土地に馴染む/大塚智穂
2012年5月に小豆島へ移り住み、早7年。
引っ越してすぐの頃、我が家の庭は手のつけようがないほど荒れ果てていた。おばけの様に巨大化したアロエ、腰まで伸びた雑草、軍手をはめて草を抜こうものなら、私たちがフォークと名付けたアメリカセンダングサが軍手両面にビッシリついて、庭の手入れしようと奮起している私たちやる気をいとも簡単にへし折った。
とはいえ、少しずつではあったが、時間をかけて庭を開拓していった。アロエをやっつけ、草を引き、土を耕しふるいにかける。ワイヤープランツを植え、ハーブを移植。旦那さんは野菜の種を購入し、畑に力をいれだした。そう、数年かけて荒れ果てた庭は、一歩農園へと変貌を遂げる。※旦那さんの名前が一歩なので「一歩農園」と命名
最初の2~3年はなかなか上手く行かない畑仕事も、年を重ねるごとに人も家も畑も馴染んでくるようで、たった3株からスタートしたワイヤープランツはナミちゃんのお気に入りスポットになるほど茂ってくれて、いまでも拡張しているし、ミョウガも年々面積を広げている。ハーブは咲き乱れ、こぼれ種で雑草のように生えてくるルッコラは胡麻のような香りがたまらない。花も美味しく食べられる。フェンネルに至っては、それはそれは立派な株が収穫できるようになった。あまりに立派すぎて島にあるリストランテに引き取ってもらったほどだ。数年前は小さな苗木だった山椒は、去年数粒だった実も今年は沢山の実をつけてくれた。
今年は我が家にニューフェイスがいるため、旦那さんは畑魂に火が点いたようだ。トマト、ナス、キュウリ、ズッキーニなどの夏野菜を植え、ぼちぼち実がつきだした。柑橘チームでは「はるみ」が小さな実を沢山つけている。雨風で淘汰されるけれど、年々食べられる数が増えている。
少しずつ少しずつ。
この土地に馴染んで来た。
楽しめるようになってきた。
私たち家族もそう。
これからも、色々なことが楽しみだ。
大塚 智穂
3株からスタートしたワイヤープランツも、今ではなにがどうやってどうなったのかわからないほど茂っている。ナミちゃんのお気に入りの場所。
内野さんから分けて貰った山椒の苗木も、しっかりと地に根を張り、今年は沢山の実がつきました。
ルッコラの花。生でも食べられる。胡麻のような芳ばしい香り。
こぼれ種から毎年勝手に生えてくるフェンネル。株の部分が立派になりすぎたので、小豆島のリストランテに引き取ってもらう。株の部分は独得の香りと甘みがある。