liquid
2020.01.13 12:49
酒精に痺れた躰が、すこしずつ動かなくなっていくのが好きなんです
膿んだ私がようやく死んでいくような気がして
甘い檸檬の香りがする夜を、火照る舌先でかき混ぜて
街明かりに、有りもしない(しあわせな)過去を想う
誰からも忘れられたあなたが、微笑みながら崩れて行くのに
肺の底を満たす薄紅に、名前をつけるわけにはいきませんでした
褪せた海の絵画を引っ掻いた雨音
輪郭を霞ませるのは、記憶だったのでしょうか
梟が脳の片隅で鳴いて
曇ったままの私の視界に、日暮れを報せる
うすく嗚咽を含んだ鐘の音は
今も未だ、あの家に帰りたがって
揺れて
白髪の下の少女の貌が
あまりにも
夏の終わりに朽ちた蝶に似ていて
私は誰に会いたかったのでしょうか
私は誰を愛したかったのでしょうか
膿んだ私の死体は
澄んだあなたの水になって
いつか