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自由人 Gutch15 の気まぐれライフ from 横浜

#0063『Rising Force』 Yngwie J. Malmsteen

2020.01.28 20:30

アルカトラスとの訣別。

 スウェーデン出身のスゴ腕ギタリスト Yngwie Johann Malmsteen が、SteelerAlcatrazz を経て、1984年に出したソロ・プロジェクトの初アルバムがこの『ライジング・フォース』でした。

 最初はアルカトラスと並行してやろうとしていたインスト企画だったそうですが、アルカトラスのツアー中に Graham Bonnet とぶつかってしまったために、結果的にはアルカトラスを脱退してソロ活動を始めた形になりました。

 ライジング・フォースとはこのファースト・アルバムのタイトルであると同時に彼のバック・バンドの名前でもありました。メンバーは Barriemore Barlow (ds)、Jens Johansson (key)、Jeff Scott Soto (vo) の3名。と言ってもヴォーカル曲は2曲だけですが。


Tr-01 Black Star
  02 Far Beyond The Sun
  03 Now Your Ships Are Burned
  04 Evil Eye
  05 Icarus' Dream Suite Opus 4/イカルスの夢・組曲 作品4
  06 As Above, So Below
  07 Little Savage

  08 Farewell


 短くて美しいアクースティック・ギターのプロローグに導かれて始まる「ブラック・スター」からアルバムが始まります。ビートとベースラインは重いのですが、その上に乗るギターのフレーズは光り輝いています。私はギターは弾かないのでよく分からないのですが、速弾きの部分は相当の技巧なのでは?

 Tr-02 「ファー・ビヨンド・ザ・サン」はイントロからかなりハード・ロックしている曲です。途中でクラシックを思わせるコード進行も出てくるのが面白いですね。ギタープレイはやはりかなり難しそうな速弾きを随所に含んでいます。

 Tr-03 「ナウ・ユア・シップス・アー・バーンド」は2曲あるヴォーカル曲の1つ。かなり速いビートのヘヴィ・メタルになっています。ギターとベースがユニフレーズでハモるパートなどは実にエキサイティングですね~!

 Tr-04 「イーヴル・アイ」は曲の進行がかなりクラシカルです。しかもギターによって演じられるフレーズがまるでキーボードを弾いているようなアルペジオに聞こえたりして、あらためて超絶技巧を見せつけられます。2分半過ぎから不意に叙情的になってアクースティック・ギターのブレイクが入るところは感動的ですね。コーダはキーボードのソロになって終わります。

 Tr-05 「イカルスの夢・組曲 作品4」はプログレッシヴ・ロック調の変化に富んだ曲。エレクトリック・ギターによるテーマの提示部のあとに、アクースティック・ギターが演じるパートに入りますが、そこではキーボードやエレクトリック・ギターのバックアップも入って幻想的な雰囲気を醸し出します。

 この曲では実際にキーボードのアルペジオとギターが併走する部分もあるんです。なんと驚くべき技巧でしょうか。テクニックと美しいメロディとが共存することによって、まさに一大シンフォニーを奏でているような仕上がりになっているんですね。

 最終的には8分を超える長い曲になっているわけですが、その時間があっという間に過ぎ去っていく心地がします。

 Tr-06 「アズ・アバヴ、ソー・ビロウ」は2曲目のヴォーカル・ナンバー。パイプオルガン風の荘厳なキーボードで始まるイントロは、中世の教会における演奏でも意識しているかのようです。間奏部ではかなりプログレしています。やはりクラシックの音遣いを相当取り入れているのでしょう。これでもう少しポップな響きになれば、まるで Asia ですよ。

 最後のキーボードの引っ張りは、ちょっと長すぎるように感じるのですが(^^;)

 Tr-07 「リトル・サヴェッジ」は疾走感あふれる序章から始まるインスト・ナンバー。リズムが途切れて短いギターソロになったあとにテンポを落として泣きのギターが炸裂しますね。キーボードソロはチェンバロ風の音に仕立ててあります。そしてふたたび疾走開始・・・・。もはや魔力を持った指ですな。

 ラストは最後にふさわしいタイトルの「フェアウェル」。アクースティック・ギターだけの短いナンバーです。しばしつま弾いたあとに、ピチカート奏法でヴァイオリンみたいな音を出して、余韻を残しつつ消えていきます。




 こういったサウンドをクラシカル・メタルと呼ぶそうですが上手く名づけたものです。部分的にはプログレなんですが、アルバム全体がプログレッシヴ・ロックかと問われても答えは「No」ですもんね~。ただ、あまりにハマる命名は一人歩きするのでリスナーとしては気をつけなくてはなりませんが。




 このアルバムを聴くのはかなり久しぶりだったのですが、なんだか聴いていてこの身が熱くなるのを感じました。クラシカル・メタル、侮れませんね🎵