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宣たより1/渡辺宣

2017.06.17 12:00

・2017年6月5日

公子さん甲賀さんこんにちは。

この間裏山に雷が落ちました。

稲光と共に地響きの中布団にいました。

それから雨が一晩中降りました。

雷と雨の後の朝、空気は冷たく澄んでいました。

屋島の下から朝日が上がりました。

ここ何日は屋島と海がベランダから見えます。

住宅地を散歩しています。

コンクリートの間や家の境にどくだみの白い花が咲いていました。

梅雨の前の乾いた晴れ間、夏に向かっていく草花は伸びて膨らんでいます。

春に咲いていたポピーは花びらが落ちて種をつくっています。

八百屋さんに梅が並び始めました。

かたい青梅です。

梅雨前にぬか床に青梅数粒入れています。

しばらくすると青梅から酸が出てぬか床が酸っぱくなります。

この酸が雑菌の繁殖を防いでくれています。

毎年のおまじないです。

梅の醤油漬けと味噌漬けを作りました。

青梅と昆布と醤油を瓶に入れました。

小豆島で作った麦味噌と米味噌と唐辛子を琺瑯容器に入れました。

青梅は一晩水に漬けて水気を拭き取ります。

青梅の実の表面にフォークで穴をあけます。

ザクザクとかたい音がします。

若い香りと鋭い酸の果汁が滲みてきます。

梅雨が終わる頃、梅醤油は豆腐にかけて梅味噌は胡瓜にのせて食べることができそうです。

追伸

そらちゃん平野家居付き猫ちゃんは元気ですか?

早朝散歩していると必ず猫に出会います。

なぜか美容室の多い通りがあります。

その通りに猫が何匹もいます。

通りの角は図書館で脇の駐車場に三匹います。

この三匹は近寄っても逃げません。

痩せてなくて体格が良いので食べ物もらっているようです。

昼間は全く猫を見ることはないです。

小豆島のオリーブの花も散っていますか?

近くの大学の門のオリーブの散った花を雀が啄ばんでいました。


・2017年6月14日

公子さん甲賀さん   

こんにちは。

涼しい風が洗濯物を揺らしています。

天気予報は曇りと雨のマークでした。

雨は落ちてきていません。

白い団地の壁が明るく光ってきました。

薄日が射してきました

昨日は晴れ。

夏の日でした。

梅雨には時々このような日があります。

マンションと住宅の間に畑があります。

板きれの囲いと生け垣の隙間から里芋、

二歩、三歩進むとかぼちゃの花がみえます。

いんげん豆の隣は褪せてしまったそら豆。

赤紫蘇もあります。

二人で覗き込みました。

奥に枇杷の木です。

生け垣の日陰に枯れ草の小山。

猫が横になって見ています。

ミルクティー色の丸い柄を背中に背負っています。

生け垣の前は青いシートに覆われているマンションです。

建てている音が響いています。

踏切が鳴りはじめました。

一両の電車が走って往きました。

大学通りの街路樹の木陰を歩きました。

ビーツを買いました。

徳島の美馬から野菜が来る日があります。

野菜たくさんと豆腐、総菜、餅もあります。

韮、三つ葉、つるむらさき、フリルレタス、

キヌアの若葉、ピクルス用胡瓜。

ビーツと一緒に買いました。

家に帰りビーツを茹でました。

葉と根を分けて切り、根を先に鍋にいれます。

根が沈んだ沸いた湯の中に葉を入れます。

茎が柔らかくなりました。

冷やした水は赤紫の色水です。

茎は切って梅酢とオレガノの葉を入れた酢でピクルスにしました。

火を止めた鍋の中でゆっくり茹で上がった根の皮を剥きます。

根をボールのように両手でこすると皮が剥けます。

指の爪先に赤い色素が染みています。

ボルシチを作りました。

昆布とパセリの軸と月桂樹の葉と鮭フレーク缶で出汁にします。

新玉ねぎ、赤玉ねぎ、新じゃがいも、クミン、コリアンダーを煮ます。

トマトピューレとキャベツとビーツを加えます。

塩味を調えてビーツを再度加えます。

トマトの酸にビーツの色素が鮮やかに反応しました。

新じゃがいもが濃いピンクに染まりました。

茹でたビーツを使って冷たいスープも作りました。

昆布出汁とえのき茸を煮たスープとビーツをミキサーにかけます。

塩で味を調えて器に入れて豆乳を加えます。

ラズベリースイーツのような見た目になりました。

ライ麦パンに合うスープでした。

島から移動した渡辺宣さんはこれからも移動を続けるのでしょうが、お便りはときどき届きます。嬉しいことです。あまりにもなんでもない毎日。それでも根っからの台所の人、宣さんの便りは食にかかわる知恵や工夫で満ちているはず。




渡辺宣
1972年生まれ。小豆島居住後ただいま移動中。
町歩きと畑と台所が直結してる。