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鈴木桂一郎アナウンス事務所

11月28日(木)「BS句会11月」

2019.11.28 05:52

午後は句作に励む。7時からBS句会。2句並選に終わる。ゲストは津島康子先生。

提出句は、掌の熊手守りや定年日、冬帝の〆金銀の飾りかな、暖捨離や庭に残りし枯芭蕉、冬の海恋しと聴こえ螺鈿琵琶、ノックオン腕を前後に妻教え

掌の熊手守りや定年日 津島先生

今年は、一の酉が9日、二の酉が20日であった。お酉様と言うと、どうしても下町の雰囲気が漂うが、目黒大鳥神社は、東京の城南地区にあり、大規模ではないが毎年賑わっている。商店やお店を経営している方は、商売繁盛を祈念して、去年の熊手飾りを返納し、毎年購入している店で、より大きな熊手飾りを買い求め、肩に熊手を背負い、意気揚々と帰って行く。私などは、サラリーマンを続けていて、定年退職した身である。商売繁盛を願っての、大きく派手な熊手飾りは必要ない。神社で、小、千円、中、千二百円、大、千五百円で、熊手守りを売っていたので、千円の小さな方を選んで家路を急いだ。定年後は、金にあくせくせず、年金と、僅かなアルバイト代で、もう十分なのである。

冬帝の〆金銀の飾りかな

一段と寒い中、二の酉を見に大鳥神社まで歩いた。神社に着くと、神社全体がライトアップされたように明るく、金銀に輝く大きな熊手飾りが、店ごとに何列も並んで飾られ、販売されている。熊手飾りが売れると、あちこちの店で、手締めが行われている。世の中不景気と言われているが、様子を見ると景気はいい様だ。〆(しめ)いう言葉を使ったが、難しかったかなと反省している。

暖捨離や庭に残りし枯芭蕉

前橋の友人が69歳で、癌で亡くなった。私も68歳、何時、病であの世に送られるかもしれない年齢になった。そろそろ断捨離を始めようと、本棚の本、ワードローブの洋服を、思い切って半分まで捨てた。スーツは、今年1年で、一、二度しか着ていない。サラリーマンの制服のスーツだが、定年すれば、もう必要ないのだ。思い切って、十数着のスーツを捨てた。私は特殊な体型で、英国屋でスーツを仕立ててもらったが、一着二十万円として、300万に相当するスーツが、大きなゴミ袋二つに入れられた。庭に残る枯れた芭蕉の葉が目に付いたが、この際切ってしまおうかと思ったが、やめにした。

冬の海恋しと聴こえ螺鈿琵琶 こま、初人、みゆゆ  

正倉院展が、今年は東京でも開催され、国立博物館に、二時間並んで見学した。正倉院には、たくさんの宝物が収められていて、遠くはペルシャから伝来の品々も多く残されていると聞いていた。でも最近の調査で、宝物の9割が、実は日本で作られたものである事が分かったそうだ。正倉院展の前期を見たが、精彩を放っていたのが、螺鈿紫檀五弦琵琶である。本体の所々に、螺鈿細工が施され、千年以上の時を超えて、鈍く、怪しく光っていた。会場には、同じ仕様で復元された現代のコピー琵琶も飾られ、その琵琶で演奏された音楽が流れていたのだが、私の耳には、螺鈿細工に使われた貝殻が、海が恋しいと、静かに叫んでいるように聴こえた。

ノックオン腕を前後に妻教え

ラグビーが兼題、席題が教だった。ワールドカップラグビー大会が盛大に行われ、日本はベスト8に進出する大活躍を見せた。この影響で、ラグビーのにわかファンが急に増えたようだ。我が家でも、家内が、ラグビーの中継を見ながら、腕を前後に振り、ノックオンと言いながら、ボールを前に落としたと何回も叫ぶのを聞いた。ついこの間まで、ノックオンなんて知らなかったのにと、つい笑ってしまった。