-3 (代表電話) 03-5253-8111
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