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キューバで豪華ごはん

2020.01.14 14:29

キューバのごはん、結論から言うと、めっちゃうまうまー。やっぱり、私は、旅先でごはんがおいしい所しか行きたくない。食べるために生きているのだ。


書いたかな?書いてないかもしれないが、キューバには2種類の通貨がある。ローカルのキューバ人が使うキューバのペソと、観光客が使うキューバドルの二種類だ。よっぽどローカルに近い生活をしない限り、観光客はキューバドルを使う事の方が多い。


ローカルのごはんは、それこそ100円ぐらいで一食食べられるのだけれど、観光客はそこそこのレストランで、そこそこの観光客値段を払う。ただ、イタリアやらフランスやら行ってきた人にとっては「やっすー!」と言いたくなる値段だ。例えば、前菜・メイン・モヒート付きのランチが、15ドル(1500円ぐらい)なのだ。


ホテルや高級レストランでランチやディナーともなると、そこそこになるけれど。それでも「高っ」と思う値段ではなかった。


パトリシアちゃんと会った日、午前中に観光を終えて昼になった頃、一通り歩き終えた。「お昼予定ある?」と私が聞くと、パトリシアちゃんは「ううん、ない。私が行く、おいしいお店にランチ行く?」と誘ってくれた。観光途中で、そこそこの観光客向けのバーで、ダイキリをおごったので、そのお返しに、彼女が行きつけのお昼でおごってあげるというのだ。


政府の仕事について、週3千円なので、このツアーガイドという仕事でバイトしてると聞いた後に、彼女におごってもらうのはとてもじゃないけれど気が引けて。こう提案してみた。


「あのね、私、一人旅でしょ?だからね、ちょっと高めの素敵なレストランに入るのが気が引けて。私が全部出すから、お願い。一緒に、そういうレストランに来てもらえる?旅の思い出に、ちょっと豪華なレストランに行きたいのだけれど、一人だからあきらめかけていたの」


パトリシアちゃんは、素直に「ええ?もちろん!私はいいけれど。予算が大丈夫な所でおいしい所をホテルのコンシェルジュの友達に聞くよ」と言ってくれたのだけれど。まだ、私のお財布事情を気にしているようだったので、一緒にコンシェルジュの所に行ってこう伝えた。


「値段は問わない。女子向けで、かわいくて、素敵で、女の子達が『わぁあああ』素敵!こういう所、行ってみたかったんだ!っていうようなお店に行きたい」と。まぁ、あれよ、インスタ映えする、おいしい所に行きたいのだ!と。


「わかりました!もちろんです!」と、コンシェルジュ。まぁ、そうだよね。私が前日に、タクシーを一人でハイヤーして、3時間で一人で一万五千円払ったの知ってるし。のどが乾いたら、割高なホテルのバーでダイキリ飲んでるの知ってるし(外に出れば、地元民の行く安い所もあります)。そもそも、この5つ星ホテルに泊まってる時点で、パトリシアちゃんの想像を超えたお金持ちなのだ、私は。この国では。


そんなわけで、コンシェルジュは私の意図を読んでくれ、すぐに素敵なレストランに予約を入れてくれた。


パトリシアちゃんと、「ドキドキするねぇ。どんな所だろうねぇ」と二人でわくわくしながら、コンシェルジュの渡してくれた地図を見て、大きな通りから一本入った細い路地にある古く歴史ある建物の前に来た。店の看板が道に出ているが、お店自体は2階にあがった所にあるらしかった。


二人で上がっていくと、連絡がすでに来ていたらしく、「パトリシア様と、Sango様でございますね。聞いておりますよ。どうぞ」と、私には英語で。パトリシアちゃんにはスペイン語で話すドアマン。


ひとり出張も多い上に、イタリア一人旅で、フルコースにワイン一本を一人で食べる私にとっては、慣れたやり取りなのだけれど。パトリシアちゃんが、横でわかりやすく、ぱぁぁ!と顔をほころばせていて、私も一緒に「わーい!」と喜んで見せた。


コンシェルジュのおじさん(いや、もしかしたら私より年下)が選んだ渾身のレストランらしく、私たちが通された席は、一番見晴らしのいい、素敵な席だった。そして、仰々しく、ウェイターがメニューを運んで来て、「お水はどうされます?」と聞いた。


私: お水、スパークリングとスティルとどっちが好き?

パトリシアちゃん: えっと。じゃあ、スティル。

私: わかった。ボトルは大きいのかな?

ウェイター: いえ、小さいものもありますよ。

私: じゃあ、彼女にはスティルを。私にはスパークリングを。

ウェイター: 他にお飲み物はどうされますか?ワインとか。

私: どんなダイキリありますか?おいしいのが飲みたい。

ウェイター: それでしたら、うちのバーテンダーがミックスフルーツの特製フローズンダイキリを作りますよ。

私: じゃあ、それにしようかな。パトリシアちゃんどうする?

パトリシアちゃん: じゃあ、私もそれで。


そして、運ばれてきたのは、女子向けのフルーツがいっぱいついたカワイイダイキリだった。「わぁああ、かわいいねぇ」と私が写真を撮ると、パトリシアちゃんも写真を撮った。どれだけ閉ざされていようと、女子の『映え・萌え』は世界共通だ。


そして、メニューを見始めた。

パトリシアちゃん: わぁ・・・食べた事ないものがたくさんあるな。どうしたらいいんだろう。

私: 私は、スターターもメインも食べる。

パトリシアちゃん: でも、高くなるよ。

私: ・・・よし。パトリシア、秘密を教えてあげよう。私、いくつに見える?

パトリシアちゃん: 私よりちょっとお姉さんかな。20代後半ぐらい。

私: いえ。私、多分、あなたのお母さんの年ぐらいよ。

パトリシアちゃん: うそっっっ。

私: アジア人は若く見られる上に、私、究極の童顔だから。でも、私、仕事を始めてもう20年たつ、アラフォーなのよ。そして、結婚もしていないし、子供もいないの。そこそこの企業で、そこそこの役職について、そこそこのお給料をもらっていて、自由に使えるの。

パトリシアちゃん: ・・・(絶句。本当に口開いてた)。

私: だからね、今日はあなたのラッキーな日だと思ったらいい。何故か知らないけれど、変な一人旅の日本人のおばさんが、急にお昼をおごってくれることになった。しかも、お金は気にしなくていいとか、狂った事言ってる。まぁ、いっか、私の日ごろの行いがよかったから、ラッキーなんだわ!と思って、好きなものを頼みなさい。これは、おばちゃんからの命令。

パトリシアちゃん: ・・・いいの?

私: うん。一番高いメニューでもいいんだよ。なんでも好きなものを好きなように頼もうよ。今日は、ちょっと変わった日だったな、とパトリシアが覚えていてくれる日であれば、よいから。

パトリシアちゃん: ・・・わかった・・・(と、めちゃくちゃ真剣にメニューを読みだす)。


そんなわけで、二人で、スターター、メイン、さらにデザートまでがっつりオーダーし。それでも、イタリアに比べたら、おフランスに比べたら、全然「やすー」と思える値段で二人分楽しんだ。

観光途中で休憩したバーにて。おいしいスタンダードなフローズンダイキリ。

セヴィーチェ。海鮮をレモンでマリネしてる。

魚介のスープ。

激甘なデザート。

アンティークなカップに入ったコーヒー。



二人とも食べ過ぎて、「本当に動けん・・・」という状態まで行き、なぜか、最後にパトリシアちゃんは、私のホテルまでくると「また明日ね!」と言って去っていった(笑)。もはや、ただのお友達になってしまった。