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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

最後の皇帝31-モーリッツ三日天下

2020.01.27 02:09

仏王アンリ2世は30代前半、メッツの勝利に乗じてイタリアでも帝国に戦争を仕掛けてきた。仏王妃メディチ家のカトリーヌの名で、シエナで戦端を開き、ピエモンテの周辺でも領地を拡大した。海ではオスマンと結び、イタリア沿岸を攻撃、1553年コルシカ島を占領した。

ブリュッセル方面にも出陣し、54年には4万余の軍を率いて自ら出陣した。一方のカール5世はもはや50代、もともと鬱気質のところへ、絶頂から奈落に転落した思いでなかなか立ち直れず、おまけに身体的にも痛風がこたえてきた。直接対決となったランティの戦いに敗北してしまう。

ザクセン候モーリッツは、パッサウの和のあと皇帝側とも協力し、ドイツ諸侯の第一人者としての地位に躍り出た。が、明智光秀の運命か、フェルディナンド大公に協力してオスマンの侵攻を食い止めたものの、バッサウ和約を拒否したブランデンブルク辺境伯に進軍。戦さには勝利したものの彼自身は戦死してしまう。

皇帝カール5世の統一と平和の夢はわずかしか続かなかった。もはや再起する気力も体力も残っていない皇帝は、とにかく現状を凍結し、平和をもたらすしか考えられなかった。カールはもう退位を決意していた。いよいよ各国が自立するヨーロッパが始まろうとしていた。

下はモーリッツ公の死