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最近のフルートの音色について

2020.01.27 23:56

突然ですが、これはモイーズの使っていたフルート、Couenson(クエノン)です。モイーズは「楽器じゃないよ!」と常々言っておられましたが、そういうことをおっしゃる方が、こういうこだわった楽器を使ってちゃだめだよね~!写真は僕が学生時代に1年間教えていただいたT先生がモイーズから譲り受けたもの。しかしまぁ不思議な格好ですね。

最近、世の中のフルートの音が変わってきたな~って思うのは僕だけでしょうか。まあ、プロの世界ではゴールド(金製)があたりまえになっていて、それだけでも古風な僕は銀や洋銀の楽器の音色とは異質な感覚を覚えています。そして、最近のフルートはどうも歌口の深さが深すぎるのではないか?と思っています。確かに近頃の楽器は吹きやすくなった。でもおなじみの軽やかなフルートの音が少し鼻つまみの閉管楽器的音色になったような気がしている。詳しいことは分からないが、たぶん音の倍音成分の分布などが変化しているのでは?オーケストラの演奏を聴いていても、どうもフルートが弦や他の管楽器にとけ込んでいない気がする。(総てのオーケストラで、とは言いませんが。)もう我慢が出来ないくらいに「低い~~!!」って感じることもあります。(ちゃんと音色でイカせてくれ~!)でも、ハイテク(チューナー)を使うと「ok!goog!合ってます」と出たりして...。チューナーがいったい音のどの部分をサンプリングしているのか知らないけれど、基音だとすると、基音は合っているが、倍音が僕の好ましく思う位置にないのかもしれない。チェンバロの調律をやったことがありますが(死にそう。もうあんな面倒なことはやりたくない~!!)、中心の1オクターブを作ってから左右にオクターブで広げて行くのですが、高い方は少し高め(広いオクターブ)にしてゆかないと、人間の耳には心地よくないのです。低い方にも同じだったかどうか失念しましたが、ようするに物理的に「ちょうど」にすると、人間の耳には「ちょうど」に聞こえないという現象があるということです。だから、単音をチューニングすることも必要なのでは? つまり、単音を吹いたとき、基音の上に積み重なる倍音を良く聞き、それだけでもハーモニーを奏でていることに気づくこと。そしてそれが心地よい響きになるように....。とりとめがなくなりましたが、モイーズの吹いたジュナンの「ヴェニスの謝肉祭」の冒頭のCの音はまるでオルガンのようにブリリアントな響きを聴かせてくれます。お持ちの方はもう一度聴いてみて下さい!!(1999年1月29日 室長 Kirio)