槍鉋
2020.01.29 07:45
鍛冶の会最古参制作の槍鉋(現代的な台鉋以前の大工道具で柱などに使われる丸太の表面を削り整える役目があり、その削り面は装飾的で美しい)です。あえて逆光に近い自然光の元撮影しました。この条件で撮影しますと凸凹や直線部のよれなどが目につき、上手でない作品などは粗が目立って残念な写真になるのですが、この槍鉋は美しく際立っています。
日本刀で言うところの腰ぞり感がややマイナスポイント(製作者談)ではありますが、この作品を仕上げてしまう当会ベテランの技量に頭が下がります。槍鉋は鑿や鉋刃とは異なり寸法や形状に自由度があり、言ってみれば製作者のセンスが如実に表れる刃物です。
素材の話になりますがこちらの槍鉋は錬鉄(近代的な製鉄炉による不均一な製鉄)鋼は青鋼となります。地金に縞模様が美しく出ているのが錬鉄の特徴です。また、この槍鉋を研ぎ上げる技も庭竹にはまねが出来ません。
槍鉋のように先に行くに従い細く薄くなり、かつ反りを伴う形状には青鋼が有効のようです。お好きな方はご存じかとは思いますが青鋼は焼き入れが容易ですし、対摩擦性能も優れているます。対して白鋼はとても神経質な材料ですので、細心の注意を払っても焼きむらや焼き割れなどがおこってしまいます。しかし全てがうまくいった白鋼はとても素晴らしい性能を発揮します。
鍛冶の会はボランティアとはいえ技術体系に変わりありません。一流の親方か腕の良い先輩に巡り会わなければ、どんなに優れた才能も伸びることはないと思います。幸い当会は一流の師匠と凄腕の先輩に恵まれ、理想的な環境で鍛冶技術の継承と各自の技能向上に励んでいます。
槍鉋があまりにも素晴らしかったので変なブログになってしまいました。
鍛冶の会 庭竹