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Yoshiko Watanabe

僕の好きな先生

2020.01.30 19:01

本日の投稿のBGMはRCサクセションの「僕の好きな先生」です。

最近YouTubeで拝見し、とても気になった書籍を読む中で

魂の導く方へ一歩踏み出すと、出会う人がいるという文があって

それで思い出した先生。


私が故郷の高校でじゅくじゅくと何もできずに居た頃、

地元の美術学校の本棚で、こっちだよって光輝いていた本があり

それは東京の美大予備校、立川美術学院の学校パンフだったのですが

何かそれに惹かれて、怖いながらも東京の予備校へ

夏期講習に行った時に担任になったのが片小田先生という

めっちゃおもろい先生でした。


美大予備校は丸々2日間で1枚の絵を仕上げ、2日目の夕方に

クラス全員の描いた作品を前に並べて全体講評というのをやります。

詳しくは映画「貝殻」という自主映画でも描いたのですが

その時にだいたい講師の先生は色々な技術的なテクニックや心のあり方

みたいなものを細かくアドバイスしてくれるんですが、、、

片小田先生は最終的には「愛だよ愛」って毎回言ってました。


田舎から出て行った私は最初「ん?」て思っていたのですが

だんだんのめり込んでずっとデッサンを描くうちに

その意味が分かった。


ある一定までは技術で描けるんだけど、その先の観た人を感動させる絵って

もうその描いてるモチーフや絵を愛し尽くすしかないって事。

もう何枚も何枚も何日も何日も描いてもうまく描けない時に

「愛って何だよ」って思いながらも、、、

頑張って愛してみました。わからないなりに一生懸命。

そしたら、、、、

これはマジでビビりました。


多分ゾーンに入るんですよ、

いわゆる。


まあ、今描けっていったら描けるか分からないけど、、、


そんな片小田先生の素敵なところは普通の人だった事。

今思い出せば、片小田先生も自分自身の創作活動の資金を稼ぐ為に

予備校の先生をやっていたのかもしれない。

当時予備校には、参考作品という歴代のめっちゃうまい人の絵が

しこたま貯蔵されている部屋があり、よく、うまく描けない自分は

デッサンの途中、教室を抜け出しその部屋に入り浸っていた。

観ても描けない、なんでそのタッチ(鉛筆ののせ方)になったのか理解できない

とか、それこそ才能ないんじゃないかとかぐるぐるぐるぐる考えて脳が沸騰しそうになっていた時に

片小田先生が通りかかり、ニコニコしながらありんこの絵を描いてくれた。

めっちゃリアルな蟻。

その時も私は「ん?」てなったんだけど

先生はこの↓「DIRTY COLLECTION」シリーズを描いていた時だったんだな。

何度断捨離しても捨てられない回顧展の時のポスター。


専攻の科(彫刻やデザインや油など)に関係なく、通常授業の後

ヌードモデルのクロッキー会を開催していたのも片小田先生だった。

そこで私は他の専攻科の先輩達の猛烈な画力に魅了されて

もっともっとってのめり込んだを覚えている。

ダメだ書いてて泣けて来た。

時給いくらとかお金の為にとか働いてる今の自分なんなんだよ、、、

本当にまるごと絵を描く楽しさや苦しさを教えてくれてたんだなぁ。


亡くなられたの44歳だったのか。今の私よりお若い。。。。

大好きでした。


今でも思い出す、あの夏の、糊と画用紙と鉛筆の乾いた空気。

熱気が静かに充満する教室の壁に

半紙に墨汁で「愛」って書いて貼ってあった。


もちろん書いたのは片小田先生なんだけど。

そういう人。自分がなりたいのは。