Noism1+Noism0「森優貴/金森穣 Double Bill」彩の国さいたま芸術劇場
新潟の文化会館「りゅーとぴあ」のダンスカンパニーNoismの新作公演。Noism芸術監督の金森穣氏が振り付けた『シネマトダンス―3つの小品』と、ドイツの舞踊団で芸術監督を務めた後、帰国した森優貴氏が振付を担当した『Farben』のダブルビル。
20分の休憩をはさんで、前半に40分の『シネマトダンス―3つの小品』、後半に40分の『Farben』が上演された。
『シネマトダンス―3つの小品』演出振付:金森穣
『シネマトダンス―3つの小品』の1.『クロノスカイロス1』は、ダンサーたちが次々と現れ、舞台中央に設置してあるスクリーンに映し出される自身の姿と時に戯れながら踊る作品。
目まぐるしく、時折はゆったりと移り変わる舞台全体のダンサーたちによる構成と、ダンサーたちの鍛え上げられたしなやかな身体を堪能できる作品。
2.『夏の名残のバラ』は、舞台に降りた幕いっぱいに、井関佐和子氏が舞台メイクをする映像が映し出されるところから始まる。その後、準備運動をし、ガウンを脱ぎ捨て、赤いドレスを着て、花が一面に散らばっている舞台に姿を現す。映像は、手持ちカメラで、井関氏を追い掛けて撮影している。
幕が上がると、映像と同じ井関氏がいて、手持ちカメラを構えた山田勇気氏もいる。井関氏は踊り出すが、山田氏も踊りに関わっていき、カメラを井関氏の後ろに持っていったり、舞台上に置いたり、井関氏に近づいたり、触れたり、一緒に動いたりする。
幕が開いてからは、舞台の背景いっぱいに映像が映っていて、まるでリアルタイムで撮影しているかのようなタイミングで映像が映し出されるが、あんなに完璧にカメラの動きをコントロールするのは難しそうだから、事前に撮影した映像だろうと思っていた。
最後にカメラが観客席に向けられて、観客席に少し明かりがつき、映像に映った観客席が空っぽなことから、やはり事前に録画された映像が映し出されていたと分かる。最後に、リアルタイムの撮影ではなかったと判明する仕掛けにしたかったのだろうか?
リアルの踊りと映像がぴったりと重なっているのは見事だし、井関氏のダンスも伸びがあって美しい。
(最後だけ録画だろうという意見もあるようだ。どうなんだろう?どちらにせよ、作品全体の印象はあまり変わらないかも)
3.『Fratres Ⅱ』は、前回公演で発表された『Fratres Ⅰ』に続くシリーズらしい。今回は、金森氏が一人で踊る。たくましい身体を見せつけながら、舞台中央からほぼ動かずに踊る。瞑想しているようにも見え、眠気を誘う。『Fratres Ⅰ』と同じように、上から金色の砂のようなものが降ってきて、その上で踊る。
全体的に、安定はしているのだと思うが、これまでに数回見た公演と比べて既視感があり、もう少し何か違う面を見たい思いもある。
『Farben(ファルベン)』演出振付:森優貴
群舞や少人数の踊り、デュオやソロの組み合わせ方が工夫されていて、次はどんな景色が見えるのかを楽しみにさせてくれる。複数のテーブルや、花瓶に入った花などのセットを使うのは、やや小手先のようにも見えたが、うまくダンスと絡んでいたようには思う。音楽も合っている感じだった。
ある程度、洗練されている印象はある。なんとなくじんわりくるところもある。ただ、パンフレットに書いてある言葉ほどの切実さは感じなかったかもしれない。
公演情報
Noism1+Noism0「森優貴/金森穣 Double Bill」
『Farben(ファルベン)』
演出振付:森優貴
衣裳:堂本教子
出演:Noism1、Noism0(井関佐和子)
『シネマトダンス―3つの小品』
演出振付:金森穣
衣裳:堂本教子
映像:遠藤龍
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1.『クロノスカイロス1』
出演:Noism1
2.『夏の名残のバラ』
出演:Noism0(井関佐和子、山田勇気)
3.『Fratres Ⅱ』
出演:Noism0(金森穣)
【新潟公演】
2019.12.13(金)- 15(日)
りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館〈劇場〉
S席 4,000円 / A席 3,000円
U25:S席 3,200円 / A席 2,400円
【埼玉公演】
2020.1.17(金)- 19(日)
彩の国さいたま芸術劇場〈大ホール〉
5,500円/ U25 3,500円