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Hayama Sabani Club

サバアンダーR15

2016.10.29 08:12

「あなたに抱かれるのは今夜限りね。」

明日、サバアンダーをたうてぃに塗る。

桜木町での待ち合わせ。10日ぶりに彼女に会う。

小ぶりのピアスにショートボブ。アウターの下にはツィードのワンピース。

「今日はどこ行くの?」

昨日から右耳の耳鳴りが酷い。金曜、仕事終わりで耳鼻科へ駆け込む。

「聴力検査しましょう。」

片側しか付いていないヘッドホンを付ける。

「右耳全く聞こえてないですね。」

「メニエールの再発です。」

土曜日。みなとみらいのホームセンタ。

「私、ホームセンターって初めて。すごい人出ね。」

「買い物とか行かないの?」

「家に外商の人とかが来るから高島屋くらいしか行かない。」

「そう。」

「私達ってさ、夫婦に見えるかな?」

「20代後半の君と俺だろ。どうかな、見えなくもないかな。」

耳鳴りがキツイ。高音が激しく聞こえ低音が聞き取れない。

処方されたステロイドを2粒噛む。

サバアンダーを塗るための刷毛を探す。

「広いからなかなか見つからないね。私何処にあるか聞いてくるよ。」

彼女が手を振りながら小走りに向かってくる。

小刻みに揺れる胸元。耳鳴りが激しさを増す。

「ペイントコーナーだって。」

刷毛を4種類選ぶ。「結構いい値段するんだね。」

「大丈夫だよ。黒ちゃんに精算してもらうから。」

「黒ちゃんて誰?新しい女。」

「違うよ。サバニの仲間。」

「ホントに。黒木瞳似の仲間じゃないの。」

「黒木瞳似の人はいないけど、年齢が近い人はたくさんいる。」

耳鳴りが止まらない。メチコバールを飲む。自分の声が頭に反響する。

「これからどうする。」

「日ノ出町の焼き鳥屋でも行こうか。」

「うん。いいよ。」

みなとみらいを背にして大岡川沿いを歩く。

監督の教え子のカヤッカーが川を行き交う。

「ネー。油を塗られるサバニって気持ちいいのかな。」

「多分、気持ちいいと思うよサバニにDNAがあれば染み込んでんじゃない。」

「さっき買った刷毛で油塗るんだよね。」

「そうだよ。」

「私も刷毛で気持ちよくなりたい」

日の出町駅を過ぎ。大岡川沿いの場末の。

LOVE・H・・・・・・・・・・・・L

「嫌いになったらいつでも別れてあげる。」

「私たちの事。奥さん知ってるの。」

高音の耳鳴りが激しさを増す。三回目のステロイドをIPAで流し込む。

夏の恋はいつも気温が10度下回った時に終わる・・・・

明日はサメの油を塗る。この刷毛で。馴染むように、滑る様に、感じる様に。

https://www.youtube.com/watch?v=yeDbyR9Xpdw