俳優への夢4
2004年1月
私の弟の俳優への挑戦はその後、どうなっていったのでしょうか?
第一ステップとして、エキストラで頑張っています。
彼はエキストラに出た体験記を書いています。
そのうちのいくつかを見せてもらいました。
その中で、私が面白いと思ったものを一つ、ここに紹介したいと思います。
「ギョギョ!!300名の歯科医、街に現わる」
出演日 2003年5月13・14日(2日間)
内容 歯科医
場所 京王線、東府中駅前 6:45集合
な、な、なんと、総勢300名の白衣を来た歯科医達が突如京王線東府中駅前に現われ、街を占拠したのだ。いったいこれはなんだ~!早朝とはいえ朝早くから家を出たサラリーマンは何事があったのですか?と目を白黒させながら足早に駅のホームに吸い込まれていったのです。
私達各々のエキストラも現場に来てエッ、エーこんなにー、と仰天したものでした。
あるコマーシャルの撮影現場なのです。
一人の若者がとあるマンションの一室で歯の痛みを抑え切れず、歯医者は何処にいるんだーと電話帳を開いて歯医者を懸命に探しています。そんなところからこのコマーシャルは始まります。
歯医者は私ですよ~と、300人の歯科医達が白衣を着て急いで駆けつけるシーンがダイナミックでもあり、その迫力が映像に拍車を掛けるのです。4列縦帯位に四つ又の交差点を一斉に駆け巡ぐるのですから想像を絶します。
8階建てのビルの屋上からカメラワークがなされます。又低位置からもカメラがセットされバタバタと走る騒々しさも撮影されました。
もちろん、東京都には、撮影の許可が提出され認可されているのでしょう。
石原東京都知事になって、文化、芸術の分野にも規制緩和がされるようになったからこのような撮影が出きるのでしょう。だいたい交差点での撮影は困難を極めます。信号は守らなくてはいけないし、歩行者の配慮もなされなくてはならないのです。青信号から赤信号までに変わるまの間に総勢が渡るのですから、車は青信号になると一斉に飛び出してきます。何と言ってもこのタイミングが勝負です。300人の歯科医達の息がピッタリと合わないとこの撮影は何度となく繰り返されるのです。
監督、スタッフのみならずエキストラも真剣そのもので、しかも根気が必要でした。
さて、その後のシーンは電車を借り切っての撮影です。3両編成の電車に白衣を着た歯科医集団が乗り合わせるのですから外から見たら異様としかいえません。
駅に電車が止まりドアが開くやいなや、一斉に改札口を目掛けてドドッと走り出すのです。当然電鉄会社の協力と許可が必要です。
この後どういう撮影シーンが待ち受けているのでしょうか?エキストラ同士で会話が弾み明日の撮影シーンと相成りました。
多摩地区の聖蹟桜ヶ丘は昭和40年代ごろから首都圏近郊のベットタウンとして小高い山々に宅地開発されております。次の日はこの場所が撮影となりました。どんな展開の撮影になったのでしょうか。
これまた、バスをチャーターして大勢の白衣を来た歯科医達がすし詰めの満員バスとなってグルグル輸送されました。バスを降りると一目散に一戸建ての住宅地の道を小高い丘目掛けて駆け上るのです。この撮影シーンでもご近所の犬がワンワン吠え出す始末です。そして撮影は繰り返されるのです。住民の人達はそれこそウォー!なんじゃこれは‥‥?である。
ちょうどその頃の社会問題として、白装束集団の問題がTV等で頻繁にとりただされておりましたおりから、地域住民の方々はこの地域にも白装束集団が現れたのかと一瞬たじろぎの驚きの様子でした。
白装束集団は社会悪ですが、白衣を着たエキストラ歯科医集団は違います。共に白の白衣を着ていても大きな違いがあります。
白衣を着た大集団はこの後、丘陵を降りて駅付近の人通りの多い繁華街を経て、とある公園の近くまで徒歩で25分程歩きました。中高年エキストラ達は、フーフー言いながら息を切らし、ふくらはぎを揉んでおりました。愚痴が出てブーブー言い出す始末です。
人は自分の身に良からぬ事が起こると他に責任転嫁する習性があります。しかしそんなこと言ったって問題は解決するはずはありません。
与えられた状況に対してどう考えるか、が楽しくもなるのです。縁あって歯科医のエキストラを演じられるのですから、その社会的使命感を充分味わうことが出来るのです。
いよいよクライマックスシーンです。公園の前に建つ4階建てのあるマンションの一室に300名の歯科医達の目が一斉にそそがれます。君の歯の痛みを治すのはこの歯医者、私なのですと。
当初この話をお引き受けした時、はたと、ここ数年歯医者さんに掛かった事がありませんでした。歯医者の雰囲気でも感じ取ろうと思っても、歯が痛くないのに診察してもらうわけにはいかず、駅前の歯医者さんの前を5往復位したでしょうか。
この事を立ち話の時にエキストラに話したら、君あまり無意味なことをしても‥と言われました。そう言われればそうですよね。ただ私は行動の結果いかんよりも気持ちが行動に現れてしまったのでした。
そう、どのような仕事でも使命感を持つと言うことは、自分自身の心の充実感にもなりました。
エキストラ人生ますます意気盛ん!!。
感動よありがとう。