Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

ulcloworks

未知との遭遇。

2020.01.17 11:24

前職では、その昔は生地を企画するとき、糸を原料から選んでブレンドしていくいわゆる『別注糸』を作ることが多かった。そのDNAは脈々と引き継がれている。


実は関わっている企業が次回のPTJ(プレミアムテキスタイルジャパン)に出典が決まってその生地作りに関すること全般を引き受けていて、その生地企画に入るタイミングで糸屋さんと打ち合わせを重ねているのだが、知っているようで知らない繊維の世界はまだまだあると痛感させられる。


その原料自体に風合い寄与や機能性などの意味はあるかどうかは置いておいて、組み合わせ方や組成としての響きやイメージで素材の印象を変えることができる糸作りというのは、やはりやっていて面白い。

まして、前職時代には、紡績メーカーから提案を受けて、その糸の土台に対して『なんとなく』雰囲気で何かを足したり引いたりして別注していた印象が多かったが、今はきちんと相手や市場が見えた上で、紡績メーカーからの提案ではなく、こちらが作りたいイメージを持った上で、「こんな繊維ありますか?」っていうキャッチボールをすることができるのは『なんとなく』とはまるで手応えが違う。


そんなやりとりの中でも国内ではなかなか耳に入ってこない繊維はある。品質表示上は一般的なソレになってしまうのだが、成り立ちや、その生み出されたストーリーというのは従来衣料用途で作られているものに対して、非常にドラマティックで、ぜひ洋服にして体感してみたいという気持ちにさせられる。(のは僕くらいかもしれないけれど)

特に昨今のSDGsの流れを汲んだ原料探索は盛んで、食用の野蚕(キャッサバの葉を食べて育ってる蚕)で繭を廃棄していたものを繊維利用していたり、木材パルプを使用していたセルロース繊維に衣料製造過程で出た綿製品廃棄物をパルプ化して混ぜ込んだ物など、非常に面白い取り組みが世界では行われているものだ。


原料をほぼ輸入に頼っている日本国内ではまだまだ商売上あまり意識されていない部分が多く、そういった情報がなかなか入ってこない。

売れなきゃ意味ないってのはあるけど、原料の存在だけ聞いて糸の作り方を決めて、生地にしていこうっていう意識で物づくりに取り組んでるテキスタイルメーカーは日本にはほとんどいない。ほとんどは糸屋さんが生地スワッチにした状態で提案してくれたものを、組織や加工を変えてオリジナル生地にしている場合が多い。

でも生地スワッチがあるっていうのは、既に誰かがチャレンジしたという証拠でもあるから、僕はそういう糸に対して萌えない。わかってる。少しおかしいのは最近自覚した。


でも未開拓の地ってワクワクするよね。