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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

最後の皇帝33-カール5世皇帝退位

2020.01.31 02:12

アウグスブルクの和議の半年後、1555年10月25日、皇帝カール5世の実質退位式がブルゴーニュ公爵退位として、彼の地元ブリュッセルで華々しく行われた。ブルゴーニュ公になったのは実に父の急死で1506年6歳のときのことである。引退にここほどふさわしい場所はないだろう。

その年の4月、スペイン共同王の母ファナが75歳で亡くなった。カールは最後に単独の王として息子に王位を譲ることができたのである。退位演説でカールは、自分はキリスト教のために半生を賭けてきたが、野心家達に妨害された、と述べた。カールの偽らざる心情だろう。

ブルゴーニュで育ったカールはまさにルネサンス普遍主義を体現しようとした。ルネサンスは、ギリシャローマ古典とキリスト教を統合し、新たな普遍主義をつくろうとした。世界は地球全体に広がり、その普遍主義をすべての人々にいきわたらそうとした。

しかし残念ながらそれに到達したのは、イタリアやブルゴーニュの繁栄している地域だけであり、アルプスを越えれば繁栄に取り残され、犠牲となった人々が居た。それは今日グローバル時代で繁栄するアメリカ両岸都市と中西部に似ている。我々も今カール以後の混乱と同じ時代に居るのだろうか?

下はカール5世退位式