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許認可・法務  al&la  行政書士 井原法務事務所

📖 「アメリカ流法律士官教本」

2021.03.27 21:45

出版が古いのですが、手元に「アメリカ流法律士官教本」と言う本があります。
一見「アメリカ流法律士官」と言うのは、日本ではあまり関係ないような気もするタイトルですが、貴方が企業の総務や経理・法律関係の事務職に就いているならば、一度は目を通しておいても損はないと思います。
特に外国企業との折衝やロースクールについての関心があれば尚の事です。
法律関係で出版されている本には、各士業の専門とする関係から出されているのが多いものです。
その中でも、弁護士が書いた本は、弁護士のみならず、他の士業、とりわけ取り扱いのできる業務範疇が広い(有難いのですが、入口が広すぎる)行政書士にとっては、基本書となりやすいものが多くを占めています。
勿論、許認可関係は、行政書士の独占業務範疇ですから、行政書士の人が書いた本がいいのは当然です。
その時、弁護士の人が書いた本で参考になるのは、許認可から発生する訴訟関係の本、とりわけ判例集が、参考になります。


さて、この「アメリカ流法律士官教本」は、どこが面白いかと言うと、例えば、それぞれ各章から引用すると・・・
・「1、お金」「3.ブリーフケースを持つと重要人物に見える」(序文「誰もが弁護士になりたがる18の理由」)
・「弁護士は自動車修理工の様なものだ。弁護士の請求が高いのは、ネクタイをしているからに過ぎない。」(8章)
・「弁護士は、自分の事を学者と考えたがる。そう考えることで、実業家のように稼げない事に説明を付け、自分を納得させるのだ」(8章)
「法律の世界では、外観がすべてである」(10章「弁護士としての服装」)
・「弁護士はつまらない仕事で金を設けるのだ」(10章)
・「素人が文書を初めから終わりまで眠らずに読めたら、もっと手を入れなければならない」(11章「法律文書の原則」)
・「弁護士は、数字でへますることを死ぬほど恐れている」(14章「ピリオドの恐怖」)
等があります。


多くの文に、比喩やパロデイ表現があるので、不真面目な本とも思えてきます。
抑々、こういう書き方を日本人はしないので、アメリカ人の本の書き方は、いい加減で、オーバーすぎる位に書くのが売れるとでも思っているという感じがしてならないのです。
まあ、私と同じ考えをお持ちの方もいると思いますが。
だから、読み終えると、人によっては、くだらない本だとも思うでしょう。
とは言え、最初にお勧めしておきながら、最後には、おすすめ本でないと言うのは大変失礼なことになってしまいますので、どこか心苦しくもありますが。。
若し、読み終えて、そうお感じであったなら、お詫び申し上げます。


しかし、どのページからも、うかがい知れることは、「法律文書は、簡単で分かりやすく作ってはならない。長く長く分かりづらくする事である」と、言い続けている気がしてなりません。

この事は、他の本でも書いてあるのですが、法律と言うのは、万民に分かりやすいものであってはならないと昔からの戒めになっている事を、思い起こします。


最期に、ひとつ。「あとがき」に書いてある事柄についてです。
アメリカの大学には、法学部と言うものが無いそうです。・・・「え?」ですが。
その代わりに、ロースクールの存在が、とてつもない大きさで突出した地位を持ってくるのでしょうか。
普通は、4年制大学のどこかの学部を出てから、ロースクールへ入ります。3年間。
もう「単なる勉強」どころではないようです。そして、そこを出たら100%弁護士になると言いますから、尋常な勉強ではない事・並外れたの能力を持っている事などがうかがえます。


※「アメリカ流法律士官教本」(ダイヤモンド社 昭和59年初版)